機械状態監視診断技術者資格認定の訓練用テキスト
本テキストは,現場の技術者を対象とした,ISO18436-4準拠 機械状態監視診断技術者(トライボロジー)資格認定(カテゴリ I ,II,III)の訓練用テキストとして使用しているものであり,これまでは訓練機関で講習を受ける受験生のみに提供されてきました.
近年,潤滑に関係するトラブルは多くの生産現場で増えており,トラブルの原因究明において潤滑管理を含むトライボロジーは重要な役割を果たすようになってきました.しかし,現場におけるトライボロジー的な問題解決に役立つテキストはほとんど無く,本テキストの外販を望む声が多く届くようになってきたことから,この度,訓練用テキストの外販を開始することとなりました.
本テキストは,逐次改訂を行い,各章における記述の整合性を取るなどして最新の内容で訓練ができるように編集しておりますので,過去に資格を取得されている方々にも,アップデート版として是非ご活用いただけますと幸いです.
発刊要領
- カテゴリ I
- 発刊日:2019年9月
- ページ数:A4判210ページ
- 税込価格(国内価格,国内送料無料)
会員:¥7,920
一般:¥8,800
- カテゴリ II
- 発刊日:2019年10月
- ページ数:A4判208ページ
- 税込価格(国内価格,国内送料無料)
会員:¥9,900
一般:¥11,000
- カテゴリ III
- 発刊日:2020年7月
- ページ数:A4判258ページ
- 税込価格(国内価格,国内送料無料)
会員:¥14,850
一般:¥16,500
- セット販売
- カテゴリ I・II セット
税込価格(国内価格,国内送料無料)
会員:¥12,870
一般:¥14,300 - カテゴリ I・II・III セット
税込価格(国内価格,国内送料無料)
会員:¥24,750
一般:¥27,500
- カテゴリ I・II セット
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カテゴリ I 2019年9月発行 A4判 210ページ
目次概略
第1章 メンテナンス・ストラテジー
メンテナンスとは/メンテナンスの意義と目的/機械システム階層化という考え方/メンテナンスの経済規模と経済効果/潤滑管理を中心としたメンテナンスストラテジーの実際
第2章 トライボロジーの基礎:潤滑理論/基礎事項
トライボロジーの基礎/摩擦/摩耗のメカニズム/しゅう動面のトライボ特性指標/潤滑形態/潤滑剤の機能/潤滑剤/グリース/固体潤滑剤/気体潤滑/潤滑剤分類体系
第3章 潤滑剤の選定
潤滑油選定の考え方/機械に特有な潤滑剤の要求特性/適用と環境対応
第4章 給油・給脂法
最適潤滑設計/潤滑油給油装置/グリース給脂/必要給油脂量計算方法
第5章 潤滑剤の保管と管理
潤滑剤の受入れ手順/適切な保管と在庫管理/給油脂器具の適切な保管/自動給脂装置の保守/健全性と安全性の確保
第6章 油中コンタミナントの計測と管理
コンタミネーションコントロールとは/固体コンタミナントによる異常な摩耗/潤滑油の清浄度のコード等級表示/浄油と分離の技術/フィルタの級別/浄油装置の設計とフィルタの選択
第7章 オイルサンプリング
オイルサンプリングの目的・重要性/設備の特性に合わせたサンプリング/グリースのサンプリングポイント/実際のサンプリング方法/サンプリング時における外乱の防止/サンプリングに適した機械の状態/オイルマネジメントとサンプリングプロセスの管理
第8章 潤滑剤の健全性(性状)の監視
潤滑剤の劣化/潤滑油の酸化劣化/潤滑剤の熱劣化/添加剤の消耗・劣化/潤滑油の性状監視と診断
第9章 摩耗粉分析と状態監視
各種機械に共通する摩耗メカニズム/摩耗粒子の種類,発生源,推定原因/摩耗粒子分析の技術
カテゴリ II 2019年10月発行 A4判 208ページ
目次概略
第1章 メンテナンス・ストラテジー
メンテナンス方式とその選定/信頼性基準保全(RCM)の基礎/状態基準保全(CBM)の基礎
第2章 トライボロジーの基礎:潤滑理論/基礎事項
潤滑形態/潤滑剤の機能/基油/添加剤/潤滑剤の粘度選定
第6章 油中コンタミナントの計測と管理
粒子状の異物混入/水分コンタミナント/グリコール冷却液コンタミナント/すす(ディーゼルスーツ)コンタミナント/燃料希釈/空気のコンタミネーション管理技術
第7章 オイルサンプリング
オイルサンプリングの目的/設備特有のサンプリング/グリースのサンプリングポイント/その他のサンプリング/外乱防止の管理/サンプリングプロセスの管理
第8章 潤滑剤の健全性―潤滑剤損耗のメカニズムと対策―
潤滑油の劣化形態/潤滑油の熱劣化/添加剤の消耗/油種誤認,混合油による試験/潤滑油の性状監視と診断
第9章 摩耗粉分析と状態監視
一般的な機械の摩耗メカニズム/摩耗粉の分析技術/摩耗粉濃度の分析
カテゴリ III 2020年7月発行 A4判 258ページ
目次概略
第2章 トライボロジーの基礎
潤滑形態/基油および潤滑油の性質,利点および欠点/添加剤
第8章 潤滑剤の健全性(性状)の監視
潤滑油の酸化劣化/潤滑油の熱劣化/添加剤の消耗:酸化防止剤の直接酸化/油種誤認,混合油および劣化診断のための試験/使用潤滑油の分析診断/試験の精度
第9章 摩耗粉分析と状態監視
一般的な機械の摩耗メカニズム/機器固有の摩擦面の損傷形態/摩耗粒子の種類,発生源および推定原因/摩耗粉濃度の分析技術/摩耗粉濃度の分析
第10章 潤滑管理プログラムの開発と管理
機械に依存する試験方法の選定/分析頻度の最適化/データの注意値および限界値の設定/潤滑油分析情報の管理/潤滑油分析手順の策定および管理/設備信頼性に関わる技能者,商取引関係者,管理者に対する潤滑剤分析の訓練と認証に関する範囲設定/潤滑剤分析に対するコスト/メリット解析の実施/品質保証(Quality Assurance)
推薦文
「ISO 18436-4準拠 機械設備の状態監視と診断(トライボロジー)」と銘打った本書は,トライボロジーにもとづく機械状態監視診断技術者の資格認証制度で用いられるテキストです.ISO 18436とは,機械の状態監視に関わる診断技術者の資格認証を規定したもので,その中のPart 4,すなわちISO 18436-4が「トライボロジーにもとづく診断技術の訓練認証」になります.日本機械学会は,日本トライボロジー学会と共同で,この機械状態監視診断技術者の資格認証事業を2009年から開始し,すでに多くの認証者を輩出してきました.
ちなみに,当該制度で使用されるテキストは,これまで訓練機関で講習を受ける受験生に限定して提供されていました.一方で近年,潤滑に関係するトラブルは多くの生産現場で増えており,潤滑管理をはじめとしたトライボロジー的対策の重要性が高まっています.しかしながら,現場におけるトライボロジー的問題の解決に役立つテキストはほとんどなく,このような背景の下,訓練用テキストの外販を要望する声が強まってきました.それを受け,一般向けの販売を視野に入れた編集方針の下,内容の精査,整理を進め,本書が完成しました.
トライボロジーは,摩擦する表面に起こるさまざまな現象を扱う工学分野で,動くという仕組みを必ずもつ機械とは切っても切り離すことができません.そうした摩擦面で生じる問題と,それをどう解決するかは,本書のタイトルにある“機械設備の状態監視と診断”と密接に関連しており,生産現場における機械設備メンテナンスの実践にも重要な役割を演じています.したがって,このテキストでは,現場で有用なトライボロジーのノウハウを満載しようと,メンテナンス・ストラテジー(保全戦略)に始まり,トライボロジーの基礎,潤滑剤の選定や給油・給脂法および保管と管理などの基本的事項から,油中コンタミナントの計測と管理,オイルサンプリング,潤滑剤の健全性監視,摩耗粉分析と状態監視といったメンテナンス活動の中核をなす潤滑技術に立脚した手法に関する知識,さらには潤滑管理プログラムの開発と管理という高度な方法論の事例等を盛り込みました.
本書のもう一つの特徴は,この資格認証制度が,カテゴリ I,カテゴリ II,そしてカテゴリ III からなるため,テキストもこれら三つのカテゴリに分かれている点です.カテゴリ I は初歩的実務経験者が,カテゴリ II は経験を積んだ中堅技術者が,カテゴリ III は指導的立場に相応しい専門性をもつ熟練者が対象ですので,こうしたトライボロジーに対する習熟度に応じてテキストを選ぶことができるという構成および内容は,読者にとって大きなメリットではないでしょうか.
本書は,多くの執筆者の非常に豊富な経験に裏付けられた知識,情報を網羅するトライボロジーについての優れたテキストと確信し,推薦します.