動粘度計SVM3000 G2によるバイオディーゼル測定 | 潤滑油・作動油の清浄化対策 | ジュンツウネット21

「動粘度計SVM3000 G2によるバイオディーゼル測定」  2007/1

株式会社アントンパール・ジャパン

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バイオディーゼルは,ディーゼルエンジン車での使用に適した燃料であり,100%の濃度で使用(B100),または石油ディーゼルへの混合燃料として使用(EU規制に基づくB2.5~B5など)が可能である。また,石油ディーゼルと比較して排ガスをほぼ削減でき,生分解性が高く,更に引火点が高いという特長がある。基本原料(供給原料)に応じて,たとえばRME(Rapeseed Methyl Ester:菜種油メチルエステル)やSME(Soybean Methyl Ester:大豆油メチルエステル)など,さまざまな植物油を原料としたメチルエステルに分類することができ更に,TME(Tallow Methyl Ester:動物性油メチルエステル)などの動物性油や食用廃油もバイオディーゼルの原料となる。

燃料へのエステル交換を行うためには,油脂や脂肪にメタノールまたはエタノール,及びその他の添加物を加える必要があり,これらの油脂のエステル結合(トリグリセリド,遊離脂肪酸エステル)は標準圧においておよそ60℃で開裂し,脂肪酸がメタノールまたはエタノールによりエステル交換される。このプロセスで形成されたグリセリンは,バイオディーゼルから分離させる。

1. 粘度を測定する理由

エステル交換プロセスにより,バイオディーゼルの粘度はその原料と比較して大幅に低くなり,セタン価(着火しやすさを表す数値)が高くなる。

バイオディーゼルの粘度は,噴射ノズルの潤滑さや燃料の噴霧化に影響する。

粘度が低すぎると燃料ポンプと噴射ポンプで十分な潤滑レベルが得られずその結果,漏れや磨耗の発生が増加し,より高い粘度のバイオディーゼルでは,その噴霧化においてより大きな液滴が形成されるため,燃焼率の低下とともに排煙や排ガスの増加を引き起こすことがある。

低温での粘度が高すぎる場合には,燃料輸送でさまざまな問題が発生し,燃料噴射ポンプの損傷に繋がることがある(爆発など)。

このようなことから,粘度を正確に監視することはバイオディーゼル及びバイオディーゼル混合物の品質を評価するために重要である。

<粘度パラメーターと一般的な粘度>

動粘度,40℃[mm2/s,cSt]

バイオディーゼル3.5~5.0mm2/s,40℃(DIN EN 14214)
1.9~6.0mm2/s,40℃(ASTM D6751)
石油ディーゼル(ASTM D975)1.3~2.4mm2/s,40℃(グレードNo.1-D)
1.9~4.1mm2/s,40℃(グレードNo.2-D)

配合済みのバイオディーゼルと石油ディーゼルの混合物の粘度は,ASTM D975で規定された値の範囲に制限される。

動粘度,-20℃[mm2/s,cSt],冬季のディーゼル特性
 CFPP(Cold Filter Plugging Point:目詰まり点)が20℃以下の場合には,-20℃において最大48mm2/sとなる。これは,CFPPクラスF及び0~4(DIN EN 14214,EN 116/IP 309を参照)に適用される。

2. 従来の粘度測定方法

従来動粘度は,ASTM D445またはISO 3104の規格に基づきガラス製細管粘度計で測定されていた。動粘度は,ランタイムt1及びt2をキャピラリー定数Cと,場合によっては補正係数の乗算から算出される。

測定では手動または自動で充填されたキャピラリーを使用し,以下の項目で改善が必要である。

  • 設置面積(細管式粘度計と恒温槽)
  • 恒温槽内でのキャピラリーの温度調整
  • 測定時間
  • 溶媒消費量,測定に要するコスト
  • 手動でのデータ処理(計算ミスなど人為的誤差)

3. SVM3000による粘度測定

SVM3000を使用した粘度測定は,ASTM D7042規格に基づいて行う。この規格では,ASTM D445,DIN 51562,及びISO 3104と比較可能な結果を得ることが出来る。

粘度と密度の測定は自動化されており,機器の充填と洗浄はオートサンプラーを使用することで完全に自動化出来る。パソコンによる制御は必要としないが,シリアルインターフェースを介して測定データをパソコンに取り込むことが可能。

<ガラス製細管式粘度計との比較におけるSVM3000の特長>

  • より少ない設置面積で測定可能
  • より少ないサンプル量で測定可能
  • 迅速な温度調整(恒温槽が不要)
  • サンプルを充填するだけで,詳細な計算を行わずに粘度を測定可能
  • より少ない溶媒消費量,低コスト
  • 高いサンプルスループット

4. SVM3000による密度測定

SVM3000による密度測定では3桁以上の精度での測定が出来る。バイオディーゼル燃料の粘度測定の標準温度が40℃であるため,密度もこの温度で測定される。SVM用のAP SoftPrintに含まれるAPIテーブルを使用することで,密度,比重,及びAPIグレードを標準温度15℃,20℃,及び60oFでそれぞれ算出することができ,これらのテーブルで使用する温度係数特有の不確実性により,測定結果は小数点以下3位までの精度となる。

手動充填によるSVM3000

SVM3000は,ASTM D7042規格に基づいた測定を準備出来る。繰り返し測定回数,繰り返し性の制限値,及びすべての測定データの保存オプションが設定可能である。

測定の開始前,セル内には2mL以上のサンプルを充填する必要があり,初回の測定準備が整うと,データは内部データメモリーに保存される。次に,シリンジから更に1mLを追加充填して,2回目の測定を行う。装置は初回と2回目の測定結果を比較し,測定結果が繰り返し性の偏差制限を超えている場合には3回目の測定のための充填が要求される。そして2番目の測定ウィンドウには,2つの測定結果間の偏差が表示される。

有効な結果が得られた後,測定セルの洗浄と乾燥の準備を開始する。

  • サンプル容量(ASTM D7042に基づく測定のため):最低 3mL
  • 3回の繰り返し測定:5mL
  • 溶媒:洗浄液のナフサ
  • サンプル充填:5mL,プラスチック製使い捨てシリンジまたはガラス製シリンジ
SVM3000
SVM3000

自動充填によるSVM3000

オートサンプラーXsample460は,48個(またはオプションで96)のバイアル瓶を装填可能なマガジンを備えており,これによってASTM D7042規格に基づく測定を完全自動化で実行出来る。繰り返し測定回数や繰り返し制限値などの必要なパラメーターを設定すると,サンプルの充填,測定,データ処理,洗浄,および乾燥はすべて自動的に実行可能になる。

測定セルの乾燥に圧縮空気を使用すると,サンプルのスループットは向上される。

Xsample460と組み合わせたSVM3000
Xsample460と組み合わせたSVM3000

低温での測定

-20℃の低温での粘度測定では以下の付属品が必要となる。

  • 冷却サーモスタット(低電力モデルで十分)
  • 冷却剤用断熱ホース
  • -20℃で直接セルを乾燥させるための圧縮空気(乾燥,油分フリー)。このため,膜式乾燥機を伴う空気準備キットが必要

測定手順は,Xsample460を内蔵したSVM3000での測定と同じ方法。

SVM3000の乾燥状態を保つため,事前に乾燥させた空気を機器内部に継続的かつ少量流す。セルは,内蔵の空気ポンプではなく乾燥した圧縮空気(最大1bar)で乾燥させる。

手動充填による低温測定を頻繁に実行しない場合は,冷水(水道水)で冷却することも可能。機器内部の乾燥状態を保つために,袋入りの乾燥剤を使用することも出来る。セルを乾燥させるために乾燥カートリッジが使用出来るが,その場合は,乾燥温度を露点以上に設定する必要がある。

低温装置と組み合わせたSVM3000
低温装置と組み合わせたSVM3000

5. 結果および結論

下図は,異なるバイオディーゼル含有率によるディーゼル燃料を40℃で測定した結果である。バイオディーゼルの含有率の増加に伴って,製品の粘度も上昇する。

グラフ/異なるバイオディーゼル含有率によるディーゼル燃料を40℃で測定した結果

<濃度に基づいた粘度>

粘度を示す曲線は,以下の式に基づく指数法則に従う(ここでは,動粘度のみ示す)。

y=2.3559e0.0059x

  y:動粘度
  x:ディーゼル燃料に含有されるバイオディーゼルの重量比率(%)

この式から次に示す計算結果を得ることが出来る。

Percentage(by weight) of biodiesel in petro diesel fuel
Viscosity
[mm2/s;cSt]
at 40℃
0%
2.356
1%
2.370
2%
2.384
2.5%
2.391
5%
2.426
7.5%
2.462
10.0%
2.499
20%
2.651
35%
2.896
65%
3.457
100%
4.250
式から導かれる粘度の計算結果

この表から,ディーゼル燃料に含有されるバイオディーゼルの比率が5%未満の場合,バイオディーゼルを1~5%混合させることで,効率性とエンジン性能を損なうことなく,ASTM D975の制限値が満たされ,かつ環境品質も改善されることが結論付けられる。

<SVM3000 概要>

測定範囲

せん断粘度0.2~20000mPa・s
動粘度0.2~20000mm2/s
密度0.65~3.0g/cm3

最大充填粘度

SVM30002000mPa・s
Xsample 360/4601000mPa・s

測定温度

最高温度+105℃
最低温度,冷却なしの場合周囲温度より20℃低い温度
-20℃に冷却の場合-40℃ (最高室温23℃/73°F)
-40℃に冷却の場合-56℃(最高室温23℃/73°F)

再現性

粘度作業調整範囲内で測定値の±0.35%,調整範囲外で±1% (特定の調整によって異なる)
密度0.65~1.5g/cm3の場合±0.0005g/cm3
上記範囲外±0.0020g/cm3
温度 15~105℃(59~221°F)の場合±0.02℃(±0.04°F)
上記範囲外±0.05℃(±0.09°F)

繰り返し性

粘度測定値の±0.1% 
密度±0.0001g/cm3
温度±0.005℃

サンプルスループット(カッコ内の値は,オプションの圧縮空気による乾燥時)

最大15(20)サンプル/時間

溶媒消費量

SVM3000及びXsample460最小5mL
代表値10mL