切削加工における加工運動と工作機械の種類を整理し,そのなかから回転運動について加工例をあげて解説します。
工作機械の加工運動について(回転運動による加工例)
工作機械による加工方法はいろいろな方法があるそうですが,加工例をあげてご説明ください。
解説します。
物の形を造りだす加工方法は多種多様にありますが,工作機械によって行われる機械加工は,切削加工,研削加工,塑性加工,特殊加工の四つに大別されます。
ここでは,切削加工を中心に工作機械の加工運動を整理し,そのなかから回転運動について加工例をあげてご説明致します。
1. 切削加工における工作機械の近況
ここ数年,切削加工に用いられる工作機械は,従来からの単能盤や高生産形の多軸自動盤または専用機(トランスファマシンなど)などにかわって,数値制御付機械(NC旋盤やマシニングセンタ)が新規設備の大半を占めています。さらに最近では,NC旋盤の機能にマシニングセンタの機能が付加された“ターニングセンタ”や高回転数(~50,000rpm)を実現した“高速マシニングセンタ”が開発されています。
それらは,高能率生産によるコスト低減,自動化による省力・無人化に対応しています。
2. 切削加工と工作機械の加工運動
(1)加工運動の分類
切削加工とは,工作物(主として金属)を所要の形状につくりあげるため,工作物の不用部を刃物(工具)で取り除く作業です。その際,不要物は切りくずとして生成されます。
表1に切削加工における加工運動と工作機械の種類を整理して示します。
工作機械の加工運動は,主として回転運動によるもの,主として直線運動によるもの,工具と工作物の間の創成作用によるもの,の三種類に分類されます。その運動をするものが,工具なのか工作物なのかによって,旋盤やフライス盤,ブローチ盤などの工作機械に分類されます。
表1 切削加工と工作機械の加工運動
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(2)回転運動による加工例
各工作機械における切削工具とその作業内容を表2にまとめました。
表2 工作機械に使用するおもな工具と作業内容
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回転運動をする工作機械から,旋盤とフライス盤についての加工例をご紹介致します。
1.旋盤(工作物が回転運動する)
工作物は主軸に取り付けられたチャックなどによって保持され回転し,工具(主としてバイト)に送りを与えて円筒形の外径,中ぐり,突切り,ねじ切りなどの加工を行います。
旋盤は,倣い旋盤,多軸自動旋盤,NC旋盤,ターニングセンタと多くの種類があります。
汎用旋盤での加工例を図1に示します。
図1 旋盤の加工例 |
2.フライス盤(工具が回転運動する)
工作物をフライス盤のベットに取り付け,主としてフライスカッタを用いて,平面削り,溝削りなどの加工を行います。また,ドリル,リーマなどを用いて穴加工を行う場合もあります。
工具は主軸とともに回転し,工作物に送り運動を与えます。旋盤と正反対な動きをするわけです。
主軸が水平のものを横フライス盤,主軸が垂直なものを立フライス盤といいます。
機械は,万能フライス盤からプラノミラー,マシニングセンタと,旋盤同様に多くの種類があります。
フライス盤での加工を図2に示します。
図2 フライス盤の加工例 |