漏れ対策 | ジュンツウネット21

機械の補修作業などの漏れ対策は以下のような流れになります。(1)漏れた個所の確認,(2)漏れ具合の確認,(3)補修部品の用意,(4)分解する,(5)補修をする,(6)試運転をする,(7)補修記録をつける。

漏れ対策

機械の使用者の確認事項や補修作業など漏れ対策についてお聞かせ下さい。
解説します。

(1)漏れた個所の確認

漏れた個所を確認する必要があります。外観的にすぐ思いつく所でない所から漏れが周り込んでいる場合があるからです。その確認方法はまず漏れたものが何か,をしっかりつかむ必要性があります。例えば組み付け時につけたグリスが熱によって流れ出てきたのを,内部の油の滲みとしてしまう場合などです。もし組み立て図がある時は,他の場所からの可能性についても検討してみる必要があります。

(2)どのように漏れ始めているかを見る

1. まず時間経過と漏れ量の変化についても近くの作業者に確認しておくと役に立ちます。
 最初から漏れていた,徐々に漏れが増えていた,ある時間たってから漏れ始めたの3種類に分けられます。(表1

表1 漏れ初めの時期
漏れ始めの時期
二次的な条件
疑わしい点
始めから 同一モデルの1台だけ漏れる 組み付け時の傷
同一モデルの全てが漏れる その機械の能力の限界
漏れが徐々に増える   ○シールが熱や流体の影響で劣化した
○シールの接触する面の傷がだんだん増えていった
ある時間経ってから漏れた 徐々に増えていく 寿命
突発的に大量に漏れた シール等の破損

2. 次に漏れの程度についての確認をする。(表2) 時間当たりの漏れ量等がそれです。

表2 漏れの程度
状態
原因
漏れが少ない ○表面粗さや微少な傷
○摩耗
漏れが多い シール等の破損

3. 漏れの起こる時の状況を確認する。
 漏れがある条件の下で起こることが分かることがあります。例えば低温時に漏れる,高温時に漏れる,これらの条件と推定される原因との関係を表3にまとめました。

表3 漏れの時期
条件
原因
低温時 締め代不足,ゴムの低温時の硬化
高温時 シールが硬すぎる,相手面の粗さが粗すぎる
(流体の粘度の低下による漏れなので,隙間による漏れである。)
低圧時 シールの締め代不足
高圧時 傷等

(3)補修部品を用意する

漏れが起こったと推定されるシールの補修部品を用意するのはもちろんですが,どのように漏れるのか調査した結果を元に,必要と思われる他の部品についても用意をしておくと良いでしょう。

(注)シールは組み付けが肝心なので組み付け方法もあらかじめ確認しておくことをお勧めします。機械製作会社に問い合わせることができなくても,シールの品番が分かる場合,シールメーカーに問い合わせることもできます。

(4)分解する

分解すると当然使用したシールを取り出すことになりますが,取り付いていた部分を調べることも忘れてはならないものです。シールが取り付いていた部分ではしばしば摩耗や噛りが見られます。この部分を放置したままで,単にシールを交換しても初期の能力に回復することはできません。

シールの状態は摩耗,傷,変形,硬さ等を調べます。その際,新品と比べるくらいでいいと思います。シールがどのくらい摩耗しているのか,漏れにつながるような傷はないか,圧力による変形はどの程度か,弾力性はどのくらい変わっているのか等見るようにしたいものです。(表4

表4 シールの状態
シールの状態
二次的な条件
 
摩耗が見られる 傷がなく,寿命が短すぎる シールの変更を考慮する必要がある
傷がある場合 運動方向と平行な傷 運動中の傷なので,相手面にも傷がある
運動方向と平行でない傷 組み付け時の傷と思われるので,組み付け時に必要な面取り等を調べる
変形 大きな変形 原因を調べる
はみ出し 偏芯していない シールの耐圧性,隙間,温度に注意する必要あり
偏芯している ベアリングに注意

(5)補修をする

補修はシールを交換するばかりではなく,シールの取り付いていた部分やシールが接触していた部分を改修することを含みます。この部分がなされていないと,前回の補修サイクルよりかなり短いサイクルで,また補修をしなくてはならない場合や漏れが止まらないことがあります。

(6)試運転する

(7)補修記録をつける

補修記録には,補修内容を記載すると同時に,時間的に補修できなかった点についても記載することを勧めます。その補修できなかった部分が原因で,再補修になる場合がありますのでその部分の準備をしておく必要があります。

今まで述べた補修作業の仕事の流れをまとめたものを図1に示します。

補修作業の流れ
図1

ブルカージャパン ナノ表面計測事業部

アーステック



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最終更新日:2021年11月5日