グリースのスランパビリティとは | ジュンツウネット21

グリースのスランパビリティについて解説します。スランパビリティ(Slumpability ; 吸引性)は,グリースが流動を起こし始めるのに要する力(dyne/cm2)で示されます。グリースタンク内のグリースがポンプの吸い込み側に向かって連続的に入っていく性質がスランパビリティです。

グリースのスランパビリティとは

グリースはスランパビリティのよいことが望ましいといわれます。このスランパビリティの意味と評価方法について教えてください。
解説します。

1.スランパビリティの意味

グリース潤滑において,給脂個所の多い場合や,危険個所に給脂する場合には,集中給脂方式がよく用いられています。集中給脂方式は,省力化や給脂時の危険回避の他,給脂量を適正化できる効果もあるため,抄紙機や連続鋳造設備などの大型機械から自動車にいたるまで広い範囲で採用されています。

この集中給脂方式に使用されるグリースは,潤滑性に優れていることはもちろんですが,給脂性に優れていることが要求されます。グリースの給脂性を問題にするとき,ポンパビリティ(圧送性),スランパビリティ(吸引性),耐プラッキング性(詰まりにくさ)という言葉を耳にします。

スランパビリティ(Slumpability ; 吸引性)は,グリースが流動を起こし始めるのに要する力(dyne/cm2)で示されます。図1の集中給脂装置において,グリースタンク内のグリースがポンプの吸い込み側に向かって連続的に入っていく性質がスランパビリティです。

グリースの電動式集中給脂装置
図1 グリースの電動式集中給脂装置

集中給脂方式において,スランパビリティが悪いと

(1)ポンプの空気をかみ込むことにより損傷する。
(2)配管内のグリースが部分的に油分離等を起こし,不均一になる。
(3)潤滑個所に適正量のグリースを給脂できなくなり,潤滑切れを起こす。

などの現象が起こり,大切な機械を損傷することになります。

スランパビリティとグリースとの関係ではスランパビリティは,グリースの降伏値に関連があり*1小さい方がよいことになります。

2.スランパビリティの評価方法

一般的には,給脂装置のグリースタンクとポンプの圧力差,配管半径・長さなどから,グリースにかかるせん断応力(F)を計算し,これとグリースの降伏値(f)とを比較して,吸引が可能か否かを判定する方法がとられています。すなわち,図2のようになります。

ランパビリティの評価方法
図2

ここで,グリースにかかるせん断応力(F)と降伏値(f)の求め方について説明します。

(1)せん断力(F)の求め方

せん断力(F)の求め方

グリースタンクとポンプの圧力差(P),グリースタンクとポンプ間の配管の半径(R),グリースタンクとポンプ間の配管の長さ(L)を測定し前記(2)式よりF(せん断応力)を求めます。

(2)グリースの降伏値(f)の求め方
 1. 降伏値の意味
 グリースの降伏値とは,グリースが流動し始めるときの最小せん断力のことで,これ以上のせん断応力が加われば,グリースは連続的に流動することを意味します。

図3において,鉱油のようなニュートン流体は,前述のPoiseuilleの(1)式により,ηが一定ならSはFに比例します。しかし,グリースのような非ニュートン流体では,SはFとともに変化し,Fがある程度大きくなってはじめて比例関係になります。図3のように,直線部を延長し,横軸と交わる点の値(f)を降伏値とよびます。

グリースのせん断速度とせん断応力の関係
図3 グリースのせん断速度とせん断応力の関係

2. 降伏値の求め方
 降伏値は,見かけ粘度とせん断速度の関係から求めることができます。
 図4より,それぞれのせん断速度に対応する見かけ粘度を求め,先の(1)式を用いて,せん断応力(F)を求めます。このようにして求めたそれぞれのせん断速度に対応するせん断応力をプロットし,図3のようなせん断速度とせん断応力の関係図からグリースの降伏値(f)を求めます。

グリースの見かけ粘度とせん断速度の相関
図4 グリースの見かけ粘度とせん断速度の相関

先にも述べましたように,グリースの吸引性を良くするためには,集中給脂装置内でグリースにかかるせん断応力(F)を大きくすることと,グリースの降伏値(f)を小さくすることが必要ですが,最近は装置上での配管流量に見合った十分なポンプ量の設定など設計上の配慮もいきとどいており,グリースのスランパビリティが問題にされるケースは少ないようです。また,グリースの降伏値を実際にスランパビリティの目安とするよりは,集中給脂用のグリースとしては,ポンパビリティの面からも流動性の一つの尺度であるちょう度の面から見れば,一般的にちょう度300以上のグリースが多用されています*2。

<参考文献>
*1 日本潤滑学界;潤滑用語解説集
*2 広井鎮男;日石レビューVol 21,No.1 p.39

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