油抜き,油張り,空気抜きの注意事項 | ジュンツウネット21

一般に多く使用されている石油系作動油について,作動油の交換基準と,作動油の抜き取り,交換時のフラッシング,運転油の充填,ポンプ起動時の注意などを解説します。

油抜き,油張り,空気抜きの注意事項

油圧装置から作動油を抜いたり,新しく張り込んだりする際や,再度油圧装置の運転を始める前に回路内から空気を抜き出す場合の注意事項を教えてください。
解説します。

現在市販されている油圧作動油は,石油系作動油および難燃性作動油(りん酸エステル,脂肪酸エステル,水-グリコール,乳化型作動油,HWBF等)に大別できますが,ここでは一般に多く使用されている石油系作動油について述べます。

油圧機器における故障原因の65~70%が作動油に起因するものといわれますが,作動油の劣化によるものは少なく,異物,水分および異種油の混入によるものが多いといわれており,このような場合に作動油の交換が実施されています。

1. 作動油の交換基準

作動油の交換の決定については,現場的判断(色,臭気,水分混入等)および清浄分析結果を検討し,さらに機器の使用状況を勘案し決定されています。表1および表2に作動油の交換基準値を参考までに示します。

表1 作動油の交換基準
分析項目
交換基準値
粘度 %
±10~15
全酸価 mgKOH/g
0.2以下
不溶解分(n-ペンタン)
0.025以下
水分 wt%
0.2以下
表2 作動油の汚染管理基準
油圧機器の区別
試験方法
管理基準値
1.サーボ弁を使用する油圧装置 粒子計数法
NAS等級
7~9
2.精密小型電磁弁および精密流量制御弁を使用する油圧装置 粒子計数法
NAS等級
11
3.上記以外の制御弁を使用する油圧装置 粒子計数法
NAS等級
12
重量法 mg/100mL
4
4.一般油圧装置 重量法 mg/100mL
10

2. 作動油の抜き取り

作動油タンクには,給油孔,エアーブリーザ,ドレーンが取り付けられているので,これらを利用して作動油を抜き取ります。また,タンク上面にマンホールがあるものは,これを取り外して実施すると作業性がよくなります。使用ポンプはタンク容量によって任意のポンプを選択すればいいのですが,50L/min~200L/min程度の吐出量を有する可搬式ポンプが最も多く使用されています。その他オイルクーラー,配管内,フィルタ類からも作動油を抜き取り,前回充填量と同量の回収に努めます。なお配管系を開放して管内作動油を抜き取った場合は,フランジガスケット(Oリング)は必ず新品と交換する必要があります。

タンク内清掃は耐油性スポンジ(ポリウレタン系フォーム等)を使用し,キッチン用スポンジおよびウェス等繊維質のものは絶対に使用しないで下さい。タンク清掃時には内部点検を実施し,壁面の発錆,結露の付着が認められた場合は適切な処置が必要です。

また,サクションフィルターは一般にゴーズワイヤまたはノッチワイヤ製品が多く使用されていますが,とくにノッチワイヤフィルタについては表面の汚損物は簡単に除去できても隙間の異物除去が難しく,灯油などに侵漬させた後,5~7kgf/cm2のエアーを吹き付けて清掃すると比較的容易に異物の除去ができます。

3. 作動油交換時のフラッシング

作動油の交換およびフラッシングは,通常,作動油の劣化,著しい汚染および水分混入などの場合に行います。使用フラッシング油は油圧装置の場合,フラッシング油の100%回収が難しいことを考慮して,運転油と同粘度油を使用するのが望ましいでしょう。

通常のフラッシングではタンク内にフラッシング油を充填後,正規の油圧ポンプを駆動して使用油の置換または系統内の汚染物を除去すればよいのですが,使用油の極端な劣化,磨耗粉の混入などによる制御バルブの作動不良がある場合には,次のようなフラッシングを行うと効果的です。

(1)各制御用バルブの分解洗浄および点検。
(2)仮説ポンプおよびフラッシング油による配管単体(パワーユニット,アクチュエータはバイパス)の1次フラッシングの実施。
(3)上記工程終了後,正規の油圧ポンプおよび運転用親油による全系統の2次フラッシングの実施。なお本作業中に3~10μmのフィルタでタンク内油のバイパス洗浄を実施するとよい。

4. 運転油(新油)の充填

省資源という観点から各ユーザとも作動油の寿命延長を図るため,日常の潤滑管理にさまざまな努力がなされています。例えば作動油の再生処理(ろ過清浄)などによる再使用が増加しています。これら再使用を目的とした再生作業の場合には,回収容器,使用機器の清浄度はNAS等級8~9程度といわれていますが,油圧装置の制御バルブには一般に5~30μm程度の粒子が最も悪影響を与えているといわれており,新油の充填時には装置が要求する清浄度を満足し得るろ過装置を通して充填する必要があります。作動油中のコンタミナントの許容量を表2に示しますので,目安にして下さい。

また,電気-油圧サーボ弁などを用いた装置(圧延機ロール圧下装置,その他精密油圧装置等)では,NAS等級6~7以下の清浄度が保障された作動油を要求していますが,最近では各石油メーカでこれらの機器に対応できる専用作動油(クリーンオイル)が市販されてきています。

5. ポンプ起動時の注意(エアー抜き)

タンク内作動液が規定油位にあることを確認します。また,フィルトレーション直後の作動油中には混入気泡が多いので,30~60分間程度無負荷運転を実施し,ポンプの異常音,油漏洩などの点検を行います。

油圧回路中(配管)の空気量が多いと油を吸い込みにくいので,エアー抜き弁から空気を十分除去します。ベーン型ポンプのトラブルとして,ポンプ分解時に回路内に入った多量の空気の影響で何回インチングしても油を吐出しなかった例がありますが,これはタンクへのリリーフラインに背圧がかかり空気が抜け切れず,吐出側に残存したままの混入空気が圧縮,膨張され油が送り込まれなかったケースです。

これはリリーフ配管口径にも問題がありましたが,運転初期におけるエアー抜きを十分に実施しなかったことが原因です。したがって,配管系統中およびシリンダ上部には必ずエアー抜き弁を設けることが必要です。シリンダなどのエアー抜きは,ピストンをゆっくりと数回往復させエアー抜き弁から空気を除去します。配管中のエアー抜きは,リリーフ弁を操作して最低圧(0.5~1.0kgf/cm2)に調整し,回路上のエアー抜き弁から空気を除去します。

なお,回路上にエアー抜き弁がない場合には,フランジまたはくい込みジョイントなどの接続部を徐々にゆるめ,空気や油の噴出に十分注意して空気抜きを実施します。また,ポンプの吸入側回路の配管ゆるみ,サクションフィルタ(ケース付タンクフィルタ)からの空気混入の場合もあるので,併せて点検,確認することが必要です。

ブルカージャパン ナノ表面計測事業部

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