Oリングの寸法設定によるトラブル
Oリングの寸法設定によるトラブルについて教えてください。
解説します。
Oリングは適度なつぶしを与えられてシール材として使用されます。つまり最適なシール機能を発揮させるためには,OリングおよびOリングを装着させる溝ともに適切に設計される必要があります。
Oリングは,JIS B 2401(Oリング)にて,運動用(Pシリーズ),固定用(Gシリーズ),真空フランジ用(Vシリーズ),ISO系列用が規格化されています。ほかの規格として,自動車用(例:自動車工業会JASO),航空機用(AS568)や小線径固定用(一般的として:S・SGシリーズ)等が存在します。
一方,Oリングを装着させる溝寸法に関しては,流体の圧力が内側から加わる場合は,溝外径をOリングの呼び外径に等しくし,流体の圧力がOリングの外側から加わる場合は,溝内径をOリングの呼び内径に等しくした設計を行います。溝の深さや幅,底辺Rやコーナー面取りについては,JIS B 2406で,運動用・固定用,円筒面用,平面用に区分され規定されています。各区分によってOリングの圧縮率は異なっており,Oリングのサイズにもよりますが,固定用シールの場合,圧縮率の基準値(中央値)は円筒面シールでは約10~20%,平面シールでは約20~25%となっています。
各Oリングメーカーは,規格サイズを整備しているところがほとんどですから,規格サイズのOリングを使用することが基本ですが,取り合いの関係上,規格サイズのOリングが使用できず,規格外サイズのOリングを使用するケースもあります。このような場合においても,近似の規格サイズのOリングをモデルとした寸法設定を行うことで最適なシールが実現可能となります。