Oリングのひずみによるトラブル | ジュンツウネット21

Oリングのひずみによるトラブル

Oリングのひずみによるトラブルについて教えてください。
解説します。

Oリングはエラストマー材料が持つ弾性を利用し,適度な圧縮を与えシールを行うスクイーズパッキンの代表です。エラストマー材料が弾性を有する間はシール機能を発揮しますが,エラストマー材料が劣化し,弾性を失うとひずみが発生しシール機能は低下します。メンテナンスが容易な箇所であれば,シール機能が低下した時点で交換できますが,埋設配管の継ぎ手部シールのような場合は,簡単に交換することはできません。

このようにメンテナンスが困難であり,長期間の使用が想定されるような箇所に,熱等の影響によりひずみを起こしやすい材料を選定した場合,使用環境にもよりますが,短時間で漏れを生じる恐れがあります。

エラストマー材料のひずみの良し悪しを示す指標として圧縮永久ひずみがあります。圧縮永久ひずみとは,一般にCS(Compression Set)とも呼ばれ,JISでは,圧縮変形を起こさせる力を完全に除去した後も残存する変形と定義されています。その試験方法は,JIS K 6262(加硫ゴムおよび熱可塑性ゴムの永久ひずみ試験方法)にて規格化されており,表1によって算出されます。

表1 圧縮永久ひずみの算出式
  Cs=(t0-t2)/(t0-t1)×100
Cs 圧縮永久ひずみ(%)
t0 試験片の元の厚さ(mm)
t1 スペーサーの厚さ(mm)
t2 試験片を圧縮装置から取り外し,30分後の厚さ(mm)

この圧縮永久ひずみの数値が小さければ,圧縮による変形がひずみとして残存していないことから弾性を十分保持しており,逆に圧縮永久ひずみの数値が大きければ,圧縮による変形がひずみとして残存し,弾性が失われていると判断できます。

冒頭にも記述しましたが,Oリングは圧縮してシール機能を発揮するタイプのシール材であるため,圧縮永久ひずみとシール寿命については密接な関係があります。一般的には,圧縮永久ひずみが80%に到達した時点がシール寿命であるといわれています。

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最終更新日:2021年11月5日