エンジンオイルの混合使用 | ジュンツウネット21

エンジンオイルを混合して使用する場合,添加剤同士の反応が発生することと,添加剤が析出・沈殿することが心配されます。

エンジンオイルの混合使用

少しずつ缶に残ったエンジンオイルを混合して使用した場合や,更油時に古い油が残っている中に違う油を入れた場合に問題はあるのでしょうか。
解説します。

1. 混合使用時の問題

やはり問題があります。まずエンジンオイルを混合して使用する場合ですが,(1)添加剤同士の反応が発生することと (2)添加剤が析出・沈殿することが心配されます。

(1)の問題ですが,最近のエンジンオイルには清浄分散剤,摩耗防止剤,酸化防止剤,粘度指数向上剤,防さび剤,流動点降下剤,摩擦低減剤(FM)などの添加剤が,量的にも多く,かつバランスよく配合されてあります。しかもオイルによって配合されてある添加剤の種類が異なるのです。数多い添加剤の中から選抜されたものが使用されています。製造会社によりエンジンオイルの配合が異なることは,容易に理解されるでしょうが,同一製造会社のオイルでも,高級品オイルと普及型オイルとでは,使用する添加剤が異なっています。高級品オイルと普及型オイルとで,同一の添加剤を使用し,その添加量を変えるだけとすれば合理的とのアイディアがありますが実現していません。実際にも石油会社は,エンジンオイルを製造する時に,製造タンクに残存する微量の残油が,次に製造する製品に混入しないように製造タンクを清掃します。他油の混入は,その量が微量であっても,微量の高級品が普及品に混入する場合であっても絶対に避けることが厳守されています。

添加剤には,酸性か塩基性(アルカリ性)か中性か,いずれかの性質があります。主として酸性の添加剤と塩基性の添加剤間の反応が問題です。例えば図1に示すように塩基性の過塩基性Caスルホネートは,酸性で摩擦調整剤(FM)として使われる脂肪酸や防さび剤の有機酸などと反応し,それぞれの添加剤は効果を低下あるいは失い,カルシウム塩が沈殿します。

塩基性化合物と酸性化合物の反応例
図1 塩基性化合物と酸性化合物の反応例

また,エンジンオイルに必ず配合されている無灰清浄分散剤とチオ燐酸亜鉛とは,反応して複雑な化合物であるコンプレックス(錯化合物)を形成することが知られています。この問題も添加剤配合技術により克服されエンジンオイルとして商品化されています。このような添加剤間の反応は,非水溶液系の有機反応であって水を溶媒とする水溶液反応のように結果が迅速・明解ではなく,反応速度も遅く,反応系の変化も長時間後に明らかになるなどの特徴のため注意が必要です。

次に(2)の問題について述べます。近年潤滑油のベースオイル(基油)は,高度に精製されたものが採用されています。高度精製基油は,安定性や添加剤の機能発揮に優れていますが,難点は溶解力が従来基油より弱いことです。このため添加剤を油中に保持する力が弱く,極性の強い摩擦調整剤(FM)などが析出・沈殿しやすくなっています。他油の混入などにより摩擦調整剤(FM)などの添加剤が溶解状態から除外されると,その添加剤による油性能が消滅するので問題となるわけです。

2. 更油時の問題

第2に後半の質問ですが,劣化した油中やエンジン内部に沈着したワニス・スラッジ(酸化物)には,微量の過酸化物(ペルオキシド)が存在しています。この微量の過酸化物は,オイル交換した新油の中に溶けて出てきます。過酸化物は,オイルが酸化劣化する連鎖反応の過程で,繰り返し作用する物質の核となるもので,酸化劣化を促進するものです。もちろん新油の中の酸化防止剤はこの過酸化物に作用しますが,同時に消耗します。そして,もし過酸化物の量が酸化防止剤のそれより多い場合には,オイル交換された新油でもたちまち連鎖反応による酸化劣化がはじまってしまうわけです。

このような,残存する微量の過酸化物の悪影響は,交換された新油が前油と同一油でも,違う油であっても同じです。したがって,オイル交換時には古油の除去やフラッシングだけでは不十分で,機械内部に付着しているワニス・スラッジ(酸化物)を完全に取り除くことが重要です。

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最終更新日:2019年8月13日