潤滑油剤メーカーのアジア地域への進出状況をまとめる。

はじめに

近年，世界的に堅調な経済成長が続いており，特にアジア圏では，中国・インドを筆頭に目覚しいものがある。今年に入り，米国サブプライム問題に端を発し，急激な右肩上がりの構造にペースダウンが出始めているものの，今後も以前成長は続くものと思われる。

なお，本特集は2005年9月号に続くものである。

アジアにおける潤滑油剤

日本や欧米系製造メーカーのアジア諸国への進出により，自動車や鉄鋼，家電などの生産が急速に増加している。

図1および表1に潤滑油剤メーカーのアジア地域への進出状況をまとめるが，特に二輪・四輪車の生産の伸びが著しい中国やインド，東南アジアへの進出や生産・供給能力の増強が目に付く。

自動車用潤滑油でのこれまでの潤滑油剤メーカーの動きは，日系の自動車メーカーへのエンジン油やグリースなどの初期充填油を中心に供給が始まり，純正油やアフターマーケットなどの需要が増えてきている。

それに伴い，工場の設備用潤滑油や金属加工油，成型機用の作動油や離型剤といった潤滑剤が現地生産に切り替えられてきているようだ。

アジアでの生産が欧米や日本など先進国への出荷から，現地での消費に切り替わってきている昨今，自動車メーカーでは生産財などのコスト削減が迫られている。また，地元の自動車メーカーへの供給となると，日本や欧米で設計されたスペックの要求ではなく，価格重視の要求へとなっているようだ。

さらに，工場の新設や設備投資などが盛んに行われてきたが，今後は設備のメンテナンスや潤滑管理といった問題も出てくるであろう。

そうした先では，現場やセールスの人間に対する教育の問題も今後出てくるものと思われる。

本稿では，取材にて潤滑油剤メーカーの皆様にご協力を頂きました。お礼申し上げます。

図1　アジア地域への潤滑油剤メーカー進出状況