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メンテナンス用語集:か行

用語
英文名
説明
界面活性剤 surface active
agent , surfactant
分子内に親水基と親油基をもち,界面に吸着して界面張力を著しく低下させる働きをもつ物質。水溶液中での解離イオンの性質により,陽イオン(カチオン),陰イオン(アニオン系),非イオン,両性界面活性剤に分類される。潤滑油添加剤として用いる場合は,清浄性,さび止め性,油性,水分離性,乳化性,分散性,あわ立ち性などに関与する。
加水分解安定性 hydrolytic stability 水の作用による化合物の分解反応の起こりにくさを指す。加水分解安定性が悪いと,分解反応生成物が油に不溶となって分離したり腐食性を示す場合がある。一般に鉱油は安定であるが,エステル系合成潤滑油,金属石けんやエステル系潤滑油添加剤などはやや不安定である。
ガス
クロマトグラフィー
gas chromatography
, GC
試料を窒素やヘリウムなどの不活性ガスによって分離管内で展開し,管内の充てん剤に対する吸着性や分配性の違いにより成分を分離して検出する方法。脂肪酸や軽質の燃料などの組成分析に利用される。
ガスケット gasket 静的に結合した二つの機械部品間に存在する流体の漏れ防止のために,はさみ込まれるシール材。材質はアスベストが主体であったが,人体への悪影響の理由からグラファイト,メタルが主流となっている。
ガスタービン用
潤滑油
gas turbine oil ガスタービンの軸受や補機に用いられる潤滑油。航空ガスタービンにはエステル系合成潤滑油が,また産業用ガスタービン油には主として鉱油系潤滑油が使用されている。
化成処理 conversion coating 金属表面に化学的に非金属物質を被覆する方法。電気化学的に行う方法に陽極酸化,また化学的に行う方法にリン酸塩処理,クロム酸塩処理や化学着色法などがある。焼付き,腐食の防止などのために行われる。
可溶化作用 solubilization 溶媒に溶けにくい液体または固体に界面活性剤などを添加することにより,熱力学的に安定な溶液を作ること。清浄分散剤の重要な機能の一つ。
乾燥被膜潤滑剤 dry film lubricant 固体潤滑剤を被膜として用いる場合を指す。接着剤で接着し被膜にすることが多いが,スパッタリング,イオンプレーティングなどの方法により,固体潤滑剤のみを被膜とすることも可能である。寿命は限られる。
含油軸受 oil retaining bearing 焼結金属,,成長鋳鉄,合成樹脂等の多孔質材料でつくり,その中に潤滑油を含浸させた軸受。毛細管現象と油の熱膨張により,油は軸受すきま内に浸出し潤滑する。長期間給油せずに使用できる特長がある。
機械損失 mechanical loss 流体機械などの損失エネルギーの中で,軸受,しゅう動部分などの機械摩擦による損失エネルギー,および可動部分の流体摩擦による損失エネルギー。
気相さび止め剤 vapor phase rust
inhibitor
比較的高い蒸気圧をもつかまたは昇華性をもつもので,その蒸気が鉄鋼のさび止めに効果のある化合物の総称。脂肪酸系およびアミン系化合物などがある。
揮発性 volatility 液体の蒸発のしやすさ。石油製品では,通常蒸気圧と蒸留性状で表わす。平均分子量450程度の鉱油の180℃における蒸気圧は13.3Pa程度である。
キャノン・フェンスケ
粘度計
Cannon-Fenske
viscometer
毛管粘度計の一種。一定量の試料油が毛管を通貨するに要する時間から動粘度を計算する。透明液体用の普通型と不透明液体用の逆流型とがある。
キャビテーション cavitation 液体が加速あるいは高振動を受け,液体の静圧がある限界の圧力より低下すると気泡が発生する現象。空洞現象ともいわれている。
キャビテーション
エロージョン
cavitation erosion キャビテーション気泡が液体の圧力の急激な変化によって,高速で崩壊または振動し,それに伴って発生する衝撃圧力が固体表面に作用して生ずる表面損傷。衝撃圧の繰返しによる疲労破壊現象とされている。
基油 base oil 潤滑油やグリースの基材として使用される油で,製品の品質に大きな影響を与える。原油から精製された鉱油とエステル,グリコールなどの合成油に分類される。
吸着膜 adsorbed film 界面において吸着が起こり,これが吸着平衡に達し,一様の被覆率をもって界面に形成される膜。物理吸着膜と化学吸着膜がある。油性剤,分散剤,さび止め剤などの作用は吸着膜で説明される場合が多い。
境界潤滑 boundary
lubrication
潤滑面の油膜が薄くなり(たとえば表面のあらさ程度以下),油膜を通して局部的に金属接触点が生じているような潤滑状態で,その際の摩擦は,潤滑油の粘度では決まらずに薄い油膜のせん断と金属接触点のせん断の要素に左右される。したがって摩擦の大きさは流体摩擦と乾燥摩擦の中間となり,摩擦係数は,たとえば0.1前後の値である。
凝固点 freezing point,solid
point
液体が冷却して固体となるときの温度。潤滑油では,試料を規定の方法(JIS K 2269)で冷却して,傾けても5秒以上,まったく動かなくなったときの温度。これより2.5℃高い温度を流動点という。
凝集 cohesion 液体や固体の構成分子,原子,イオンまたは粒子が分子間引力によって多数集まり,密な集合状態を作ること。液体の凝集の仕事は単位断面積の液柱を引き離すのに要する仕事で,液体の表面張力で表わせる。
凝着摩耗 adhesive wear 2固体間の真実接触面積を構成する凝着部分が,摩擦運動によりせん断されることに基因して生ずる摩耗現象。その生成機構は十分明らかではないが,摩耗現象の中の基本的な形態であって,常にあらゆるすべり摩耗現象の一部もしくは大部分をしめる。ことに潤滑油の存在しない場合,摩擦面の表面あらさが小さい場合,2面の硬さの差が少ない場合,2面が類似の金属で凝着しやすい場合には,凝着摩耗がほとんど支配的に生じる。
極圧添加剤 extreme pressure
(EP) additive
摩擦面の接触圧力が高く,油膜が破断して焼き付きを生じやすい極圧潤滑条件で,摩耗,焼き付きなどを防止する添加剤。塩素,いおう,りんなどを含む化合物が広く用いられる。広義には油性向上剤,摩耗防止剤も含まれる。
金属加工油剤 metal working fluid 金属を機械加工する際に,潤滑,冷却,洗浄などの目的で使用する液体の総称。切削油剤,圧延油,引抜き油剤など用途ごとの種類がある。工作用潤滑油ともいう。
クーラント coolant 液冷式内燃機関などに使用される冷却液。また水溶性切削油剤やエマルション形圧延油は,潤滑とともに冷却にも主要な役割を果たすので,クーラントとよばれることもある。
くもり点 cloud point 潤滑油の低温特性の一つの尺度。試料を規定のガラス容器に入れ定められた方法で冷却していったときくもり始める温度。鉱油でパラフィン分が析出することによりくもりが生じる。
結合剤 binder 粉末成形体の強度を高めるため添加する有機物あるいは無機物。たとえば,固体潤滑剤被膜(乾燥被膜)に用いる結合剤は固体潤滑剤粉末間の接着性と固体潤滑剤と下地との付着性を高める。
けん化価 saponification
number
試料1gをけん化するに要する水酸化カリウムのmg数。潤滑油に配合された油脂などエステル類の含量を推定することができる。
研削 grinding 高速で回転する砥石車を加工面に押し当てつつ送ることによって加工する方法で,砥石車を構成する非常に硬い砥粒によって削るので,きわめて硬い材料でも加工することができる。また砥粒の角でわずかずつ削るため,寸法精度とともに仕上げ面精度も優れている。
研削砥石 grinding wheel 砥粒と結合剤を混ぜて焼き固めたもので,高速で回し,硬い砥粒によって被加工物の面を少しずつ削り取って加工する。被加工物の材質,加工の目的などによって,適当な結合度(結合の強さ),粒度(砥粒の大きさ)などの砥石を選ぶ。
抗乳化度 demulsibility 油と水の分離のしやすさを示す性能。作動油や工業用ギヤ油などの潤滑油で,水分離性が要求される場合には抗乳化性試験で評価される。
鉱油 mineral oil 合成油、動物油,植物油と区別して天然に得られる原油を精製して得られる石油系油の総称。
コーティング coating 表面改質のうち,防錆防食,装飾,低摩擦あるいは耐摩耗性付与,光学的・磁気的・電気的特性付与など,表面の欠点改善や新しい機能を付与するために行われる被膜処理の総称。
混和安定度 worked stability グリースを規定の混和器で10万回混和して,25℃に保持したのち,さらに60回混和したのちのちょう度。グリースの機械的安定性の評価法のひとつ。JIS K 2220。
混和ちょう度 worked penetration グリースを規定の混和器で25℃に保ってから,60往復混和した直後のちょう度。混和ちょう度によってNLGIちょう度番号が区分されている。JIS K 2220。