MCAはどのような固体潤滑剤 | ジュンツウネット21

MCAという固体潤滑剤の特長や用途を解説します。MCAはMelamine Cyanuric Acidの略称で,メラミンとイソシアヌル酸のほぼ1:1の有機付加体です。

MCAはどのような固体潤滑剤

解説します。

MCAはMelamine Cyanuric Acidの略称で,メラミンとイソシアヌル酸のほぼ1:1の有機付加体で図1のような構造と考えられています。

MCAの化学構造(推定式)
図1 MCAの化学構造(推定式)

一般性状は次の通りです。

(1)外観は白色の微粉末で,一次粒子径0.5~5μmの結晶性の高い物質です。
(2)水,有機溶媒に難溶,アルカリ水溶液には一部溶解し,メラミンとイソシアヌル酸に解離します。
(3)密度は1.52g/cm2で,市販の各種固体潤滑剤の中で最も小さい数値です。
(4)60C0γ線を用い,吸収線量109Rad(2×109R/hr,500時間)に相当する照射下で,MCAの物理的・化学的変化は認められず,非常に高い耐放射線性を示します。
(5)化学的に不活性で,反応性に乏しく,pHは中性で,金属等への腐食性は小さく,また,分子内に窒素があり難燃性です。

MCAは有機化合物として大変耐熱性の良い物質で高温に耐え,300℃でも長時間安定です。しかし400℃を超えると昇華あるいは一部分解して消失します。(図2

MCA示差熱・熱重量曲線図
図2 MCA示差熱・熱重量曲線図

減圧下では,常圧下に比べて低い温度で昇華が起こります。たとえば減圧度2mmHgでは230℃付近で昇華を開始します。(図3

a,b MCAの昇華曲線図
図3 a,b MCAの昇華曲線図

MCAの潤滑剤としての特長は次の通りです。

(1)白色のため製造・使用時において作業者や作業環境への汚染が少ない。
(2)一般に油性媒体中よりも水性媒体中で著しい潤滑性能の向上が認められます。
(3)分散系で効果のあった油性媒体をベースにしてペースト状にしたものは,極圧性が優れ摩耗防止などの効果が認められます。
(4)プラスチックのような柔らかい材料に対しても摩擦や摩耗を促進することなく,優れた潤滑効果が認められます。
(5)金属では,鋼よりも銅合金に対して優れた潤滑性能を発揮します。

これらの特長のうち,なぜ,水性媒体で好結果が得られるのか明確な理由は分かりませんが,MCAには水素結合があり,水への親和性が良いため,水への分散性が高いことによるものと推定されます。

MCAの水への分散性を高める目的で,界面活性剤で処理すると,未処理のものに比べ,少量のMCA添加で摩擦・摩耗を減少させる効果が顕著に認められます。ただし,界面活性剤は,分散性の向上のほかに金属への親和性の改良等種々の機能を有していますので,一概にMCAの水への分散作用による潤滑効果の改善だと断定はできないところもあります。

従来の固体潤滑剤の需要先は,鉄鋼,造船,セメント等の重厚長大の産業で,高温,低速,高荷重に耐えるという性能が要求され,二硫化モリブデンやグラファイトが主として使用されてきました。しかし,オイルショック以降,自動車,弱電器,精密機器等を中心に小型軽量化に伴う各種機器のプラスチック化が進行し,潤滑剤への要求性能も多様化してきています。すなわち,(軽)中荷重下での長期耐久性,また,作業環境や製品汚染の観点から,白色製品の要求が強くなってきています。MCAはこのようなニーズに適した潤滑剤の一つとして,広く使用されています。使用形態としては,グリース,ペースト,ドライフィルム等の使われ方が多いようです。

さらにMCAの昇華性,白色性,潤滑性の特長を活かして,機械加工後の出来上がり製品に残留物が残らない,製品の汚染性がないなどの利点から,離型剤,伸線用潤滑剤として一部使用されています。使用形態はディスパージョン系と思われます。

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