軸はメッキして綺麗なのに油漏れするのはなぜか(オイルシール)
鋼材の軸に耐食性や耐摩耗性を良くするため,硬質クロムメッキを施したままで使用しました。しかし,オイルシールのリップより短時間で油漏れが生じるものや,寿命とされる時間の遥か手前で油漏れが発生しました。軸表面は綺麗なのに,なぜ油が漏れたのですか。
解説します。
硬質クロムメッキを施したままの軸では,表面にうねりが残りリップの接触が不均一となり,短時間で油漏れが生じる場合があります。また,メッキのままの軸表面は,表面粗さが小さくなり過ぎて軸とリップ間に介在する油膜が減少します。その結果,リップ摺動面の焼き付き現象が生じ,ゴムの摩耗や発熱によるゴム硬化でシール寿命が大幅に低下します。
これらの対策は,硬質クロムメッキ後,送りをかけないプランジ研削を施し,(2.5~0.8)μmRzに仕上げてください。その時の注意点は,研削しろを見込んだメッキ厚み,メッキのピンホール,メッキを施す下地の仕上げに充分気を付けて下さい。