HST(Hydro Static Transmission)とは | ジュンツウネット21

油の流れや圧力を利用して動力を伝える流体動力伝動装置のうち,油に圧力エネルギ(静圧力)を与えて動力伝達の手段とするもの(Hydro Static Transmission)をHSTと称します。HSTに使用する作動流体は,通常は耐摩耗性作動油の使用が推奨されて,粘度範囲はISO VG 32~56のものとなっています。

HST(Hydro Static Transmission)とは

油圧伝動装置にHSTというものがあるそうですが,この原理はどんなものですか。HSTに用いる作動油には何を使うのでしょうか。
解説します。

油の流れや圧力を利用して動力を伝える,いわゆる流体動力伝動装置はつぎの2種類に大きく分けることができるでしょう。

(1)油に運動エネルギを加えて,動力を伝えるトルクコンバータのようなもの。(Hydro Dynamic Transmission)
(2)油に圧力エネルギ(静圧力)を与えて動力伝達の手段とするもの。(Hydro Static Transmission)

この頭文字を取ってHSTと称します。

HSTは,油圧ポンプと油圧モーターを組み合わせた形態となっています。HSTは純粋に油圧力を応用しただけのものと機械式動力伝達機構を結合したものとがあります。後者はHMT(Hydro Mechanical Transmission)と呼びます。

HSTは共通のケースに油圧ポンプ,油圧モータを組み込んだ一体型(図1図2)と,油圧モータが任意の位置に取付けられる分離型(図3図4)があります。

一体型HS
図1 一体型HST
一体型HST (ダイキン工業)
図2 一体型HST (ダイキン工業)
分離型HST
図3 分離型HST
分離型HST (日本デニソンハイドロリクス)
図4 分離型HST (日本デニソンハイドロリクス)

一体型はコンパクトで使いやすいという利点があり,分離型は出力の取出し位置を自由に設計できるという利点を持っています。

動力の伝達機構を人間が操作して必要な速度や前進,後退の方向を制御する車両運転などの場合にはつぎのような3種類の方式があります。

(1)ギヤシフトトランスミッション
(2)トルクコンバータ
(3)HST

ギヤシフトトランスミッションでは,運転者が車両の速度に応じてチェンジレバーの位置を選択して,適正な車両速度を得たり,前後進を行います。

トルクコンバータでは,エンジンの回転数と車両が必要とする出力トルクによって,トルクコンバータの内部でスリップが発生して車速を変化させます。エンジンの回転数の変化をアクセルによって操作します。

HSTは図5のような構造を持っています。HSTでは油圧モーターの容量を一定とすれば,トルクは圧力によって定まり,回転数は流量によって変化します。したがって,油圧ポンプの圧力と流量を制御することで車両の要求するトルクと速度が得られます。

HSTの構造例 (ダイキン工業のカタログより
図5 HSTの構造例 (ダイキン工業のカタログより)

HSTでは,油圧ポンプの吐出し流量を1本のレバーで変化させることによって無段階で速度のコントロール,前進後退をスムーズに行うことができます。レバーの中立位置では油圧モーターがブレーキの役をします。

HSTは,このように油圧モータと油圧ポンプの組み合わせにより建設車両,ウインチ,プレス,圧延機などの分野に用途が広がってきています。

HSTに使用する作動流体は,油圧ポンプと油圧モータからの要求特性によって定まります。通常は油圧ポンプ,油圧モータの仕様によって耐摩耗性作動油の使用が推奨されて,粘度範囲はISO VG 32~56のものとなっています。

自動変速機油(ATF)やエンジン油がHST用として用いられることもあり,さらには難燃性作動油の使用例もあります。

いずれにしても,使用作動流体の選択と保守管理についてはHSTメーカに十分な相談をなさることが必要で,汚染管理,混入水分管理,劣化管理を完全に行うことで,HST駆動のトラブルを最小限度にとどめうるわけです。

ブルカージャパン ナノ表面計測事業部

アーステック



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