油剤の清浄化でトラブルを防ぐ! ~浄油装置の選定とは?~ | ジュンツウネット21

機械設備の摺動部に使用されている潤滑油剤が様々な要因で汚染されると,思わぬトラブルが発生してしまいます。そのために潤滑油剤を浄化する装置が広く使用されていますが,様々な汚染要因に対応するために種類が多いこともあり,製品の選定基準をどこに置くのか難しい面があります。そこで今回は,浄油装置の選定の重要性についてご紹介いたします。

ポイント1 潤滑油剤はどのように汚染されるの?

まず,潤滑油剤の汚染の原因を再確認しましょう。汚染原因として,大きなウェイトを占めるのは異物の混入ですが,その混入の経緯としては以下のようなものが考えられます。

異物の混入の経緯

このようにして生成された酸化変質物は,粘着性の高い樹脂化した高分子であり,金属表面に付着しやすい性質があるため,様々なトラブルを引き起こしてしまいます。

ポイント2 浄油装置を使うとどうなるの?

そのようなトラブルを防ぐためには,浄油装置の使用が効果的です。具体的な効果は? というと,次のようなものが挙げられます。

機械故障率の低減
潤滑油寿命の延長
機械寿命の延長
機械作動の信頼性向上

浄油装置の導入にはコストが生じますが,それをはるかに上回る多大な経済効果が得られます。また同時に廃油発生量の削減にもつながり,近年取り組みが盛んな環境対策という観点でもその効果は発揮されます。

ポイント3 浄油装置の種類と特長

汚染原因と浄油装置の使用効果を確認したところで,実際に浄油装置にはどういうものがあるのでしょうか。前述したように各メーカーから,様々な種類の製品がラインナップされており,さらにそれらを組み合わせた装置も使用されております。種類が多くあるということは,一つの種類ではすべてをカバーできないということで,目的を絞って単一の浄油装置を選定するか,または目的に適うように数種の浄油装置を組み合わせて使用することが有効となります。選定には,それら各種の浄油装置の特長等を把握することが重要です。以下に一部ではありますが,代表的な浄油方式の原理と特長をまとめました。

フィルタ方式 フィルタに通油することで,固形物やある種の溶解物を除去する。粒子サイズの大きな汚染物質に有効だが,特に高粘度油になるほどフィルタの目詰まりが生じ,適用が困難になる
静電浄油方式 電極間に高電圧を与え通油をし,固形物などを静電気により集塵分離を行う。粒径サイズが1μm下の油の酸化変質物質まで除去が可能。水分が混入すると処理能力が低下するために水分や金属粉が多いものは前処理が必要
遠心分離方式 潤滑油に遠心力を与え,比重差によって汚染物を分離する。低粘度で多量のゴミが発生する圧延油に適し,ゴミの比重,粒径が大きいほど効果的
マグネット方式 内蔵した永久磁石器に通油して,油中の鉄粉を包み込んだ磁性体の汚染物を除去。交換の必要もなく,保守管理もほとんど不要
浮上油分離方式 サクションフロートを表面に浮かべ,油膜と水溶液を同時にポンプで吸引。その後,斜板により沈降分離する。水溶性クーラント液に油が混入した際の油の除去に最適

ポイント4 浄油装置選定の重要性とは?

浄油装置はその効果が絶大であっても,目的とする使用機械にマッチした機種を選定しなければ,逆に不経済なことになってしまいます。せっかく購入したにもかかわらず使用できなくなってしまったり,対象汚染物が十分に捕捉できなくては意味がありません。

各種機械の高速化や高精度化が進むとともに,潤滑油剤の使用条件は過酷さを増しており,同時に環境対応が強く求められている昨今,ますます潤滑油剤の汚染管理はより高水準に行うことが必要とされます。

より効果的な潤滑油剤の汚染管理のために,使用事例や効果など,納得がいくまで説明を受けるといったように,数多くのメーカーの製品を詳細に至るまで比較対照し,最適な機種選定をすることが重要です。

最終更新日:2018年9月21日