ガスホルダーに使用されるオイル | ジュンツウネット21

ガスホルダーとは,都市ガスを貯蔵する容器を指し通称ガスタンクとも呼んでいます。円筒形と球形の2種類ありますが,都市ガス用としては球形がほとんどであるため,球形ガスホルダーに関するオイルの使用個所と使用されているオイルについて解説します。

ガスホルダーに使用されるオイル

ガスホルダーにもオイルが使われていると聞きますが,どのような個所にどのようなオイルが使われているのでしょうか。
解説します。

ガスホルダーとは,都市ガスを貯蔵する容器を指し通称ガスタンクとも呼んでいます。その役割は需要(ガス使用量)の少ない時間にガスを貯蔵し,需要の多い時間にガスを送出して,ガスの需要の変化に応じて送出を調整する機能を持っております。

ガスホルダーは円筒形と球形の2種類ありますが,都市ガス用としては球形がほとんどであるため,ここでは球形ガスホルダーに関するオイルの使用個所と使用されているオイルについて述べることにします。

1. 球形ガスホルダーの構造と耐震対策

(1)構造

球形ガスホルダーの構造は,鋼材を所要の形状にプレス加工したものを,球形に溶接して組み立てられ,赤道部に取り付けた円筒型の支柱で支えた大型重量構造物です(図1)。当社で採用している代表的なものでは,おおよそ総重量1400t,直径36mの大きさとなります。支柱は球体自重,風圧力,地震力等の荷重に対して安全であるよう設計され,支柱間にタイロッド等の斜材があって水平力を基礎に伝える役目をします。

球形ガスホルダーの構造
図1 球形ガスホルダーの構造

(2)耐震対策

球形ガスホルダーは貯蔵物の性質上,他の一般構造物に比較して,通常の運転時はもちろんのこと地震時にもその安全性,信頼性が極めて高いことが要求されます。

球形ガスホルダーの耐震対策の基本的考え方は,以下の3つの方法があげられます。

1)地震動との共振を避ける方法
2)地震力に耐える部材断面性能を設ける方法
3)地震の作用する力を小さくする方法

1)の方法は,ホルダーの固有振動周期を0.1~1秒の範囲におかないことでありますが,大型構造物では周期を0.1秒以下もしくは1秒以上にするには,特別の工夫をするかまたは軽量化したうえに剛性をきわめて高くする必要があり,技術的には可能でも経済的に問題のある場合が多くなります。

2)の方法は,従来一般に行われており新設する場合は比較的容易にできるとしても,既設のホルダーの耐震性を向上させるためには,1)同様の問題が生じます。

3)の方法は,振動系としてのホルダーに減衰を加えることにより地震力を減少させるもので,支持構造物に減衰機構を付加するだけで1),2)の問題が容易に解決でき耐震性の向上がはかられます。

2. オイルの使用個所とその性状

(1)オイルの使用個所

前項の地震対策で述べた減衰機構がホルダーに使用されている“オイル”部で,耐震用オイルダンパーと呼んでおり,球形ホルダーの球殻底部とダンパー用基礎の間に取り付けます(図2)。ダンパーは水平面内で任意の方向の地震に対して均等にきくように,3個以上を等角度で配置します。地震時にはこのオイルダンパーのオイルの粘性で球形ホルダーの振動に減衰を加えます。これは,圧縮・引張りどちらにも働く水平動用のもので,自動車の懸架装置や高速道路の耐震装置などにも同種類のものが使用されています。

ホルダーの取付例
図2 ホルダーの取付例

(2)耐震用オイルダンパーの構造・原理

耐震用オイルダンパーの構造の一例を図3に示します。
 オイルダンパーに地震動等の外力が作用し,ピストンが左に進む(引張りの場合)時は弁Aは閉じ弁Bは開くのでB室の油圧は上がらないが,弁付オリフィスによってオイルの流れが絞られるためA室の油圧が上がり,ピストンに抵抗力が働きます。逆にピストンが右に進む(圧縮の場合)時は,弁Aが開き弁Bは閉じます。シリンダ内の断面積とピストン棒の断面積の比が2:1になるように作られているので,弁Aを通ってA室内に入ったオイルの半分はそこに溜まるが,残りの半分はオリフィスを通ってC室に入ります。オリフィスによってオイルの流れは絞られるのでA,B室とも油圧は油圧は同様に上がるが,ピストンの両側に働く力を比べるとB室側の受圧面積はA室側のそれの2倍になっているので,ピストンに抵抗力が働きます。すなわち,ダンパーは引かれても押されても弁付オリフィスを流れるオイルの流速は等しいので発生する油圧も等しく,従ってピストンの動きに対する抵抗力も等しくなるように作られています。

オイルダンパーの構造
図3 オイルダンパーの構造

(3)ダンパー用オイルの性状

ガスホルダーに使用されるダンパー用オイルは,他の一般的な油圧機器用のものと基本的には同種の鉱油系作動油を使用します。耐震用としての用途から稼動頻度は非常に少ないですが,選定に際しては以下の点を考慮することが必要です。

1)使用条件が予期せぬ地震であることから,最大限の安定動作をはかる必要があるため,耐摩耗性に優れたことが要求されます。

2)ダンパーは外気に直接さらされ,また強制冷却機構を持たないため,低温から高温まで安定した性能,低流動点かつ粘度指数の大きいことが要求されます。

3)安定動作をはかるため,粘度は一般の油圧機器より低めのものを使用し,オイルの流れをスムーズにする必要があります。

4)作動油(ダンパー本体)の保守管理が,10年周期(ホルダーの運転停止時期)を基本としていることから,酸化安定性に優れていることが要求されます。

この他,防錆性,消泡性,スラッジ分散性,水分離性,対パッキン特性等が良いことはいうまでもありません。

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