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メンテナンス用語集:さ行

用語
英文名
説明
再生油 reclaimed oil,
rerefined oil
使用済み潤滑油中の劣化生成物や混入異物を分離除去して再生した油。再生方法は機械的方法として,遠心分離,ろ過,物理的方法として,真空蒸留法,吸着剤処理,化学的方法として,硫酸洗浄,かせいソーダ処理などがあり,これらを廃油の劣化状況や混入異物の種類に応じ,適当に組み合わせて再生を行う。
酸価 acid number,
acid value
試料油1g中に含まれる酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数で表される。酸価には全酸性成分の量を示す全酸価と,強酸性成分の量を示す強酸価の二つがあるが,強酸価が存在して問題になる場合は比較的少ないので,単に酸価といって全酸価を指すこともある。酸価の測定方法はJIS K 2501などで定められている。
残留炭素 carbon residue 石油類を一定条件下で加熱分解,蒸発させた後に残る炭素状物質。燃料油ではカーボン生成度の目安に,また潤滑油では精製度の目安になる。JIS K 2270。
CFC(クロロ
フルオロカーボン)
chloro fluoro
carbon
完全にハロゲン化され塩素とフッ素を含有するフルオロカーボン(即ち完全ハロゲン化物)。塩素を含み,オゾン破壊の可能性が高い。
シール seal,sealing
device
機器内部からの作動油の漏れ,外部からの異物の侵入を防ぐための装置。使用状態により静止部分に用いられるガスケットと,往復運動,回転運動,らせん運動などの運動部分に用いられるパッキンとの二つに大別される。
磁気軸受 magnetic bearing 磁気力によって荷重を支える軸受。永久砥石の反発力を用いるもの,電磁石を用いて磁気力を制御するもの,超電導磁石を用いるものがある。潤滑剤を必要とせず極低摩擦の軸受となる。また荷重の大半を受け持つ補助軸受としても用いられる。
色相 color 石油製品の透過光線による色。潤滑油の色相は無色の流動パラフィンから,淡黄色,オレンジ色,赤褐色,暗赤褐色など種々ある。色相で品質は見分けられない。一般にセイボルト色度計,ASTM色度計などにより測定される。
軸受油 bearing oil 主として循環式,油浴式,はねかけ式給油方式の各種機械軸受部の潤滑油として用いられるもの。従来,無添加精製鉱油が使用されていたが,現在では酸化防止剤およびさび止め剤を添加したものも使用されている。JIS K 2239。鉄鋼圧延機のロールネック軸受(モーゴイル軸受,メスタ軸受)に使用される高粘度軸受油を油膜軸受油ともいう。
湿式クラッチ wet clutch 作動油中で使用される摩擦クラッチ。構造上,円板クラッチと円すいクラッチの2種類があり,円板クラッチにおいては単板と多板のタイプがある。主に、自動変速機の変速要素に多板で使用されている。
脂肪酸 fatty acid 鎖状モノカルボン酸の総称。一般に直鎖状で天然のものは炭素原子数が偶数であるが,合成あるいは自動酸化により奇数のものも得られる。脂肪酸は一般に無色の液体または固体で高級脂肪酸は水に不溶で油に少量可溶である。油性剤、合成潤滑油あるいはグリースの増ちょう剤となる石けんの原料として使用される。
しゅう動面 sliding surface すべり面のこと。2つの物体が相対運動をしているとき,互いに接触している面。容積式ポンプおよびモーターにおいては,ケーシングとそれに内接する可動部材の接触面のこと。
蒸着法 vapor deposition 真空蒸着ともよばれ,加熱などにより真空中で材料を蒸発させ,基板に膜を形成する方法。粒子は蒸発温度程度の熱エネルギしか持たないので,到着エネルギが小さく基板との付着力が小さい。
植物油 vegetable oil and
fat
天然の植物から採取した油脂の総称。成分的には脂肪酸のグリセリドであるが,動物油と比較して一般的に不飽和脂肪酸の割合が高く,常温で液体として存在するものが多い。金属加工油剤に広く用いられる。
しわ押さえ blank holder 板材成形においてダイと対向して板材の反対側に配置される工具。板材の縮みフランジ変形などでの面内圧縮に起因する座屈現象であるしわを,板面垂直方向の圧縮力負荷および変位規制の効果により抑制する。
真空ポンプ油 vacuum pump oil 真空ポンプに使用する蒸気圧の低い潤滑油。回転式ポンプ用には精製鉱油,油拡散ポンプ用にはアピエゾン油,ジエステル油,シリコーン油,アルキルナフタレンなどが使用される。
シングル
グレード油
singlegrade oil 通常の鉱油の粘度-温度特性を持つ潤滑油の呼称で,100℃の粘度1点により分類されるSAE粘度番号により表示される。特にエンジン油,ギヤ油に対してマルチグレード油と区別するために用いられる呼称である。
親水基 hydrophilic group 水との親和力が大きい有極性の原子団。疎油基ともいう。金属スルホン酸基,金属カルボキシル基などは最も強い親水基である。分子中で親油基(疎水基)と組み合わせて界面活性剤の分子を構成。
水溶性油 water soluble oil 工作用潤滑油のうち,界面活性剤の働きで,水とエマルションを形成する油。あるいは水に可溶性の油で,切削,圧延,引抜き等の加工用に使用される事が多い。
数値制御 numerical
control,NC
工作物に対する工具の位置をそれに対応する数値情報で指令する制御。数値制御は工作機械を対象として使われることが多いが,製図,織布,IC基板の製造などにも用いられる。NCと略称されている。
スカッフィング scuffing 歯車歯面などのすべり接触面に生じる固相凝着による局部的表面損傷。損傷の状態は見かけ上様々な形態をとるため,多くの呼称がつけられている。日本では主としてスコーリングの名称が採用されていたが,ISOでスカッフィングに統一された。
スキッド skid 車両を制動したとき、タイヤと路面がすべり摩擦する現象を完全なスキッドという。しかしふつう,車両が方向安定性を失う程度にすべり,摩擦といわゆるころがり摩擦が共存する場合もスキッドとして扱う。
スコーリング scoring 歯車歯面などの高荷重を受けるすべり摩擦面の潤滑膜が破れ,両面が接触,融着し,再び引きはがされた結果生ずる凝着摩耗のはなはだしいもの。イギリスではスカッフィングという。AGMAではアブレシブ摩耗を伴う場合も含めてスコーリングと称している。
スティックスリップ stick slip 機械的振動系において摩擦による減衰が負であることに原因する自励振動の一種で,一般に鋭いのこ歯状の付着,すべりの振動模様を示す。摩擦係数がすべり速度の増加とともに減少するときや静摩擦から動摩擦に移る際の不連続的な摩擦低下を含むときに発生することがあり,その周期はすべり速度や系の弾性的性質などによって決まる。ただし,単に摩擦の速度特性だけでなく,摩擦面間の微視的な凝着部の形成,破断も関係するといわれている。
スラッジ sludge 燃料および潤滑油が貯蔵中あるいは使用中に変質して析出した油不溶分。各部にたい積したりフィルタを詰まらせて正常な潤滑を阻害する。
スリッパシール slipper seal 角形のみぞの中に入れて用いられる往復動用シール。しゅう動面に充てん剤入りフッ素樹脂などの板状のものを用い,その裏側に角形,丸形などのゴム状弾性体を組み合わせて,しゅう動面への接触面圧を与えるようにした組み合わせシール。
清浄度 cleanliness 金属表面、潤滑油,空気など対象として考えている物体,物質の清浄さの度合い。一定面積または一定容積中に含まれる汚染物の寸法と数または質量によって表す。
セイボルト
ユニバーサル粘度
saybolt universal
viscosity
工業粘度の一種。60mLの試料がセイボルトユニバーサル粘度計を流出する秒数で示され,動粘度(cSt)からも換算する。単位はセイボルトユニバーサル秒(SUS)。
精密機械油 instrument oil 計器,時計など精密機械に使われる油。精製鉱油に精製した油脂を添加したもの,あるいは合成潤滑油が用いられる。良好な油性と長期間連続使用するため,優れた安定性を必要とする。
切削 cutting 固体を刃物で削り取ること。材料を変形してすくい取り,切りくずを生成する。「切る」とは変形を与えず分断することであり,切削は「切る」ことではない。金属切削では,材料に大きなせん断ひずみを与え切りくずとなる。
繊維用潤滑剤 lubricant for fiber 機織りに際して繊維のすべりを良くするため適用する油。無色で粘度の低いスピンドル油のようなものが使われる。変色を防止するため紫外線安定性が要求される。
全塩基価 total number,
total base value
試料1g中に含まれる塩基性成分を中和するのに要する酸と当量の水酸化カリウムのmg数のこと。石油製品では試料のpHが非水塩基性緩衝液のpHより大きいとき,そのpHまで中和するのに要する酸と当量の水酸化カリウムmg数を強塩基価という。
全酸価 total acid
number,total
acid value
試料1g中に含まれる酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数のこと。試料がメチルオレンジ指示薬を赤変させたり,非水酸性緩衝液よりpHが小さいときは,そこまでの中和に要した♯数を強酸価という。
せん断安定性 shear stability 潤滑油が使用中にせん断作用を受け、一時的または永久的粘度低下を起こす場合がある。永久粘度低下は、油成分の化学構造の変化が原因であり,低下した粘度は元に戻らない。せん断安定性とはこのような粘度低下に対する抗性をいう。
疎水基 hydrophobic
group
油と水界面で油の方に配向する原子団。親水基に対するもので,親油基ともいう。炭化水素基などでは炭素数が多いほど親油性が増し,油に溶けやすくなる。
塑性加工 deformation
processing,
forming
素材に弾性限度以上の応力を加えて塑性変形を生じさせ、切りくずを出さずに所望の形状に成形する方法。圧延,押出し,引抜き,鍛造,板材成形,転造などがあり,同一寸法品の迅速な大量生産を得意とする。
塑性変形 plastic
deformation
物体に力を加えて変形させ,外力がある一定値を超えるとき,外力を除去した後に残る永久的な変形。この変形を負荷の変化と同時に生じる塑性変形と,時間に依存する粘性変形とに分ける場合があるが,常温では粘性変形を無視する。
ソリューション油 solution oil 水に可溶な成分のみで構成された油剤。切削,研削加工には無機インヒビタを主成分とするケミカルソリューション型が,作動液には水溶性ポリマーなどを主成分としたソリューション型が使われている。
ソリュブル油 soluble oil 水溶性切削油剤のうち乳化剤を多く用い,多量の水に半透明状に乳化して使用されるもの。切削油剤(JIS K 2241)のW2種に相当し,通常30~100倍に希釈して使う。