コージェネレーションシステムは駆動源より発生する排熱を回収,一次エネルギーの70~80%を有効に利用するシステムで,都市ガス,LPG,軽油等を燃料としたエンジンやガスタービンを駆動源とした発電機で発電を行い,同時に駆動源より発生する排熱を回収し,給湯や冷暖房等に使用します。
コージェネレーションシステムの仕組みと使用する潤滑油
解説します。
コージェネレーションシステムは都市ガス,LPG,軽油等を燃料としたエンジンやガスタービンを駆動源とした発電機で発電を行い,同時に駆動源より発生する排熱(エンジンから発生する熱や排気ガスが有する熱)を回収し,給湯や冷暖房等に使用するシステムです。
1. コージェネレーションシステムの概念
図1にコージェネレーションシステムと従来方式による発電システムの概念図を示します。従来方式による発電システムは一次エネルギーの約35%しか有効なエネルギーとして使用されませんが,コージェネレーションシステムでは排熱利用方法をしっかりと計画してあれば一次エネルギーの70~80%を利用することが可能です。
図1 コージェネレーションシステムと従来方式による発電システムの概念図 |
2. コージェネレーションシステムの種類
都市ガスを燃料とするコージェネレーションシステムは,一般にガスエンジン方式とガスタービン方式の2種類があります。
2.1 ガスエンジン方式
ガスエンジンコージェネレーションシステムのシステムフロー,エネルギーフローを図2,図3に示します。
ガスエンジンコージェネレーションシステムは発電容量が15kW~4000kWクラスのものが用意されており,一般的には熱電比(消費する熱と電力量の比)が1.5~3.0である病院,ホテル,スポーツセンターや高い発電効率を必要とする工場などに広く導入されています。
図2 ガスエンジンコージェネレーションシステムのシステムフロー
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図3 ガスエンジンコージェネレーションシステムのエネルギーフロー
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2.2 ガスタービン方式
ガスタービンコージェネレーションシステムのシステムフロー,エネルギーフローを図4,図5に示します。
ガスタービンコージェネレーションシステムは地域冷暖房や大規模複合ビルなどの500kW以上の電気容量を必要とする施設や大量の蒸気を必要とする工場に広く導入されています。また,ガスエンジンコージェネレーションシステムに比べ発電規模に対して設備がコンパクトであるため設置スペースが広くとれない施設についても設置することが可能です。
図4 ガスタービンコージェネレーションシステムのシステムフロー |
図5 ガスタービンコージェネレーションシステムのエネルギーフロー |
2.3 燃料電池方式
燃料電池コージェネレーションシステムは発電機を利用せず,電気化学反応を利用し発電を行う新しいコージェネレーションシステムです。そのシステムフローを図6に示します。
燃料電池は水素と酸素が反応し,水が生成する時に発生する電気を利用するシステムです。この反応に必要な水素は天然ガスを改質装置で改質することで得,酸素は空気中の酸素を利用します。電気化学反応により発電を行うため,発電効率が40%以上と高く,総合効率でも80%以上を期待することができます。
現在,都市ガス会社により,500kWおよび200kWのパッケージ型燃料電池のフィールドテストが実施されており,1990年半ば以降の実用化を予定しています。
図6 燃料電池コージェネレーションシステムのシステムフロー |
3. コージェネレーションシステム導入によるメリット
コージェネレーションシステムを導入することにより得ることのできるメリットとしては以下の項目があります。
(1)排熱利用による省エネルギー化,省コスト化
(2)地球温暖化対策(CO2の削減)
(3)契約電力の低減
(4)常用発電設備の非常用兼用化による省スペース,省コスト化
4. コージェネレーションシステムに用いられている潤滑油
4.1 ガスエンジンに使用される潤滑油
ガスエンジンは燃料がクリーンであり,その燃焼状況も良好です。しかし,ディーゼルエンジンやガソリンエンジンに比較して燃焼温度が高温であるため,潤滑油は熱的にきびしい条件で使用されます。
現在,ガスエンジンの潤滑油には種々の問題を解決するために
(1)耐熱性
(2)耐酸化性
(3)高清浄分散性(無灰系添加剤使用)
等が強化されたガスエンジン専用のマルチグレードタイプ(10W-30,10W-40等)のものが使用されています。
潤滑油の交換は現在500~1500時間間隔で行われていますが,更油時間がコージェネレーションシステムのメインテナンス間隔を支配する場合が多いため,潤滑油の長寿命化が精力的に検討されています。