潤滑油添加剤はどのようにして造られるのですか。
解説します。
潤滑油添加剤は性能または使用目的から表1のように分類されます。
表1
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これらをコンポーネント添加剤,または単にコンポーネントといいます。各コンポーネントには化学構造上,多くの種類があります。製法はコンポーネントの化学構造グループごとに異なりますが,基本的には原料を製造装置に投入し,一定の条件(温度,圧力,撹拌,時間,使用する溶媒や触媒の種類など)の下に化学反応を進行させます。反応生成物がそのまま製品として扱えるものと,脱溶媒,ろ過などの精製工程を経てから製品になるものがあります。
コンポーネントの製造に使われる主な反応方式はスルホン化,中和,アルキレーション,アミネーション,硫化,重合,縮合,エステル化などです。一つの反応で製造されるコンポーネントもありますが,多くのコンポーネントは2段,3段と異なる複数の反応の組み合わせで製造されます。
潤滑油は精製した鉱油系(あるいは化学合成系)基油に添加剤を混合して製造されます。添加剤が固体や粘度の高い液体では,潤滑油製造工場において基油に混ぜにくいので,ほとんどの添加剤は鉱油系基油であらかじめ希釈し,粘度調節された液体として製品化されます。清浄剤のアルキルベンゼンスルフォネートや,粘度指数向上剤のポリメタクリレートのように,使用する鉱油系基油を溶媒としてその中で原料または中間体を反応させ,鉱油溶液として製品化するコンポーネントもあります。
多種のコンポーネントを必要とする潤滑油の製造では,それぞれのコンポーネントを秤量して製造装置に供給するのは作業効率が良くないので,添加剤メーカーでそれらのコンポーネントをブレンドしたパッケージ添加剤(単にパッケージという)を使用するのが一般的です。粘度指数向上剤はブレンドする潤滑油の粘度グレードによって,また流動点降下剤は使用する基油によって添加量を決定することが必要なので,それらはほとんどのパッケージに配合されません。