世界をリードするアントンパールの密度・濃度測定 | 水溶性油剤の廃油廃液減量化対策 | ジュンツウネット21

「世界をリードするアントンパールの密度・濃度測定」  2010/10

株式会社アントンパール・ジャパン

1. はじめに

密度は液体に限らず,あらゆる物質の基本物性の1つであり,以下の式で算出される。

ρ=Mass/Volume

密度の単位はg/cm3(CGS単位系),kg/m3(MKS単位系)などと表されるが,一般的にg/cm3がよく用いられている。例えば空気の密度は0.0012g/cm3,水の密度は0.9982g/cm3という感じである(数値はいずれも20℃での値)。

物体の体積は温度によって変化するため,密度もまた温度に対して敏感な物性値であり,その測定に際しては測定温度の厳密なコントロールが必須となる。密度とともによく使われる数値として水の密度に対する比である比重があるが,同じ測定温度での比重や固定物性値である4℃の水の密度に対する比重など,温度に対しては非常に厳格である。特にオイルなど石油製品においては,例えばその取引において容積と密度を正確に測定し,温度による容積の変化を補正した絶対容量での取り扱いが通例となっている。

液体の密度を測定する密度計として現在使われているのは,主に「浮きばかり式」「比重びん式」そして「振動式」に大別される(図1)。

密度計-浮きばかり式・比重びん式・振動式
図1

これらはいずれも原油および石油製品の密度試験法としてJISに規定された手法*1であり,測定手順から15℃での密度換算式まで事細かに規定されている。中でも振動式密度計は,他の方式と比べ,少量のサンプルで細やかな温度制御が可能であり,繰り返し精度と再現性の精度が高いため,数多く利用されるようになってきている。

ここでは,振動式密度計として市場最高精度を誇る,当社のU字管振動式密度計「DMA-Mシリーズ」について,基本原理と装置概要,実際の応用事例などについて述べる。

2. U字管振動式密度計の概要

振動式密度計は,ガラス製U字管試料セルにサンプルを充填し,これに初期振動を与えると,試料セルは充填したサンプルの質量に比例した固有振動周期で振動する。よって,セルの容積が既知であれば,サンプルの密度を算出することができる。この原理は1964年にグラーツ工科大学のDr. Stabinger教授によって見いだされた。固有振動周期をPとすると,セルの固有係数A,Bを用いて,以下の式で密度ρが算出される。

  ρ=A×P2-B

この原理を元に,1967年にアントンパール社が世界で初めて製品化に成功し,現在に至るまでU字管振動式密度計の世界最高水準を維持し続けている。

U字管振動式密度計の特長として,以下の点が挙げられる。

(1)真の密度を測定している

質量に依存する測定であり,重力や空気浮力の影響を受けないため,得られる密度は真の値となる。

(2)最高水準の精度

JIS規定の各測定法の中でも精度が最も高く,また人為的誤差もほとんどない。

(3)必要サンプル量が少ない

セルの容量が1mL程度で十分な精度が得られる。

(4)温調が容易で高精度

小型のセル全体を容易に温調可能なため,短時間で厳密な温度調整ができる。

(5)測定時間が短い

温度が安定してからの実際の測定時間は1分もかからない。室温付近であれば注入から数分以内で測定が完了する。

(6)インラインの連続測定システムが組める

製造ライン中に組み込んだプロセス管理も可能(当社製品にもプロセス用機器がラインナップされている)。

これらの特長を生かした,アントンパール密度・濃度計「DMA-Mシリーズ」の詳細を以下で述べる。

3. 密度・濃度計DMA-Mシリーズ

密度・濃度計「DMA-Mシリーズ」(写真1)は,各種最先端機能を備えたラボ用の高精度密度計である。特にハイエンドモデル「DMA5000M」は,世界一の最高精度を誇っている。また,このシリーズは,様々な新しい機能を備えている。以下に代表的な新機能について説明する。

密度・濃度計DMA-Mシリーズ
写真1

【フィリングチェック機能】

充填の失敗やサンプル内の気泡といった問題を自動的に検出して警告を発し,記録する機能である。この機能により,どのような測定条件下でもサンプル充填が正しく行われると確信を持って測定ができる。

【ユービュー機能】

サンプルセルをCCDカメラで常時撮影し,サンプルの充填プロセスを画面上で監視することができ,充填後のサンプルセルの画像を保存することもできる。この画像保存機能により,特にオートサンプルチェンジャを使用している場合でも,持ち場を離れて装置にすべてを任せても問題ない。

【サーモバランス機能】

この機能により,温度1点のみの校正で測定温度範囲すべてでの迅速な高精度測定が可能となる。温度ドリフトが自動補正され,設定温度とかけ離れた温度のサンプルを充填しても安定した高精度の測定が可能である。

【タッチスクリーン】

使いやすいタッチスクリーンによって作業が効率的に行える。使用頻度の高い機能を短縮ボタンに設定したり,ユーザーごとに機能制限レベルを設けることで誤操作や誤設定を防止することもできる。

【その他】

プラグ&プレイのオートサンプルチェンジャ,USB/LAN/RS232Cなど,様々なインターフェイスによる外部出力,内蔵自動気密計による正確な空気調整など,細やかで柔軟性の高いオペレーションを可能にする装置構成となっている。各モデルの性能を表1に示す。

表1
  DMA4100M  DMA4500M  DMA5000M 
温度[℃][℃][℃]
範囲0~900~900~90
精度0.050.030.01
 再現性標準偏差 0.020.010.001
 
密度[g/cm3][g/cm3][g/cm3]
範囲0~30~30~3
精度0.00010.000050.000005
再現性標準偏差0.000050.000010.000001

「DMA-Mシリーズ」は,固有振動U-tubeを中心に,各種センサー,温調用ペルチェブロックが一体化した設計になっており,高精度の温度調節と,高精度の密度測定を実現している。特に「DMA5000M」の10-6という世界最高を誇る精度は,他社にはないアントンパールのみの性能である。

接液部はガラスセルおよびPTFE樹脂パーツのみなので,石油系の液体や強酸などでも問題なく測定できる。密閉系のセルユニットは揮発性のサンプルでも安定した測定を可能にしており,石油製品やエンジンオイルの密度測定はもちろん,アルコール含有系,特にビールやワインなどのアルコール濃度測定,濃硫酸の密度測定など,様々な分野で広く用いられている。

規格化された濃度測定や,業界で必要とされている係数補正などの密度から換算が必要な数値については,外部計算機などを用いる必要はなく,DMA-M本体にプレインストールされている換算テーブルや換算係数を用いて,自由に好きな数値を一発表示させることが可能である。もちろん,プレインストールされた換算式のみならず,ユーザーごとに自由に換算テーブルや換算式を作成し,それを同時に表示させることも容易にできるようになっている。

「DMA-Mシリーズ」は,各国の各種規格にも準拠しており,例えば飲料分野ではAOAC international *2など,医薬・化粧品分野では21CFR part11 *3など,石油分野においてはDIN51757 *4,ISO12185 *5,ASTM D4052-09 *6,ASTM D5002-99 *7など,数多くの規格において当社の「DMA-Mシリーズ」と各種オプションが標準としての要求を満たしている。

DMA-Mシリーズ構造
図2

4. さらなる拡張性

「DMA-Mシリーズ」は,様々な機器との連携が可能である。以下にその連携を例示しつつ,実際の測定事例について紹介する。

【オートサンプルチェンジャ Xsample】(写真2

ペリスタポンプによる輸液を行うタイプと,シリンジポンプによる吸引・充填を行うタイプが存在する。それぞれ24/48/96連装があり,どのタイプもプラグ&プレイで簡単にセットアップすることができる。高温で測定する場合,測定セルは温調しているものの,オートサンプラーとインジェクションの温度が常温のままで,粘度の高いオイルなどのサンプルが吸引できないという装置も世の中にはあるが,当社ではインジェクションおよびオートサンプルチェンジャにも温調装置を組み込み,測定温度近傍の条件でサンプル導入が可能なオプションもご用意している。

オートサンプルチェンジャ Xsample
写真2

【高温・高圧セル(DMA-HP/HPM)】(写真3

耐腐食合金製の外部セルを接続することで,圧力0~700/1400barという高圧条件での測定が可能となる。もちろん,操作はDMA本体のタッチスクリーンから通常と同じ感覚で行うことができる。また,測定温度範囲が-10℃~200℃まで設定できるので,例えば潤滑油やエンジンオイルの実際の使用条件に近い温度での測定が行える。ASTM D4052-09 *6,D5002-99 *7においては,DMA-HP/HPMを用いて測定する,600mmHg定圧力条件での測定法についても記載されている。

高温・高圧セル(DMA-HP/HPM)
写真3

【密度・音速計(DSA5000M)】

これは拡張オプションというよりは「DMA5000M」のバリエーションと呼ぶべき機種である。密度計セルおよび音速計セルを搭載しており,同じサンプルで密度と音速を同時に測定することが可能である。媒体に含まれる成分の濃度で密度も音速も変化するが,成分の種類によりその変化率が異なるため,同時測定により例えば硫酸と発煙硫酸といった3成分系の濃度測定が可能となる。また,インク顔料やユーズドオイルのような固形分が含まれた分散系サンプルの場合,密度と音速から算出される体積弾性率(または圧縮率)という数値により,分散系サンプルの流動変形に関する情報を得ることもできる。

【屈折率計(RXA 156/170)】(写真4

屈折率もまた,密度同様にサンプル濃度によって敏感に変化する物性値である。そのため,香料業界や医薬業界などでは品質管理項目に密度と屈折率を測定することが規格として決まっているなど,多成分系の最終品質を管理するのに非常に有効な組み合わせとなっている。清涼飲料に含まれる糖の濃度やバイオディーゼル燃料中のグリセリン濃度など,換算テーブルを用いて多成分の中から特定の成分の濃度を測定している例もある。また,屈折率は特に相分離した系で大きく変化することから,ジェット燃料やブレーキフルードのような,油系にわずかに含まれた水分の検知に使われている事例が数多くある。これもまた,特に品質管理の段階で広く使われている。

屈折率計(RXA 156/170)
写真4

【旋光度計(MCPシリーズ)】(写真5

不斉炭素を持つ光学活性体や偏極面を持つ結晶などが含まれた液体は,旋光度を測定することでその含有量を知ることができる。例えば医薬分野では,密度と旋光度を同時測定することで,密度から対象物質の濃度を,得られた濃度値と旋光度からその光学純度を算出することが可能である。合成添加剤を含む製品の最終検査,品質管理などに広く活用可能である。

旋光度計(MCPシリーズ)
写真5

【その他/アルコライザー・CarboQC・OxyQC】(写真6

近赤外によるアルコール濃度測定器,炭酸ガス濃度測定器,酸素濃度測定器などが,主に飲料系分野で用いられている。前述の装置も含め,3種以上の装置を組み合わせた飲料測定システムとしてのパッケージ販売も行っている。

アルコライザー・CarboQC・OxyQC
写真6

5. おわりに

密度とは,単純で古来より使われてきた物性値であるが故に,その応用範囲は幅広く,より高精度な,より再現性の高い測定機器が求められている。当社の密度・濃度計「DMA-Mシリーズ」は,世界一の精度と高い再現性,そして簡便な取扱いと広がる拡張性により,これからも世界をリードし続けていく装置である。

〈参照〉
*1 JIS K 2249:原油及び石油製品-密度試験方法及び密度・質量・容量換算表に関する規格
*2 AOAC international
*3 21CFR part11:米国連邦規則21条第11章(電子記録・電子署名に関する規制条例)
*4 DIN51757:Testing of mineral oils and related materials; determination of density
*5 DIN EN ISO 12185:1996 :Crude Petroleum andPetroleum Products - Determination of Density. Oscillating U-Tube Method
*6 ASTM D4052-09:Standard Test Method for Density, Relative Density and API Gravity of Liquids by Digital Density Meter
*7 ASTM D5002-99(2005):Standard Test Method for Density and Relative Density of Crude Oils by Digital Density Analyzer