石綿代替化ガスケット | その特長と取り扱い・選定方法 | ジュンツウネット21

石綿代替化ガスケットの特長,取り扱いなどを解説します。代表的な石綿代替化ガスケットには,非石綿ジョイントシートガスケット,膨張黒鉛シートガスケット,膨張黒鉛うず巻形ガスケット,PTFEうず巻形ガスケット,セラミック繊維複合膨張黒鉛うず巻形ガスケットなどがあります。

石綿代替化ガスケットとその特長と取り扱い・選定方法

石綿代替化ガスケットとその特長と取り扱い,そして選定方法について教えてください。
解説します。

ガスケットの原材料として鉱物繊維の一種である石綿(アスベスト)が広範囲に使用されてきました。石綿は極めて細い繊維であり補強材として優れたものですが,PRTR法において発癌性の有る第1種指定化学物質に指定され,人に対して発癌性の有る物質とするクラス1に規定されている物質です。このことから,日本を含めた先進諸国では石綿の使用を全面的に禁止する方向にあります。ここでは,ガスケットの種類は非常に多いためすべてを網羅することはできませんが,代表的なガスケットの使用可能範囲を石綿系と非石綿系に分けて日本ピラー工業製品を例に表1に示すこととしました。

表1 各種ガスケットの使用範囲(日本ピラー工業)
ガスケット主材料
分類
ガスケット名称
代表的な品番
使用可能範囲(max)
温度(℃)
圧力(MPa)
石綿系 非金属ガスケット 石綿ジョイントシートガスケット 石綿製品は,すでに生産停止しており記載しない。
300
3.3
PTFE包みガスケット(中芯材:石綿ジョイントシート)
150
2.0
セミメタリックガスケット メタルジャケット形ガスケット
530 *1
4.9
石綿うず巻形ガスケット
600
43.1
非石綿系 非金属ガスケット アラミド繊維複合ゴムガスケット P/#5003-NBR
120
2.6
非石綿ジョイントシートガスケット P/#5650
260
5.2
膨張黒鉛シートガスケット P/#6630
400
2.6
PTFE包みガスケット(中芯材:非石綿ジョイントシート) P/#4430AF
120
2.0
特殊充填材入りPTFEガスケット P/#4400-G2
150
2.0
セミメタリックガスケット 金属箔入り膨張黒鉛シートガスケット P/#6633
400
5.2
セラミック繊維複合膨張黒鉛うず巻形ガスケット P/#2700系
650
43.1
膨張黒鉛うず巻形ガスケット P/#2600系
600 *2
43.1
PTFEうず巻形ガスケット P/#2300系
260
34.3
非石綿メタルジャケット形ガスケット P/#1050系
530 *1
4.9
金属ガスケット 金属平形ガスケット P/#1400系
800 *1
13.7

*1.金属材料により最高使用温度が異なる。 *2.酸化性雰囲気の場合,使用可能範囲は450℃となる。

その中から代表的な石綿代替化ガスケットの特長と取り扱いを下記に概説します。

非石綿ジョイントシートガスケット

非石綿ジョイントシートとは有機繊維(アラミド繊維など),無機繊維(セラミック繊維など),充填材を主材料としゴム系バインダを混練した後,シート状に成形した柔軟なガスケット材料であり,必要な形状,寸法に打ち抜いたものが非石綿ジョイントシートガスケットです。その用途は価格面で安いということから一般配管,バルブボンネットをはじめとする機器接合部に幅広く使用されており,低温・低圧で使用される代表的な製品です。

ここで,非石綿ジョイントシートガスケットの使用上の注意事項としては下記が挙げられます。

1.ガスケット形状は締付圧力の確保のためRF形(リング状ガスケット)とし,ガスケット幅はガスケット口径にもよりますが最小幅5mm以上を確保し,ガスケット厚さはt2mm以下にて使用頂くことを推奨します。

2.ガス系流体および施工時に気密試験でシール性を評価される場合は,ガスケットペーストを内径断面に薄く均一に塗布し,ガスケットの接触面積に対して締付圧力を39.2N/mm2以上負荷して使用頂くことを推奨します。

3.ガスケット締付時,締付不足や過剰締付にならないように注意します。過剰締付の場合は,ガスケットが圧縮破壊を起こし漏洩に至るケースがあります。特に平面座フランジで差込タイプ,呼び径25A(1B)以下のフランジは高締付圧力が負荷されやすく,また,ガスケットが厚くなるほど圧縮破壊の発生が顕著になるので非石綿ジョイントシートガスケットの初期締付けには注意が必要です。初期締付けには,個別に設定されたガスケット許容締付圧力を超えない範囲で締付けることが重要です。

4.ガスケットの増締めを行う場合は昇温直後までに実施頂くことを推奨します。昇温後,時間経過してからの増締めはガスケットが熱により硬化し,増締めによりガスケットの破損に繋がる恐れがあるため推奨しません。初期締付圧力を高めに設定し,運転(昇温)前に初期締付圧力まで増締めして頂くことを推奨します。増締め時期としては応力緩和が安定する組み付け後1日程度を目安にして頂ければ良いでしょう。

膨張黒鉛シートガスケット

膨張黒鉛とは純度の高い天然燐片状黒鉛結晶を化学薬品で処理し,これを1,000℃以上の高温で熱処理することで,黒鉛の結晶格子の層間が80倍以上に膨張してフレーク状の粒子になったものです。これをバインダの添加を一切せずに連続的にロールで圧縮すると柔軟性と弾力性を兼ね備えたシートとなり,一般的に膨張黒鉛シートと呼んでいます。この膨張黒鉛シートから所定形状,寸法に打ち抜き加工されたものが膨張黒鉛シートガスケットです。その用途は,価格面でジョイントシートガスケットに比べ高いことから一般配管,バルブボンネットをはじめとする機器接合部の中でも比較的厳しい使用条件下において使用されており,中温・中圧で使用される代表的な製品です。

ここで,膨張黒鉛シートガスケットの使用上の注意事項としては下記が挙げられます。

1.圧縮率が石綿ジョイントシートガスケットの約4倍もあり,柔らかく,小さな締付圧力でも馴染みやすい特性を持つ材料です。一方,引張強さが石綿ジョイントシートガスケットの約1/5と非常に小さく,もろくて折れやすいのが欠点であり,ガスケットの取り扱いには注意が必要です。

2.耐食性に優れており,有機溶剤や濃アルカリには侵されませんが,酸化性の強い下記の流体などには侵されるため注意が必要です。
  酸化性酸:硝酸,濃硫酸,クロム酸溶液,混酸など
  酸化性塩:塩素酸塩,次亜塩素酸塩など

3.極低温から非酸化性雰囲気中での高温領域まで使用できる軟質材料です。ただし,酸化性雰囲気中(空気も含む)において400℃を超える条件で使用される場合は,酸化反応を起こし徐々に炭酸ガスになって材料が消失してしまうことがあるため注意が必要です。したがって,高温における膨張黒鉛シートガスケットの使用については,単純に使用流体の温度だけで判断せずに,使用される装置の構造や運転条件をよく検討して使用する必要があります。

膨張黒鉛うず巻形ガスケット

膨張黒鉛うず巻形ガスケットとは,ガスケット本体部に使用するフィラ材に膨張黒鉛テ-プを使用したうず巻形ガスケットであり,石綿に対する使用規制に関係なく,一般配管から高温・高圧,極低温の各種機器まで幅広く使用されています。ここで,膨張黒鉛うず巻形ガスケットの使用上の注意事項としては下記が挙げられます。それ以外の使用上の注意事項は膨張黒鉛シートガスケットの項を参照ください。

1.内径側に補強リングを有しない膨張黒鉛うず巻形ガスケットは,強締付けされた場合,内径側に図1に示すような異常変形を発生します。このため内輪付または内外輪付の形状での使用を推奨し,内輪の無いうず巻形ガスケットを使用する場合には,フランジサイドでこの内径側への変形を防止できる形状で使用する必要があります。また,膨張黒鉛うず巻形ガスケットの形状とフランジ形状の適合性を表2に示します。

<試験条件>
仕様:外輪付うず巻形ガスケット
寸法:Φ356×Φ396×Φ488×4.5
フランジ仕様:平面座(RF)
締付圧力:98.0N/mm2
膨張黒鉛:P/#2602系
膨張黒鉛:P/#2602系
石綿:P/#2202系
石綿:P/#2202系
注:装着時のペースト塗布もガスケットの接合部の滑りを助長し, 異常変形を発生する恐れがあるため,使用を推奨しません
図1 外輪うず巻形ガスケットの異常変形について
表2 膨張黒鉛うず巻形ガスケット形状とフランジ形状の適合性
フランジ形状
ガスケット形状
適用可否
全面フランジ
全面フランジ
外輪付うず巻形ガスケット
外輪付うず巻形ガスケット(全面フランジ)
内外輪付うず巻形ガスケット
内外輪付うず巻形ガスケット(全面フランジ)
平面座フランジ
平面座フランジ
外輪付うず巻形ガスケット
外輪付うず巻形ガスケット(平面座フランジ)
内外輪付うず巻形ガスケット
内外輪付うず巻形ガスケット(平面座フランジ)
はめ込み形フランジ
はめ込み形フランジ
基本型うず巻形ガスケット
基本型うず巻形ガスケット(はめ込み形フランジ)
内輪付うず巻形ガスケット
内輪付うず巻形ガスケット(はめ込み形フランジ)
溝形フランジ
溝形フランジ
基本型うず巻形ガスケット
基本型うず巻形ガスケット(溝形フランジ)
内輪付うず巻形ガスケット
内輪付うず巻形ガスケット(溝形フランジ)
片インロフランジ
片インロフランジ
基本型うず巻形ガスケット
基本型うず巻形ガスケット(片インロフランジ)
内輪付うず巻形ガスケット
内輪付うず巻形ガスケット(片インロフランジ)

PTFEうず巻形ガスケット

PTFEうず巻形ガスケットとは,ガスケット本体部に使用するフィラ材に柔軟なPTFEテ-プを使用したうず巻形ガスケットであり,石綿うず巻形ガスケットより低締付圧力でもシール性に優れ,耐食性の面でも幅広い流体に使用可能なため,石綿に対する使用規制に関係なく,特殊な薬液が使用される一般配管から中温・中圧,極低温の各種機器まで幅広く使用されています。ただし,耐熱性の面では石綿うず巻形ガスケットより使用温度範囲が制限されます。ここで,PTFEうず巻形ガスケットの使用上の注意事項としては下記が挙げられます。

1.内径側に補強リングを有しないPTFE うず巻形ガスケットは,強締付けされた場合,内径側に図1に示す膨張黒鉛うず巻形ガスケットと同様に異常変形を発生します。このため内輪付または内外輪付の形状での使用を推奨し,内輪の無いうず巻形ガスケットを使用する場合には,フランジサイドでこの内径側への変形を防止できる形状で使用する必要があります。また,PTFEうず巻形ガスケットの形状とフランジ形状の適合性は膨張黒鉛うず巻形ガスケットと同様に表2を参照ください。

セラミック繊維複合膨張黒鉛うず巻形ガスケット

セラミック繊維複合膨張黒鉛うず巻形ガスケットとは,ガスケット本体部に使用するフィラ材にシール性を目的とした膨張黒鉛テ-プと膨張黒鉛テープの酸化防止を目的としたセラミック繊維系テープを図2のように複合して巻き上げたうず巻形ガスケットであり,石綿に対する使用規制に伴い,特に膨張黒鉛うず巻形ガスケットが酸化するような高温条件に対して使用を推奨するものです。このガスケットは,特に高温時の特性を重視した設計としているため,ガス系流体に対するシ-ル性は前述した理由より膨張黒鉛系と比較して劣ります。このため,その使用範囲については水系流体,油系流体,ガス系流体などのそれぞれに対して異なる選定範囲を設定しています。また,このセラミック繊維系テープを本体内周部に適切に配置することで図1に示すように膨張黒鉛うず巻形ガスケットの圧縮時に生じる異常変形を防止することが可能となります。

セラミック繊維系テープ
セラミック繊維複合膨張黒鉛うず巻形ガスケット(P/#2700系)の構造
図2 セラミック繊維複合膨張黒鉛うず巻形ガスケット(P/#2700系)の構造について

図3は,水・蒸気系流体における石綿代替化ガスケットの選定範囲(一例)を示しています。黒鉛系の非石綿ジョイントシートガスケット(P/#5650)は,従来使用されていた石綿ジョイントシートガスケットの使用範囲の大部分を代替でき,流体圧力5.2MPa以下にて石綿ジョイントシートガスケットであっても使用が難しかった高温条件については,金属箔入り膨張黒鉛シートガスケット(P/#6633)を併用することで,代替可能です。


図3 水・蒸気系流体における石綿代替化ガスケットの選定範囲(一例)

一方,石綿うず巻形ガスケットが使用されていた流体圧力が43.1MPa までの高圧条件に対して,膨張黒鉛うず巻形ガスケットは流体温度450℃(非酸化性雰囲気に対しては600℃)まで使用可能です。450℃以上の酸化性雰囲気条件に対しては,セラミック繊維複合膨張黒鉛うず巻形ガスケット(P/#2700系)を一部併用することで代替可能です。

図3の中には,PTFE包みガスケット,特殊充填材入りPTFEガスケット,PTFEうず巻形ガスケットおよび金属ガスケットなどは入れていませんが,水・蒸気系流体にも使用可能です。ここで,ガスケット選定はガス系流体,腐食性流体などの使用流体および温度,圧力などの使用条件を加味して行う必要があります。また,使用機器側のシール部構造でも推奨するガスケット仕様が変わるケースもあるため,設計段階で適切なガスケット選定を行うことが重要です。

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