高圧型圧縮機に最適の潤滑油 | ジュンツウネット21

高圧圧縮機用油について,圧縮機,圧縮ガス,装置またはガスの用途からその概要について説明します。外部油には適正粘度の軸受油,添加タービン油が適します。内部油ではガスによりことなりますが,油に影響のないものは無添加の精製鉱油,そのほかは潤滑の役割を果たし,装置系内や圧縮ガスへの影響のない品質の潤滑油が必要となります。

高圧型圧縮機に最適の潤滑油

当社(化学工場)には3,000気圧のポリエチレン圧縮機を筆頭に,酸素,窒素などの高圧圧縮機が多数あります。これら高圧圧縮機に最適の潤滑油について解説してください。
解説します。

高圧圧縮機の潤滑油の役割は主として,しゅう動部,回転部の潤滑にありますが,使用される圧縮機には,往復式,遠心式,ネジ式などがあり,また圧縮するガスの性質やその用途により,それぞれに適する潤滑油が必要となります。その概要について説明します。

1. 圧縮機の型式と潤滑油

1.1 往復式圧縮機

往復式ではシリンダ内部とクランク軸などのシリンダ外部とに潤滑個所は大別されますが,一般にシリンダ内部に使用される潤滑油を内部油,クランク軸などの潤滑油を外部油とよんでいます。小型機種では同一の潤滑油ですべてを潤滑しますが,大型高圧用では内部と外部の給油系統を別にし,内部油には圧縮ガスや使用条件に応じた潤滑油が,外部油には軸受油が使用されます。

往復式の内部油は,ピストンリングとシリンダ,ピストンロッドとパッキン間,弁などの潤滑,また圧縮工程でのシール,シリンダ内のさび止め,混入異物の付着防止などの役割がありますので,高圧下でその役割を果たすためには,まず適正な粘度の選定が大切です。

適正な粘度はシリンダ内の温度,圧力,ピストンの回転数,ピストンリングの面圧などに関係します。実験的に求めた例では,しゅう動面を良好な状態に保つための最低粘度はピストンの圧力差が10atmのときは20cSt程度,100atmの場合は40cSt程度といわれています。しかし,使用条件が複雑なため,実際にはガスとの安定性やガスによる希釈を考慮して経済的に決められ,空気圧縮機用油はISO粘度グレード(40℃の粘度cStで表示)68~150,その他のガス圧縮機用油はISO粘度グレード100~220油が広く適用されています。また,高圧ポリエチレン製造のエチレン圧縮機では同320などの高粘度油が使用されています。内部油の品質としては,適正な粘度のほか,圧縮ガスの影響に応じてガスとの安定性,耐摩耗性能,清浄性能,腐食防止やさび止め性能などが必要となります。

往復式の外部油は,軸受,クランクピン,ガジョンピン,クロスヘッドガイドシューなどの潤滑と冷却作用が主となり,粘度グレード68~100の軸受油が主に使用されています。品質としては軸の大きさ,軸受荷重,回転数などに適した粘度をもつことが大切です。また,圧縮ガスとの接触はなく,その影響はありませんが外気との接触により,酸化安定性能,さび止め性能,水分離性能,消泡性などが必要となります。小型の往復式など,内部油と外部油を共用の場合は内部油の必要性能を備えた潤滑油が使用されます。

1.2 遠心式圧縮機

遠心式では潤滑油は軸受に潤滑給油され,軸と軸受,増減速ギヤの潤滑と冷却作用が主となります。圧縮ガスとの直接の接触はなくガスの影響は受けませんが,外気と接触するため往復式の外部油と同様に,適正な粘度のほか,炭酸安定性能,さび止め性能,水分離性能,消泡性が必要です。一般には,酸化安定性能とさび止め性能をもつ粘度グレード32~68の添加タービン油が使用されています。圧縮ガスの軸封に使用されるオイルフィルム用シール油は圧縮ガスと接触するのでガスと反応しない専用油が必要となります。

1.3 ネジ式圧縮機

油冷のネジ式では潤滑油は圧縮機内に多量に循環給油され,ローターとケーシング間,軸受,ギヤなどの潤滑,圧縮ガスの冷却,圧縮工程でのシール,機内のさび止めなどの役割があります。給冷のネジ式はとくに冷却効果を高めるため油と圧縮ガスとの接触を大きくしており,潤滑油は反応や希釈などガスの影響を強く受けるため,ガスと接触しても安定な,そして適正な粘度を持った油を選定することが大切です。このほか,腐食防止やさび止め性能,消泡性,水分離性などが必要です。一般に,油冷のネジ式には圧縮ガスの影響を抑えた粘度グレード32~68の専用油が使用されています。

ケーシングの内部と軸受,ギヤなどの外部と給油系統が別の圧縮機では外部油には粘度グレード32~68の添加タービン油が適用できます。

1.4 その他の圧縮機

往復式とネジ式にはオイルフリー圧縮機があります。内部油は使用しませんが,外部油は上記と同様に,往復式では粘度グレード68~100油の軸受油,ネジ式では同32~68の添加タービン油などが使用されます。

そのほか,高圧圧縮機との組み合わせで原料ガスの圧縮に使用される圧縮機にターボ式とベーン式があります。ターボ式は,遠心力と同様な潤滑機構のため,添加タービン油が,またベーン式は,ネジ式に潤滑機構と潤滑油の役割が類似しており,ネジ式と同様に内部油には専用油,外部油には添加したタービン油が使用されます。

2. 圧縮ガスと潤滑油

潤滑油の必要性のうち,機械の潤滑に直接関係する粘度,耐摩耗性能のほかは,雰囲気,周囲の温度,水や混入物などからの機器の保護または潤滑油自身への影響を抑制して寿命や潤滑性能を維持するための性能といえます。とくに,高圧下では圧縮ガスの影響がいちじるしくなるため,ガスの性質に応じた潤滑油の選択が重要です。高圧に圧縮されるガスには空気,酸素,窒素,水素,炭酸ガス,一酸化炭素,炭化水素ガス,稀土類ガスなどがあります。

空気の場合には酸化されてスラッジを生成するので酸化安定性能がすぐれ,高温,高圧の吐き出し部にスラッジ付着が少ない潤滑油が必要となります。酸素については活性が強く,給油式では爆発の危険があるため鉱油系の潤滑油は使用できず,難燃性の潤滑剤が使用されます。一般には,潤滑油とガスが接触しない遠心式やオイルフリー圧縮機が適用されています。不活性の窒素,稀土類ガス,可燃性の水素,一酸化炭素はそれぞれ性質はことなりますが潤滑油への影響はほとんどありません。炭酸ガスは鉱油に溶け粘度を低下させるので,高圧圧縮機では一番手上の粘度グレード油を使用します。同様に炭化水素ガスは鉱油によく溶けるため,高粘度油または摩耗防止剤添加油が使用されます。たとえば,高圧ポリエチレンの合成などでは一次,二次の圧縮機ごとにことなる粘度油を用い,超高圧の二次最終段では粘度グレード320などの高粘度油が使用されています。

高圧ガスでは主成分ガスのほか,他のガスや無機ガスでは水分,有機ガスでは低級有機酸などをともなうことが多く,反応,希釈,腐食やさび,乳化,あわ立ちなどの促進要因となり,潤滑油はこれら混入物の影響を大きく受けます。このため,混入ガスや混入物の影響を考慮した性能も必要となります。

内部油の一部は圧縮ガスに混入します。ガス通路の配管や開閉バルブまた制御機器などには,混入油はさび止めや潤滑に役立ちますが装置によっては系内の汚染,触媒毒,製品の品質低下などの影響がありますので注意が必要です。

たとえば,ポリエチレン合成でのエチレン圧縮機やドライアイス製造の炭酸ガス圧縮機などの潤滑油には,ポリエチレン,ドライアイスが食品関係に使用されるため,無毒性で臭いや着色への影響の少ない流動パラフィンやポリグリコール,ポリブテンなどが使用されます。また,アンモニア合成では硫黄化合物によって触媒が被毒するといわれ,原料ガスの窒素,水素の圧縮機には低硫黄分の潤滑油が適用されています。

以上,高圧圧縮機用油について,圧縮機,圧縮ガス,装置またはガスの用途からその概要を述べましたが,高圧圧縮機に最適の潤滑油は,圧縮ガスと接触しない外部油については適正粘度の軸受油または添加タービン油が適します。また,圧縮ガスと接触する内部油ではガスによりことなりますが,窒素・水素など油に影響のないものは無添加の精製鉱油,そのほかはガスの溶解や反応性を踏まえて,しゅう動面や軸受部分の潤滑の役割を果たし,腐食やさびから機器を保護し,また装置系内や圧縮ガスへの影響のない品質の潤滑油が必要となります。

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最終更新日:2021年9月10日