ニッティングオイルについて解説します。編機の種類は非常に多く,それに伴って,使用される潤滑油の種類も多くなります。編機用潤滑油を総称してニッティングオイルと言います。
ニッティングオイル(靴下編み機などが主な用途)
ニッティングオイルとは何ですか。どんな機械に使われているのでしょうか。また,特性についてご教示下さい。
解説します。
ニット(knit)という言葉は編むという意味の動詞ですが,わが国では編まれたもの,とか編んだもの,という意味に使われることが多いようです。ニットの分類は表1の通りです。
表1 ニットの分類
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編機の進歩は著しいものがあります。編機の種類は非常に多く,それに伴って,使用される潤滑油の種類も多くなります。編機用潤滑油を総称してニッティングオイルと言います。編機の分類を表2に示します。
表2 編機の分類
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最も需要の多い女性のストッキングについてみると,シームレスストッキングが爆発的に伸び,これに伴いシームレス靴下編機が開発され自動化され,大量生産体制が確立されました。
シームレス靴下編機の主体はニードルシリンダとシリンダカムリングであり,従来,潤滑油としてスピンドル油,流動パラフィン等が使用されてきました。しかし,機械の高速回転化に伴い,針とカムの摩耗が激しくなってきたため,耐摩耗性,油性,潤滑性,さび止め性,水洗浄性,帯電防止性,耐変色性,粘度-温度特性の優れたニッティングオイルが各社で開発され,実用化されています。高度に精製された基油に,各種の添加剤が配合されています。
高性能ニッティングオイルの開発により,針の折損事故がほとんどゼロに近くなり,生産性が飛躍的に向上しています。
A社のニッティングオイルの一般性状例を表3に示します。
表3
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A油の特長としては,
(1)耐摩耗性が優れている
耐摩耗剤の添加により針の摩耗が減少し,編針の寿命が非常に長い。
(2)さび止め性が優れている
さび止め剤の添加により,機械をさびから防ぐ。
(3)水洗性が優れている
特殊な界面活性剤の使用により編糸の水洗性が優れており,糸に油分が残らない。
(4)帯電防止性に優れている
帯電防止剤の使用により,ナイロン,テトロン等の摩擦による静電気の発生を防止する。
(5)粘度-温度特性が優れている
粘度指数向上剤の添加により,優れた粘度-温度特性を有している。
(6)耐変色性が優れている
光や熱による編み上がり製品の変色,黄変がほとんどなく,優れた色・つやを与える。