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Q 非破壊検査による設備診断とその効果

設備診断をする際に非破壊検査機器を用いて行うことがありますが,どのような種類があるのでしょうか。ご教示下さい。

A

非破壊検査を行う設備には,陸上機械,原子力,ボイラー,水力,石油,各種プラントとそれに付随するタンク,橋梁,建築物などがあります。

そういった各々の設備はそれぞれ使用条件,寸法,材料,形状が異なるので,各設備に求められる方法を選択しなければなりません。

一般に検査方法の選択の手順として,図1のように

(1)設計,実験的に許される不具合の範囲の検討
(2)許されない不具合を探すための検査方法の選択
(3)具体的な方法の検討

と,普通の設備についてはこのように検査方法を絞り込んでいきますが,重要な個所に用いる場合は複数の非破壊検査法を行うこともあります。

非破壊検査法とその選択
図1 非破壊検査法とその選択

検査を行う設備の対象に変更がなければ現状の検査法の選択と方法を変える必要はありませんが,もし対象に変更があった場合は,今まで行ってきた非破壊検査法の選択と方法が適切でなくなる場合があるので,その場合は再検討し,その対象に適する非破壊検査法の選択と具体的方法を再構築する必要があります。場合によっては,現状行っている検査法が無意味になったり,必要なくなることもあるので要注意です。

1. 非破壊検査法の種類

一般に言われている非破壊検査法には,目視試験,放射線透過試験,超音波探傷試験,磁粉探傷試験,浸透探傷試験,渦流探傷試験,ひずみ測定,その他などがあります。それでは個々に紹介していきます。

(1)目視試験関連

字の通り目で見て不具合を探すもので,実体顕微鏡,ボアースコープ,ファイバースコープが主に使用されてきましたが,現在では,CCDカメラを利用した製品が登場してきました。特徴として,

1.モニター画面により観察できる
2.VTRへ記録できる
3.操作性が良い

などがあげられます。


(2)放射線透過試験関連

医療用のレントゲン撮影と同じ原理により部材を透視するものです。


(3)超音波探傷試験関連

この原理を利用した身近な例で,魚群探知機や医療用の超音波装置などが有名ですが,超音波探傷試験は音響の原理を利用する試験方法です。作業性が良いので設備診断に広く使用され,フルデジタル超音波探傷器,超音波厚さ記録計などが登場しています。


(4)浸透探傷試験関連

界面活性の原理を利用する試験方法で,溶剤除去性浸透探傷試験(カラーチェック)が有名です。近年では水洗式の洗浄液としてエアゾール缶が登場し,

1.試験体の形状が複雑なものにも適用できる。
2.試験面が粗いものにも適用できる。
3.水溶性浸透探傷試験が現場で適用できる。

などの特徴があります。また,作業性の点で不可能であった対象にも,欠陥検出能力を低下せずに使用できるようになりました。


(5)磁粉探傷試験関連

磁粉探傷試験は電磁気の原理を利用する試験方法で,小型の装置が登場しています。


(6)渦流探傷試験関連

渦流探傷試験は磁粉探傷試験と同じで,電磁気の原理を利用した試験方法です。この原理を利用した身近な例で,空港に設置されている防犯用の金属探知器があります。また,超音波探傷試験関連と同じように全ての調整を内蔵のマイクロコンピュータとA/D変換器により,デジタルで行う装置が登場し,探傷条件と得られた波形が記録できるという特徴があります。


(7)ひずみ測定関連

ひずみ測定は,対象の使用条件,寸法,材料,形状の適否を判断したり,対象が使用中に破損や変形しないように監視するために行うものです。したがって,今まで紹介してきたような,対象の直接的な不具合である欠陥などを検出するものではなく,ひずみ測定を行うことによって設備の健全性を確認(診断)するものです。

2. まとめ

一般的に非破壊検査を必要とする対象は,その不具合により危険が予想される場合が多く,検査の効果は絶大であるといっても過言ではありません。そのため(社)日本非破壊検査協会では,非破壊検査の技術者を技量認定規定(資格制度)によって認定し,「検査は,これらの資格を有する技術者によって行われるべきである」としています。

しかし設備診断の効果を上げるためには,資格は単にあれば良いわけではなく,また必要ない場合であっても,技術者がその対象に対する知識や検査法を熟知していなければなりません。また,最初に述べたように,その設備に求められる方法を正確に選択しなければならないのです。


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