メカニカルシールの故障現象
メカニカルシールの故障現象を教えてください。
解説します。
ある石油精製プラントにおいて,3年間にわたりポンプ用メカニカルシールの交換理由を現象系で分析した結果を紹介します。
(1)メカニカルシールの交換理由のほとんどが漏れによるもので,全体の93%を占めます。残りは定期点検やポンプ点検のためのメカニカルシール交換です。
(2)メカニカルシールの交換時に認められた現象のうちでは,シール端面になんらかの異常が認められたものが43%,二次シールの固着が認められたものが40%で,両者で83%も占めます。
(3)シール端面に認められた現象では,カーボンの摩耗が20%と多く,以下条痕などの傷が8%,面歪み・変形が8%,カーボンブリスタ・欠けが6%,熱割れが1%となっています。
なお,シール端面損傷の一次原因として二次シール部固着によるものも多く,図1のようにマルチスプリング・回転形から,ベローズ形メカニカルシールに改造することにより,メカニカルシール交換期間の大幅な延長を実現しています。
図1 スプリング形とベローズ形(ベローズエースBA640)の堆積固着状態比較 |