ウレア系グリース(種類とそれぞれの特徴) | ジュンツウネット21

ウレア系グリースは増ちょう剤にウレア化合物を用いていることからそのように呼ばれています。ウレア化合物中にウレア基が何個含まれるかによって“ジ” “トリ” “テトラ” “ポリ”が接頭語として使われています。それぞれのウレアグリースの特徴を解説します。

ウレア系グリース(種類とそれぞれの特徴)

ウレア系グリースが紹介されているカタログ等にはよく何々ウレアグリースと記述されていますが,それぞれの内容について教えて下さい。
解説します。

ウレア系グリースは増ちょう剤にウレア化合物を用いていることからそのように呼ばれています。ウレア化合物中にウレア基が何個含まれるかによって“ジ” “トリ” “テトラ” “ポリ”が接頭語として使われています。

図1では点線で囲まれた部分がウレア基であり,その個数によって呼び方が変わります。

ジウレア,トリウレア,テトラウレア
図1

以前は総称してポリウレアと言っていましたが,現在ではポリウレアと呼ばずにジウレア等,正式名称で呼ぶことが多いようです。ただし,外国の雑誌等では未だにポリウレアと記述されている記事を多く見かけます。なお,実際のポリウレアでは重合度にもよりますが,基油との相溶性が悪くグリース化しない場合が多いようです。表1にそれぞれのウレアグリースの特徴を記述しましたが,適切な反応方法を用いればジウレア以外のものでも優れた性状のグリースが得られるようです。

表1
 
ジウレア
トリウレア
テトラウレア
特徴 (1)容易に入手可能なモノアミンとジイソシアネートとの反応で作ることができる。
(2)安定した性状のグリースが得られやすい。
(1)反応が複雑である。
(2)一定した性状のグリースが得にくい。
(1)反応が複雑である。
(2)歩留まり(収率)が悪い。
(3)一定した性状のグリースが得にくい。
(4)経時的に硬化が進行する。
(5)加熱による硬化も大きい。

図2では末端に付く物質の違いで呼び方が変わる例です。

脂肪族ウレア,脂環族ウレア,芳香族ウレア
図2

表2にそれぞれのウレアグリースの一般的な特徴を示しました。実際には長鎖アルキル脂肪族,短鎖アルキル脂肪族,芳香族,および脂環族など2種または3種あるいはそれ以上を組み合わせて,それぞれの欠点を補ったり長所をより高める手法が用いられています。

表2
 
脂肪族ウレア
脂環族ウレア
芳香族ウレア
特徴 (1)長鎖アルキル基を両末端に用いると耐熱性がリチウム石けんグリース並となる。
(2)短鎖アルキル基を用いると耐熱性が向上する。
(3)脂環族および芳香族ウレアに比べ寿命が短い。
(1)増ちょう効果が優れている。
(2)比較的耐熱性に優れている。
(3)せん断安定性に優れている。
(4)寿命が長い。
(1)増ちょう効果が脂肪族や脂環族ウレアと比較し,劣る。
(2)耐熱性に優れている。
(3)寿命が長い。

図3にウレア基とウレタン基を組み合わせたウレア・ウレタン化合物を示しました。このように組み合わせることができるのも,ウレアの特徴といえるかも知れません。

ウレア,ウレタン
図3

アーステック



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最終更新日:2021年11月5日