マレーシア-日本 トライボロジー懇談会,開催される | ジュンツウネット21

2012年8月27日,28日の2日間,マレーシアの首都クアラルンプールにあるマレーシア工科大学マレーシア日本国際工科院にて,「マレーシア-日本 トライボロジー懇談会」が開催された。

今回の懇談会は,昨年マレーシア工科大学(UTM)にマレーシア日本国際工科院(MJIIT)が設立し,九州大学教授の福田 応夫 氏がMJIITに赴任したことをきっかけに,福田 氏と東京理科大学教授の佐々木 信也 氏,九州大学教授の澤江 義則 氏,金沢大学講師の岩井 智昭 氏が,マレーシアと日本のトライボロジストが情報交換や研究紹介を通じて交流を深めることを目的に発案したもの。

在マレーシア日本大使館から「東方政策30周年記念事業」の認定を受け,主催・マレーシア工科大学マレーシア日本国際工科院トライボロジー精密加工講座(Tribology and Precision Machining Research Laboratory, Malaysia-Japan International Institute of Technology, Universiti Teknologi Malaysia),http://mjiit.utm.my/,協賛・日本トライボロジー学会(Japanese Society of Tribologists:JAST),http://www.tribology.jp/,マレーシアトライボロジー学会(Malaysian Tribology Society:MYTRIBOS),http://www.mytribos.org/ での開催となった。

なお,参加登録者数は62名(マレーシア41名,日本19名,タイ1名,インド1名)であった。

1. マレーシア日本国際工科院(MJIIT)

1982年に当時のマハティール首相の提唱により,マレーシアの学生を日本に留学させ自国の近代化に役立つ優秀なエンジニアを育成することなどを目的に「東方政策“Look East Policy”」が開始,この30年間で14,000人を超える留学生や研修生が日本へ訪れた。

2011年9月にはマレーシア工科大学(UTM)のクアラルンプール国際キャンパスに日本式工学教育の「講座制教育」を展開する「マレーシア日本国際工科院(MJIIT)」が開校し,日本からは東海大,九州大,芝浦工大,名古屋工大,立命館大をはじめ24大学と外務省,JICA,文部科学省,経済産業省,日本商工会議所などからなるコンソーシアムにより「機械精密」「電子コンピューター」「環境グリーン技術」「技術経営」の4コースに教授が派遣された。ビジネスにも直結した日本の工学教育の特色を生かした先端的教育を主体として,長期的にはASEANを含めた国際的な工学教育のハブ化,日・マレーシア産業界も関与する産官学民プロジェクトへの育成も視野に入れ,2011年9月に初年度学部生約70名,大学院生約30名を受入れ開校している。

2. 懇談会

当日はMegat Johari Megat Mohd Noor 氏(MJIIT)の歓迎の挨拶,元・駐マレーシア日本大使の堀江 正彦 氏による開会の挨拶の後,山本 隆司 氏(東京農工大名誉教授),Masjuki Hj.Hassan 氏(University of Malaya)によるキーノートスピーチと24件の一般講演が行われた。

また会期中には,AIST(National Institute of Advance Industrial Science and Technology,Japan),Ducom Instrument Pvt.Ltd.(India),HAKITA ENGINEERING SDN.BHD.(Malaysia),KILANG RANTAI S.A.SDN.BHD.(Malaysia),KYB Co.,Ltd.(Japan),Lubrication Technology INC.(Japan),NSK Ltd.(Japan) & NSK ASIA PACIFIC TECHNOLOGY CENTRE(Thailand),SHINKAWA Electric of Malaysia Sdn.Bhd.(Malaysia),SUMITOMO RUBBER INDUSTRIES,LTD.(Japan)による商品説明や技術展示が催され,ランチョンやティーブレークの時間を活用し参加者相互の交流や親睦が和やかに行われた。

3. 今後の展望

今回の懇談会では近代化が進み活気が溢れるマレーシアの文化や経済とともにマレーシアトライボロジー学会の活動,植物性潤滑油やバイオトライボロジー,コーティング,評価試験などの研究や活動状況などが数多く紹介された。

今回日本からの参加者からは次回も参加したいという声が多く,来年以降も同様の趣旨に基づく会議の開催を検討しているという。

両国間では液化ガスなど天然資源の貿易や製造工場の進出などにより交流も盛んなことから,マレーシアを軸とした東南アジア諸国への技術支援等,今後のトライボロジー分野における両国の協力関係がさらに深まることが期待される。

懇談会参加者全員による集合写真
 

最終更新日:2017年11月10日