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Q ベルトコンベヤの調整

当工場は,原料輸送用に,今後の計画として長尺のベルトコンベヤを使用することになっております。コンベヤベルトの調整を含めたメンテナンスは案外難しいと聞いております。事前に勉強しておきたいと思います。要点を教えてください。

A

ベルトコンベヤの構造と各部の名称を図1に示します。ベルトコンベヤの駆動方式としては,1個のプーリーを駆動するシングル駆動方式と,複数個組み合わせたマルチ駆動方式があります。

長尺ベルトコンベヤは高張力を必要とするために,スチールコード入りベルトが多く使われております。ベルト材質についても,耐熱,対摩耗性などを考慮した,さまざまな種類のものが開発され,使われております。

ベルトコンベヤーの構造と各部の名称

図1 ベルトコンベヤーの構造と各部の名称

ベルトコンベヤのメンテナンスは,ノントラブルで,長時間,連続的に運転できることを目的とし進められます。すなわち,ベルトコンベヤは,原料,半製品,製品を次工程にスムースに送るためのライン設備ですから,故障頻度が高いとそのまま生産阻害となります。

ベルトコンベヤの稼動している現場を見るとベルトの蛇行や回転していないローラーが多いこと,プーリやローラーにケーキなどの付着が多く,シュートやスカートが不適であったり,ねじ式テークアップが錆などで調整不能になっていたりしていることが発見されます。放置すると取り返しの付かない大きな事故に発展することが予想されます。したがって,これらの不具合を早く見つけて正常な状態に修復して,ベルトに少しでも損傷を与えないよう心がけることが大切です。
 ここで,ベルトコベヤ設備に多いトラブルをあげておきます。

(1) ベルト片寄り
(2) ローラー類異常摩耗,回転不良
(3) コンベヤベルトスリップ
(4) ベルトの部分破損(耳切れ,縦裂き,摩耗など)
(5) 輸送物の落下
(6) シュート詰まり

No
ベルトトラブル
原因
対策
1
ベルトがコンベヤのある一点で片側へ片寄る(1)コンベヤフレームまたは機体の曲がり
(2)蛇行直前のいくつかのローラー芯だし不良
(3)プーリ,ローラーへのケーキ付着
(4)ローラーの回転不良
(5)プーリの芯だし不良
(6)トリッパー
(1)水平度,垂直度の再調査および調整
(2)ベルトが片寄る側のローラーの端をベルト進行方向に少し傾ける
(3)ケーキの除去
(4)取り替える
(5)調整
(6)位置の修正
2
ベルトの特定部分が機体全長にわたって片寄る(1)エンドレス不良
(2)ベルト自身の問題
ジョイントのやり直し
(1)(ベルト局部的曲がりのため)全負荷で運転しベルトを慣らす
(2)自動調芯ローラーを用いてとくにテールプーリに近づくリターン側に取り付け,積荷が中央にのるようにする
3
ベルトが全体的に片寄る(1)コンベヤフレームまたは機体の曲がり,傾き
(2)運搬物の制裁位置不良
(3)風
(4)日光
(5)キャリヤローラーの片寄り
水平度,垂直度の再調査および調整運搬物の塊状がベルト上で異なったり,片荷の場合はシュート部の改良日によって片寄りが変わる場合は風の影響によるので,暴風カバー,調芯ローラーなどを取り付ける
4
ベルトが不安定な走行をする(片寄りに特定の型がない)ベルトが硬すぎる(1)使用初期のベルトは多少トラフ性が不足し,片寄りする場合があるが,しばらくするとキャリアになじむ
(2)経日後自動調芯ローラーなどで対策を講じても修正不能な場合はベルトを取り替える
5
運転状態による片寄り(無負荷時蛇行,負荷時正常)ベルトトラフ性不良(1)ベルト停止時負荷をかけてなじませる
(2)最小限のガイドローラーを取り付ける
(3)ベルト取替
6
運転状態による片寄り(負荷時蛇行,無負荷時正常)(1)運搬物積載位置不良
(2)積載荷重がベルト部分で異なる
(3)ローラー芯だし不良
シュート調整シュート改造,運搬物検討ローラー調芯

表1 ベルトの片寄りの原因とその対策