メカニカルシール故障原因の究明方法 | ジュンツウネット21

メカニカルシール故障原因の究明方法

メカニカルシール故障原因の究明方法を教えてください。
解説します。

メカニカルシール故障は,通常漏れとして検知されます。漏れの発生時期,漏れ状況と傾向,漏れ量,漏洩品の状況などが必要な情報となります。

漏れの発生時期が静圧試験時および運転開始時,運転初期,数ヵ月後,長期間運転後かで,漏れ原因が異なります。静圧試験時および運転開始時の漏れ発生は,メカニカルシール取り付け不良,製品不適合,機器の精度不良をチェックする必要があります。

運転初期の漏れ発生は,空運転や締切り運転,吸込み不良による負圧運転,軸移動など起因することが多くあります。特に,新設プラントの立ち上がりや定修後の立ち上がりでは,配管の錆や溶接カスなどの異物の噛み込みやサクションフィルタへの詰まりによる吸込み不良に起因した故障を経験しています。

数ヵ月後の漏れ発生は,シール端面の摩耗やピッチング・ブリスタが進行したり,シール端面への異物付着,にじみ漏れ液による二次シール端面の形成,作動用パッキン部への固着などが原因であることが多くあります。長期間運転後の漏れ発生は,シール端面の正常な摩耗による寿命です。

漏れ状況と傾向には,突発的な漏れ,徐々に増えていく漏れ,起動時にのみ噴出し漏れすることなどがあります。

突発的な漏れはシール端面が損傷していたり,しゅう動環やパッキンなどの構成材が破損した場合に発生します。これらは軸移動によるメカニカルシールの密着・剛体化,圧力過大,ウォータハンマ,過大振動などの異常運転に起因していることが多くあります。

徐々に増えていく漏れは,前述の数ヵ月後の漏れ発生と同じ原因によるものです。

起動時の噴出し漏れは,バランスディスク採用のポンプやベアリングのエンドプレイが大きい機器などのように起動時の軸のスラスト移動で,一時的に面開きであることが多くあります。

漏れ量には,極微量,少量,多量の場合があります。

運転初期の極微量や少量の漏れは,シール端面のなじみ修正過程の漏れ(初期漏れ)である場合が多いので,1日から数日様子を見ると減少することが多くあります。減少しない場合には,二次シールから漏れている場合があります。

多量の漏れは,シール端面の面開きやメカニカルシール自体の破損などによることが多く,作動用の二次シール部への異物の堆積・固着でメカニカルシールが作動しなくなっていることが多くあります。

メカニカルシールが運転中であっても,これらでおおよその漏れ原因の見当がつきます。これらのほかに,分解時の状況,故障現品の調査結果,過去の運転実績との比較,予備機や同様な運転条件品の運転状況との比較,過去の故障現象との比較などを行うと原因を特定することができます。

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最終更新日:2021年11月4日