ドアクローザとは,一般住宅をはじめ各種のオフィスビルやホテルなどのドアの開閉に使用される装置です。そしてその開閉効果を円滑にするため,ドアクローザの内部に封入されているオイルがドアクローザオイルです。
ドアクローザオイルとは
ドアクローザオイルとはどのような性能のオイルですか。
解説します。
ドアクローザとは,一般住宅をはじめ各種のオフィスビルやホテル,最近ではインテリジェントビルなどのドアの開閉に使用される装置です。ドアクローザにはさまざまなタイプがあります。
一般にドアクローザには,ドアの上部に取り付けられている普通のタイプとコンシールド型といって上枠またはドア上かまちに埋め込まれ,外から見えないタイプがあります。また,フロアに埋め込んで使用するフロアヒンジやピボットヒンジ型と呼ばれるものもあります。構造はラックとピニオンの歯車方式を採用しているのが一般的ですが,各メーカーとも新技術を駆使して開閉効果を高めているようです。そしてその開閉効果を円滑にするため,ドアクローザの内部にオイルが封入されています。これがドアクローザオイルです。
1. ドアクローザオイルの役割
ドアを開けた場合それを閉めるのがドアクローザの役割ですが,その時速く閉まり過ぎたり,遅くなり過ぎたりしても通行に支障をきたします。そこでドアを開けてから15~20゜ぐらい閉まるまでの区間を比較的速く,そこから最後までの区間は,安全のためにゆっくり閉まるように速度調整をしています。この調整はドアクローザオイルの流量をコントロールするバルブの調整により簡単に調整することができます。
このようにドアクローザオイルは,開閉速度を設定するために重要な役割を担っています。
2. ドアクローザオイルに要求される性状
(1)適正な粘度
ドアの開閉をスムーズに行うためには,適正な粘度を持った潤滑油が要求されます。またドアクローザは外気温にさらされるため,寒暖の差による粘度変化の少ないことが重要です。さらに極寒地域等に対し,良好な低温流動性を持つことが必要です。日本の場合には海外に比べて比較的外気温の差が少ないので,国内用,輸出用で油の性状を変えているドアクローザメーカーもあります。
(2)摩耗および摩擦特性
ドアクローザは半永久的なドアの開閉に耐え,初期の性能を維持しなければなりません。そのためラックとギヤーの摩耗,ラックとギヤー軸およびピストンとケーシングのしゅう動部の摩擦を少なくすることが重要です。
(3)耐シール性
ドアクローザはオイルシールとしてOリングを使用しているのが一般的ですが,Oリングは油によって体積が変化したり,硬度が変化したりします。したがってできるだけOリングの性状が変化しない油が必要です。
(4)あわ立ち防止性
ドアクローザオイルに泡が立つとバルブオリフィスを通過する際に異音を発生します。したがって消泡性の良い油が要求されます。
(5)ドアクローザオイル(国内用))の一例
密度 g/cm3@15℃ |
0.8804
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粘度 @ 40℃ |
68.18
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粘度 @100℃ |
16.12
|
粘度 @-18℃ |
1700
|
粘度指数 |
253
|
流動点 ℃ |
-50.0
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引火点 ℃ |
194
|
アニリン点 ℃ |
92.0
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