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ストライベック曲線 | ジュンツウネット21

ストライベック曲線について解説します。荷重(負荷)FN,速度V,粘度ηをη・V/FNの形に組み合わせたパラメータと摩擦係数との関係を,簡略化しグラフに表わしたときの曲線をStribeck curve(ストライベック曲線)と呼びます。

ストライベック曲線

ストライベック曲線という言葉をよく聞くことがあります。どのようなものかご解説ねがいます。
解説します。

軸受の発達の過程で,19世紀末に当時ドイツ最大の綱球製造工場であったD.W.F.は,これまでの軸受設計に検討を加え,さらに軸受の形式や負荷容量ならびに摩擦について研究をドイツ中央技術科学調査局長であったRichard Stribeck教授に委嘱しました。これに対して教授は巧みにこの問題を解決し,D.W.F.はその研究結果にもとづき浅い小条構形式の玉軸受を試作しました。その数年後改造され,いわゆる単列深溝形ラジアル玉軸受が造られ,これは現在も広く一般的に使われています。6,000番形軸受のはじめともいうべきものです。

1900年~1907年のわずかの間に玉軸受の分野では重要な発明がなされており,今日の基盤をなしています。その後も各方面での研究開発が進められ今日のころがり軸受工業の発達をみるに至ったのは,一つにStribeckの20有余年にわたる研究結果の賜として,彼の業績の偉大さを賞讃しなければなりません。

Stribeckは1900~1902年にすべりおよびころがり軸受の摩擦に関し,広範囲にわたる運転条件変数,すなわち荷重(負荷)FN,速度V,および温度T(潤滑油の粘度の変化の表れと考えられる)の関数として摩擦係数を測定する実験を行いました。結果に,潤滑油の温度依存性が入らないように,Stribeckは一定の潤滑油そのものの温度(25℃)における荷重,速度の関数として計算し直しています。正確な彼の実験計測はSommerfeld,Gümbel の理論的研究のよりどころとして役立ち,またほかの流体潤滑軸受の理論を確立するのに役立ちました。

はじめはそれぞれの因子と摩擦係数との関係を表わしていましたが,後刻三つの因子(変数),FN.V.η(粘度)をη・V/FNの形に組み合わせたパラメータと摩擦係数との関係にまとめました。これを簡略化しグラフに表わすと図のようになり,この曲線が彼に因んでStribeck curve(ストライベック曲線)と呼ばれるわけです。

ストライベック曲線
図 ストライベック曲線

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この曲線は,図にも示したとおり,摩擦しあう物質の形状,材質,運転条件,および両表面間距離に関係し,三つのおもな潤滑状態域に区分することができましょう。
すなわち,I.流体潤滑領域, II.混合潤滑領域 および III.境界潤滑領域です。

I.固い表面同士が連続した潤滑膜でへだてられていて,その厚さは表面あらさに比べかなり大きい。摩擦抵抗は潤滑油の内部摩擦によるもので,潤滑油の流体力学的方法による計算で推定できます。凸面同士の場合には表面の弾性変形や潤滑油の圧力による粘性変化を考慮に入れなければなりません。表面間の直接接触がおきないので摩耗はおきません。(ただし表面疲労摩擦,流体によるキャビテーションエロージョンは除く。)摩擦係数は非常に小さく,0.001~0.01程度です。

もし,この領域で温度上昇がおこり潤滑油の粘度低下や速度低下がおこるか,荷重が増加すると,潤滑膜はより薄くなります。するとその状態点は曲線にそい,たとえばA点からaの方向へ向い,摩擦係数はだんだん小さくなり,流体潤滑理論どおりにいけば原点に限りなく近づけるはずですが,そうはいきません。すなわちある時点から流体潤滑の曲線から,摩擦係数が急に上昇するのです。仮にB点で運転されていて,温度上昇がおこると粘度的に余裕がなくなり,これが固体同志の接触のはじまりとなり,このあたりから摩擦面の一部が境界潤滑状態に入ると一般に考えられます。バランスがくずれ,不安定状態となるとbの方向へ向います。

II.この領域では荷重は一部流体膜により,また一部は表面接触により支えられます。したがって摩擦抵抗は,一部潤滑膜のせん断に,一部表面あらさの作用によるものです。運転条件がきびしくなったり,完全な潤滑膜保持ができなくなったり,始動時の低速時,振動,揺動,給油不足などにより実際によくおこる現実的な領域で,この領域は二つの大きな潤滑メカニズムが作用している不透明な部分です。多くの摩擦面が I とIIIとの混在するこの領域をへて,III主体の領域へ移行する可能性を常にはらんでいます。

III.荷重が増し,速度がおち,または温度上昇により油膜が薄くなるにつれ,摩擦係数は急激に増大していくでしょう。この領域では,より頻繁な固体接触がおこり,部分流体膜により支えられている部分は極端に少なくなっています。潤滑油の化学的性質(油性,耐摩耗性,極圧性など)は流体潤滑領域ではほとんど意味がないか,境界潤滑メカニズムにおいては潤滑油粘度よりも摩擦面材質の性質,表面状態とともに主役を演じます。固体表面で0.2以下の摩擦係数を示すものはまれで,清浄な金属面は極端に大きな摩擦係数を示すものです。流体潤滑膜が分離させえない場合でも軸受表面と作用し,低い摩擦の固体膜で両面を護り,摩耗と表面加熱を最少にします。摩擦係数は0.1~0.3程度です。

η・V/FNは軸受の“健康状態”を表わすよいパラメータで,それ自身設計パラメータの一つの目安として,また,軸受が危険域近くで稼動していて油膜切れをおこし焼付きをおこす方向に進んでいるかを速断するための目安として使われます。このパラメータは,一生を潤滑分野の研究にささげたMayo D. Herseyにちなみ,Hersey numberと呼ばれています。

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