大型回転機械の状態監視と診断を分かりやすく解説
機械の振動についての基礎的な知識,振動測定用センサ,渦電流式変位センサ,状態監視モニタ等,大型回転機械の状態監視と診断に関してできるだけ分かりやすく解説しています。
発刊要領
発刊日:2016年6月発行(月刊「潤滑経済」臨時増刊号 No.614)
発行:潤滑通信社
協力:新川電機
頁数:B5判 86頁
税込価格:¥3,300(国内価格,国内送料無料) 海外送料別途
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編集の趣旨
発電,石油精製,石油化学,製鉄など様々なプラントで多くの回転機械が使われており,プラントの運転において重要な役割を担っています。それら重要な設備に関しては機械の状態,特に振動データの持っている情報から,異常解析,診断を行い,機械の状態把握や効率的なメンテナンスに利用されています。特にすべり軸受で支持された大型の高速回転機械では,振動や軸位置等の状態パラメータを常時監視しながら運転し,異常を検知した場合には,異常拡大を防ぎ安定化するための運転条件の変更や,場合によっては機械の損傷や破壊を防ぐために緊急停止を行い,機械の修理,復旧を行うことになり,そのような場面では異常発生の要因を解析,診断して異常状態の把握を的確に行うことが必要となります。
編集の特色
本書「基礎から学ぶ大型回転機械の状態監視と診断」では,機械の振動についての基礎的な知識から,振動測定用センサ,渦電流式変位センサ,状態監視モニタ,機械の状態監視と診断の関連規格,振動解析・診断システム等,大型回転機械の状態監視と診断に関してできるだけ分かりやすく解説しています。
編集内容
第1回 大型回転機械状態監視の概要
1.はじめに
2.大型回転機械の状態監視とAPI規格
3.渦電流式変位センサの原理
4.状態監視モニタ
5.振動解析・診断システム
第2回 機械の振動とは
1.振動とは
2.調和振動(単振動)と位相差
3.各測定パラメータの周波数と振幅の大きさ
4.各測定パラメータの適用周波数
第3回 振動測定用センサ
1.主な振動センサの方式と測定パラメータ
2.渦電流式変位センサ
3.動電型速度センサ
4.圧電型加速度センサ
第4回 渦電流式変位センサ
1.渦電流式変位センサの取り付け
(1)センサのセットギャップ
(2)軸振動センサのX-Y取り付け
(3)インターナルマウントとエクスターナルマウント
2.渦電流式変位センサの取り扱い上の注意
(1)センサ近接による相互干渉
(2)センサから変換器(ドライバ)までの専用ケーブルの変更
(3)ターゲット材質
(4)ターゲットの大きさによる影響
(5)センサ周囲金属の影響
(6)エレクトリカルランナウト
(7)ターゲット表面のメッキ処理
3.渦電流式変位センサの精度に関する用語
(1)スケールファクタ(ISF:Incremental Scale Factor)
(2)直線性(DSL:Deviation from Straight Line)
(3)リニアレンジ(Linear range)
4.渦電流式変位センサによる回転パルス/位相基準パルスの検出
5.回転パルス検出における渦電流式変位センサと電磁ピックアップの比較
第5回 状態監視モニタ(1)
1.API 670規格におけるモニタシステム
2.API 670規格における軸振動モニタリング(Radial Shaft Vibration Monitoring)
3.API 670規格における軸位置モニタリング(Axial Position Monitoring)
4.軸振動モニタの回路ブロックと機能
1)センサ用電源回路
2)入力回路
3)バッファアンプ
4)HPF(ハイパスフィルタ)/LPF(ローパスフィルタ)
5)検波/平滑
6)入力異常警報設定/入力異常判別(OK)
7)信号制御(抑制)
8)アナログ出力回路
9)危険警報設定/危険警報判別(DAN)
10)注意警報設定/注意警報判別(ALT)
11)危険警報ロジック(DAN)
12)注意警報ロジック(ALT)
13)指示計
14)警報表示灯(DAN,ALT,OK)
15)警報出力リレー(DAN,ALT,OK)
第6回 状態監視モニタ(2)
1.振動モニタの種類
2.回転モニタ
(1)回転モニタの信号処理の流れ
(2)パルス波形整形回路のヒステリシス
(3)オートトリガとマニュアルトリガ
3.偏心モニタ
(1)偏心計測とは
(2)偏心モニタにおける偏心量の演算
第7回 機械の状態監視と診断関連規格
1.国際規格の組織
2.ISO 10816:機械振動―非回転部分における機械振動の測定と評価―
(1)測定パラメータ
(2)測定位置
(3)評価基準
(4)評価基準 I :振動の大きさ
(5)評価基準 II:振動の大きさの変化
3.ISO 7919:非往復動機械の機械振動―回転軸における測定および評価基準―
(1)測定量
(2)測定方法
(3)評価基準
4.ケーシング振動測定と軸振動測定の選定
第8回 振動解析と診断(1)
1.代表的な振動解析法
(1)時間領域の解析
(2)周波数領域の解析
(3)空間領域の解析
2.サンプリング周波数fsと最高周波数Fmax
3.データ収集間隔
○波形データ(ダイナミックデータ)の収集間隔
○トレンドデータ(スタティックデータ)の収集間隔
4.同期サンプリングと非同期サンプリング
○同期サンプリング
○非同期サンプリング
5.非同期サンプリングにおけるサンプリング周波数の設定
第9回 振動解析と診断(2)
1.代表的な振動解析グラフ
(1)トレンドグラフ
(2)オービット&波形グラフ
(3)スペクトル
(4)ウォーターフォール
(5)ボード線図
(6)ポーラ線図
(7)キャンベル線図
2.振動ベクトルとポーラ線図
○説明モデルの前提条件
○回転機械の振動ベクトル
3.軸振動センサのX-Y取り付けでできること
第10回 振動解析と診断(3)
1.機械振動の原因と特徴
2.振動診断事例
○オイルホワール
○ミスアライメント
○ロータ構成部品の飛散
○ラビング(接触)
3.おわりに
【付録】
A.渦電流式変位センサに対するAPI 670の主な要求事項
B.渦電流式変位センサの出力特性
C.振動値を表す非SI単位
D.エレクトリカルランナウトに関して
E.ISO規格に基づく機械状態監視診断技術者の認証制度
F.オービットとポーラ線図
G.ハイスポットとヘビースポットの関係
H.振動ベクトルによる不釣合い調整