Oリングのはみだしによるトラブル | ジュンツウネット21

Oリングの装着溝からのはみだしは,ゴム硬さ,使用圧力およびすきまと密接な相関関係があります。

Oリングのはみだしによるトラブル

Oリングのはみだしによるトラブルについて教えてください。
解説します。

油圧機器は,高性能化に伴いシール対象が高圧となるケースが増えています。これは,油圧機器が高圧化することで,使用される機器全体のコストダウンと軽量化・能力の向上につながるためです。しかし,高圧化においてOリングの装着溝からのはみだしが問題となります。これは,Oリングが装着溝からすきまへはみだした時に発生した亀裂が,さらに圧力が負荷されることで切断に至るまで進行し,最終的に漏れへと発展するためです。

はみだしは,ゴム硬さ,使用圧力およびすきまと密接な相関関係があります(図1)。Oリングは,JIS B 2401の1種Aや4種Dに代表されるように硬さ70度のものが標準的に規格化されていますが,図1から読み取れるように,標準硬度(70度)以上の高硬度材料を選定することで,同じすきまでも高い圧力まで対応することが可能であり,はみだしに対して一定の効果があることが確認できます。

Oリングの硬さ・圧力・すきまの関係

備考
(1)試験条件
  1)バックアップリングは使用していない。
  2)流体圧力によるシリンダのふくらみは0とする。
  3)大気圧力から,図示圧力まで150回/分のサイクルで10万回後の結果を示す。
(2)流体圧力によるふくらみが予想される場合には,図の値の75%以下のすきまにしなければならない。

図1 Oリングの硬さ・圧力・すきまの関係

(画像クリックで拡大。ブラウザの戻るで戻ってください)

しかし,圧力条件がさらに高圧となった場合には,いくら高硬度のエラストマー材料を選定したとしてもOリング単体での対応は限界に達し,はみだしが発生します。この場合,エラストマー材料より機械的強度に優れたものをはみだし対策としてOリングの非圧力側(Oリングのはみだしが想定される側)に装着することで,更なる高圧化への対応が可能となります。このように,はみだし対策として使用されるものはバックアップリングと呼ばれます。バックアップリングの材質としては,各種存在しますが,ガラス繊維等の充てん材入りPTFE等が一般的に用いられています。

ブルカージャパン ナノ表面計測事業部

アーステック



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最終更新日:2021年11月5日