スラッジの分析法 | ジュンツウネット21

機械の潤滑部分をチェックしているとスラッジ状のものが出てきました。どうやって分析すればよろしいですか。

解説します。

機械に対して潤滑剤を適正に選び,正しく使用することにより,向上の省エネルギ効果が増大し利益向上につながります。

この例のようにスラッジ状のものが析出する場合というのは,潤滑剤が適正でないか,潤滑条件が過酷すぎるためか,外部から水分や異物の混入によるものかいろいろな原因が考えられます。スラッジを分析してその正体を明らかにすることによって,潤滑不良の原因を追究することができます。スラッジを分析する標準的方法を確立しておくことは重要で,応用範囲も広い。

1. スラッジの分離分析方法の概要

スラッジ類の発生原因を究明するためには,まず分析が必要です。それにはまず,分析に先だって有機溶媒で脱油することが必要であり,こうして分離した油分は吸着クロマトグラフィ等によってさらに細分することが必要です。

具体的な分離方法としては,脱油のための有機溶媒を用いた超遠心分離法,ソックスレー抽出法,ゴム膜透析法などがあり,分離された油あるいは残さの分離にはシリカゲルクロマトグラフィ,アルミナゲルクロマトグラフィ,白土-シリカゲルの二段クロマトグラフィが用いられます。

分離された成分の分析は,発光分光分析,けい光X線分析,X線回析,赤外線吸収スペクトル分析,原子吸光法および一般性状(たとえば,ろう分,全酸価,硫黄,窒素等)により定性あるいは定量分析し,それらのデータを総合的にみて発生原因等の推定が行われます。

2. 分離方法

(1)超遠心分離法

スラッジ類をトルエン30~40mLに分散させ,50mLポリエチレン製沈殿管を用いて12,000rpmで30分間遠心分離します。これをトルエン液が無色になるまで繰り返します。トルエン可溶液は蒸発皿あるいはナス型フラスコに移し,沸とう浴上またはロータリーエバポレータで脱トルエンします。トルエンに対する溶解が徐々である場合には,むしろソックスレー抽出法の方がよいでしょう。

(2)ソックスレー抽出法(スケール,スラッジ)

酸化劣化物,ろう分の多いものなどは有機溶媒に対する溶解が徐々に行われるため,その分離に長時間を要します。このような場合は,通常のソックスレー抽出法によって油状のものを分離します。抽出操作の詳細については省略しますが,油分および残さは脱溶媒,秤量後,油分などはさらにクロマトグラフィ分離を行うことがあります。

(3)ゴム膜透析法(スケール,スラッジ,高分子量化合物)

ゴム膜透析は分子量がほぼ2,000以下の有機化合物を透析し,それ以上の分子量のものはゴム膜内に残留するという特性を利用した分子量による分離分別法です。スケール,スラッジ中の油分と無機物の分離,潤滑剤中の基油と添加剤(高分子物,粘度指数向上剤,清浄分散剤など)の分離,グリース中の基油と石けんの分離などに用いられます。

ゴム膜中に試料を5~10g秤りとり,ソックスレー抽出器を改良した装置内にセットします。受器に石油エーテルを100mL入れ,温度55~60℃で,8~10時間加熱還流抽出します。規定時間終了後,ゴム膜袋をとり出して内容物を蒸発皿へ移し,脱溶媒します。受器中の溶液も蒸発皿に入れて脱溶媒してそれぞれ秤量し,回収率(wt%),油分(wt%),残さ(wt%)を計算で求めます。

(4)白土-ゲル吸着クロマトグラフィ法(ASTM D 2007,分離油分,重質油)

スラッジ,スケール等から分離した油分は重質油で,芳香族成分やレジン分が非常に多い油です。

したがって,このような油に対しては標記の方法が推せんできます。

3. 分析方法

(1)赤外線吸収スペクトル分析法
(2)けい光X線分析法
(3)X線回析法
(4)発光分光分析法
(5)原子吸光分析法
(6)誘導結合プラズマ発光分析法
(7)ハロゲンおよび硫酸イオンの化学定量分析法
(8)分離油の一般性状試験

スラッジの系統的分離分析法をに示します。

スラッジの系統的分離分析法
図 スラッジの系統的分離分析法

スラッジをまず有機化合物と無機化合物に分離し,各々の機器分析を行って構造を見究めます。

こうして,スラッジの中味,たとえば水分混入,潤滑油劣化生成物,添加剤分解物,摩耗金属,異種油の混入,硫酸塩,ハロゲン化合物等がわかります。その組成・成分の品質と量を把握し,潤滑不良の原因を解明し,対策をたてることができます。

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