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スタビンガー粘度計 SVM(TM)シリーズ(密度・粘度同時測定) | 潤滑油の試験・測定・分析選定BOX | ジュンツウネット21

スタビンガー粘度計 SVM(TM)シリーズを紹介する。スタビンガー粘度計は,ASTM-D7042,D4052に承認され,すでに欧米では広く利用されており国内での採用実績も増えてきている.

株式会社アントンパール・ジャパン  2017/2

1.概要

 潤滑油などの石油製品の動粘度を密度と絶対粘度から同時測定するスタビンガーに新たなモデルが追加され注目されている.現在,従来からの方法としてJISでは石油製品の動粘度はガラス管を使用した細管式粘度計が採用されている.しかしながら,温度調整に要する時間,サンプルの粘度に応じたガラス管の選定や管理,測定後の洗浄や溶剤の使用量など,様々な手間や時間,コストがかかるのが現状のようである.

 今回紹介するスタビンガー粘度計は従来法の問題点をすべてクリアする画期的な製品である.ASTM-D7042,D4052に承認され,すでに欧米では広く利用されており国内での採用実績も増えてきている.

 特に新たなモデルであるSVM(TM) 4001(写真2)はダブルセル方式(2つの測定セル)を採用し,少量のサンプルで40℃と100℃の測定を同時に1台で行えるため大幅に時間短縮が可能な画期的な装置である.

SVM(TM) 3001

写真1 SVM(TM) 3001

SVM(TM) 4001

写真2 SVM(TM) 4001

2.スタビンガー式動粘度測定原理

 動粘度の式は,動粘度=絶対粘度(mPa・s)÷密度で表される.図1図2に示す通り,スタビンガー粘度計SVM(TM)シリーズの測定セル部は粘度測定部と密度測定部が1つのセルに格納され,サンプル導入時に絶対粘度と密度を同時に測定して動粘度を算出する.粘度測定部も密度測定部もペルチェ素子により電気的にきわめて厳密に温度が調整されている.

SVM(TM) の測定原理

図1 SVM(TM) の測定原理

SVM(TM) 3001の測定セル

図2 SVM(TM) 3001の測定セル

3.SVM(TM) 3001とSVM(TM) 4001

 SVM(TM) 3001と最新SVM(TM) 4001の大きな違いは,測定セルの搭載が1つであるか2つであるかの違いである.測定セルが2つあることにより40℃と100℃のように異なる2つの温度での同時測定が1台で可能になるのである.2つのモデルの比較表を表1に示す.

表1 SVM(TM) 3001とSVM(TM) 4001の比較
仕様
SVM(TM) 3001
SVM(TM) 4001
外観
SVM(TM) 3001
SVM(TM) 4001
温度範囲
-60~+135℃
+15~+100℃
せん断粘度範囲
0.2~30,000mPa・s
動粘度範囲
0.2~30,000mm2/s
密度範囲
0.6~3.0g/cm3
せん断速度範囲
通常 0.5~1,100/s(サンプルと温度による)
粘度繰り返し精度
0.1% *1
粘度再現性
0.35% *1
密度繰り返し精度
0.00005g/cm3
0.00005g/cm3
密度再現性
0.0001g/cm3
0.0001g/cm3
温度繰り返し精度
0.005℃
温度再現性
0.03℃(15~100℃),それ以外の範囲は0.05℃(SVM(TM) 3001)
主な機能
SVM(TM) 3001
SVM(TM) 4001
TTS(温度テーブルスキャン)
TS(温度スキャン)
VI 値
低温測定
昇温・冷却レート(最大)
20℃/min
10℃/min
主な特徴
マイナス測定とSTEP昇温
ダブルセル採用
ペルチェ 温度制御
STEP昇温/冷却可能
VI 値 異なる2つの温度を測定可能
主な規格
ASTM D7042,EN 16896,ASTM D4502,ISO 12185
ASTM D7042,EN 16896,ASTM D4502,ISO 12185
サンプル量  最少/通常
1.5mL/5mL
2.5mL/6mL
溶剤  最少/通常
1.5mL/6mL
2.5mL/10mL

*1 理想的な流体(ニュートン流体)でWork Adjustment range のサンプルに適用.サンプルの不確かさは含まれません.
(備考)A.-20℃以下の測定では恒温循環槽が必要になります.詳しくはお問い合わせください.
(備考)B.-20℃以下の測定では結露防止の乾燥エアーまたは窒素パージが必要になります.詳しくはお問い合わせください.

4.SVM(TM) 3001の特長

 SVM(TM) 3001の最大の特長は測定温度範囲が広く-60℃から最大+135℃までの広範囲での測定が可能である.さらに昇温または降温(冷却)のような温度を変えながらの測定も可能である.主な特長を下記にまとめる.

  • VI 値の測定が可能(40℃/100℃)
  • 自由にSTEP昇温・冷却設定が可能.例えば-5℃⇒0℃⇒20℃⇒40℃⇒60℃⇒80℃⇒100℃の測定の場合は循環恒温槽が不要
  • 最大20℃/分の昇温・冷却レート(強力なエアーペルチェを搭載)
  • -20℃までは循環恒温槽なしで機器単独で低温測定が可能(ただし結露防止用の乾燥エアーもしくは窒素パージが必要)(写真3
  • 循環恒温槽を別途付属することで-60℃の測定が可能.主に研究開発用途に最適

SVM(TM) 3001(-20℃まで循環恒温槽不要)

写真3 SVM(TM) 3001

5.SVM(TM) 4001の特長

 測定セルを2つ搭載したダブルセル構造により,1回およそ5mL程度のサンプルで40℃と100℃を同時に測定し高速でVI 値を計測できる(図3写真4).主な特長を下記にまとめる.

  • 異なる2温度同時測定(例えば20℃と80℃,15℃~100℃の2温度など)
  • サンプル量も少なく1回,5mL程度でVI 値を通常4,5分で測定し算出
  • 主に品質管理のラボでVI 値を連続的に測定する用途に最適

SVM(TM) 4001の測定セル

図3 SVM(TM) 4001の測定セル

(a)SVM(TM) 4001の画面
(a)SVM(TM) 4001の画面

(b)SVM(TM) 4001の測定セル
(b)SVM(TM) 4001の測定セル

写真4 SVM(TM) 4001の画面(a)と測定セル(b)

6.従来法との比較

 従来法(細管式粘度計)との相関性も十分にありASTMでの各国での検証結果を表2および図4にまとめる.40℃潤滑油での繰り返し精度,再現性,偏差0%と相関性がきわめて良いのが示されている.

表2
ASTM承認番号
D445
D7042
方式
細管式
スタビンガー式
繰り返し精度
0.11%
0.09%
再現性
0.65%
0.58%
相対偏差
0.0%

ベースオイルの40℃における持ち回り試験の結果

スタビンガー式(D7042)と細管式(D455)の比較

図4

7.自動サンプラーの使用

SVM(TM)自動サンプラー使用

写真5

 スタビンガー粘度計SVM(TM) 3001およびSVM(TM) 4001は自動サンプラーを取り付けることができ,面倒な測定・洗浄・乾燥という一連の粘度測定サイクルを少量サンプルで驚くべき短時間で実現する.自動化・無人化による大幅な時間とコストの削減が実現できる.自動サンプラーXsample530を使用することにより最大30,000mPa・sの高粘度サンプルを最大71本の連続自動測定ができる.(写真5

8.特殊オプション

SVM(TM) 3001パーティクルトラップ使用

写真6

 使用油の測定では主に鉄粉などの磁性を帯びた粉体が多く含まれる場合がある.鉄粉(磁性粉)が多く含まれると測定結果のばらつきの原因にもなるので,鉄粉(磁性粉)がサンプルとともに測定セルに導入してしまう前に事前にトラップし,洗浄時に自動的に洗い流すパーティクルトラップというオプションが使用可能である.(写真6

9.低温オプション

SVM(TM) 3001低温オプション使用

写真7

 SVM(TM) 3001は0℃以下の低温測定も可能で,低温循環槽と結露防止の乾燥エアードライヤーを使用により-60℃までの低温測定も可能である.最近ではジェット燃料や絶縁油,エンジンオイルなど低温粘度計としての利用も増えてきている.(写真7

10.屈折計との接続

 屈折率計との接続も可能で,粘度・密度・屈折率を同時に測定することが可能である.ASTM D2140,D2501,D3238に準拠したパラフィン系炭化水素,ナフテン系炭化水素,芳香族炭化水素の比率を求める環分析も可能で,ASTMなどの試験法に準拠した値を自動計算することができる.主に絶縁油や可塑剤の環分析に利用されている.(写真89

SVM(TM)と屈折計を接続

写真8

屈折計と接続した測定

写真9

11.主な用途

 潤滑油(新油,使用油),ギヤオイル,燃料(ガソリン,軽油,ジェット燃料,重油,灯油),添加剤,絶縁油,シリコンオイル,パラフィンオイル,ワックス,香料,グリセリン,グリコール,レジスト,その他化学用品,化粧品の原料等.

12.おわりに

 以前は石油,自動車,電力,建機等が主な用途として使用されていたが,測定の利便性と多様さから業界を問わず採用実績が増えてきている.今後も更なる新しい用途に使用されることが期待される.
 

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