使用済み潤滑油の最近の動向 | ジュンツウネット21

編集部  2005/12

はじめに

近年,環境問題が地球的規模で拡大し,様々な分野での環境への積極的な取り組みが求められている。日本国内では,環境基本法の制定から循環型社会形成推進基本法,廃棄物処理法の改正など,多くの環境関連法規が整備され,環境保護を目的とした法規制が強化されている。

そのような状況の中,事業者の積極的な取り組みを促進することを目的として,事業者が廃棄物処理・リサイクルとして取り組むべき事項を整理した「品目別・業種別廃棄物処理・リサイクルガイドライン」が制定され,潤滑油についても平成11年12月に追加指定され,液体類では唯一対象となった。

1. 使用済み潤滑油の実態

使用済み潤滑油の発生量については,排出元によってその排出比率は異なるが,2004年に経済産業省と潤滑油協会から発表された統計によると,日本国内における潤滑油販売量が207万kL/年で,そのうちの119万kL/年が廃油として処分されていることから,全体として潤滑油の販売量のおよそ半分強が使用済み潤滑油として発生していると推定される。

国内における使用済み潤滑油の主な排出元は,製造事業所などの一般工場,ガソリンスタンド,自動車整備工場などが考えられる。一般工場では主に工業用潤滑油が使用され,工業系の廃油が発生し,ガソリンスタンドや自動車整備工場では主にエンジン油などの自動車用潤滑油が発生する。

一般工場では,事業所内で発生した使用済み潤滑油を自家燃料や委託再生によって再生潤滑油として一部利用したり,自社にて焼却処分などを行っているが,発生量の約60%は外部の回収業者によって回収されている。また,ガソリンスタンドや自動車整備工場などでは発生した使用済み潤滑油のほとんどを外部の回収業者が回収している。

2. 使用済み潤滑油のリサイクル

回収された使用済み潤滑油は,再生業者や焼却業者などによって処理されているが,循環型社会の形成に向けては,使用済み潤滑油のリサイクルへの積極的な取り組みが求められている。

発生した使用済み潤滑油は,自家燃料にされたり,委託再生により再び工業用の潤滑油として使用されており,残りは回収業者により回収され,廃油再生事業者や廃油燃焼事業者により処理・処分されている(図1)。しかし,使用,回収,処理,利用の各段階で分別の不徹底や保管設備の未整備,コストによる再生技術の限界,再生品の用途が限定さてれしまうなどの多くの問題を抱えている。

使用済み潤滑油の処理(2004年)

図1 使用済み潤滑油の処理(2004年)

使用済み潤滑油には,水溶性のものや塩素を含有するものなどもあり,実際には様々な液状物質が混在して使用済み潤滑油として排出されているケースが多い。使用済み潤滑油の有効利用の点から見ても,ほかの廃棄物同様の適切な分別が必要である。

3. 非塩素系潤滑油への転換

燃焼時にダイオキシン類発生の懸念がある塩素系潤滑油と非塩素系潤滑油の分別の徹底と適性処理は使用済み潤滑油の処理,リサイクルにとって重要な問題である。リサイクルガイドラインでも「非塩素系潤滑油への転換の推進」として,塩素系の潤滑油については,技術的代替性がないものなどを除き,非塩素系潤滑油の製造および使用転換に向けた取り組みの推進と共に,塩素系潤滑油の技術代替などを進めており,「使用済み潤滑油の分別回収の促進」では,ユーザーが適性な処理が行うことができるよう,容器に塩素系潤滑油であることを表示するラベル貼付の取り組みの継続実施が制定されている。

表1 塩素系金属加工油生産量
平成10年度
68千KL
平成11年度
60千KL
平成12年度
49千KL
平成13年度
35千KL
平成14年度
29千KL

潤滑油協会に平成11年7月に設置された潤滑油リサイクル対策委員会の調査によると,塩素系金属加工油生産量は表1の通りで,5年間の間に半分以下になっていることが分かる。委員会では今後も使用済み潤滑油の分別回収推進,非塩素系潤滑油への転換推進にかかる取り組みとして,パンフレットなどの媒体を通じて塩素系潤滑油の分別回収や非塩素系潤滑油への転換を呼びかけたり,非塩素系潤滑油を製造しているメーカーに関する情報をインターネットなどにより公表・普及する取り組みを実施するなど,様々な対策を講じている。

おわりに

資源の有効活用の観点から見ても,使用済み潤滑油の適正処理は重要な課題である。今後は様々な問題を克服すると共に,潤滑油供給者,ユーザー,使用済み潤滑油回収・再生業者,行政が一体となり,円滑に潤滑油リサイクルを進めていくことが必要である。リサイクルだけでなく,潤滑油の高品質化,長寿命化による使用量の削減や再利用も,積極的に取り組むべき重要な課題になっている。
また,海外においては廃棄物再資源化の方法として,再生基油の製造や化学原料化などの有効利用の取り組みがなされており,日本では実施されていない使用済み潤滑油からの再生基油などの取り組みも期待される。

 
<参考文献>
*1 「月刊潤滑経済」2002年8月号
*2 (社)潤滑油協会「潤滑油環境対策補助事業報告書」2005.3
*3 経済産業省ホームページ http://www.meti.go.jp/
 

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