グローバル化する食品潤滑油マーケット | H1潤滑油 | 食品機械用潤滑剤ガイド | ジュンツウネット21

食品機械用潤滑油は一般には H1潤滑油 として知られていますが,正式にはincidental food contact lubricants と呼ばれています。 H1潤滑油 の使用目的は,意図的でない潤滑油の混入が避けえない状況において(incidental food contact),その食品安全に対するリスクを最小にするということにあります。

NSF International 矢野 健治  2005/5

1. リスク低下につながる食品機械用(H1)潤滑油の使用

近年Hazard Analysis and Critical Control Point (HACCP)を基幹とする食品安全対策を採用する国が増加傾向にある。HACCPとは食品安全を脅かす生物学的,化学的そして物理的ハザード要因を事前に認知,評価,コントロールするシステムである。人の健康に対するリスクは基本的に曝露(exposure)とハザード(hazard)の両方のレベルを制御することによって効果的に抑制することができると考えられている。例えば,食品機械の設計を改善することで潤滑油の混入はある程度抑えられる。これに加え,より毒性の低い食品機械用潤滑油の使用を徹底させると結果として(例え偶発的な混入があったとしても)食品を通じて消費者に与えるリスクは著しく低下する。

食品機械用潤滑油は一般にはH1潤滑油として知られているが,正式にはincidental food contact lubricants と呼ばれている。H1潤滑油は間接的食品添加物(indirect food additives)によって構成され,その成分は米国連邦政府基準U.S.Code of Federal Regulations(CFR)Section 178.3570によって規定されている。H1潤滑油の使用目的は,意図的でない潤滑油の混入が避けえない状況において(incidental food contact),その食品安全に対するリスクを最小にするということにある。

2. グローバル化する食品潤滑油マーケット

1998年までは米国農務省(USDA)がすべてのH1潤滑油の認証を行い,認証された製品名を毎年公表した。しかしこのUSDA認証プログラムの範囲は米国の食肉業界に限定されていたため,製品リストはほかの食品業界や米国以外では得られにくく,また年一回の発行のため,新規に認証された製品の記載は次年度まで待たなければならなかった。

NSF International (NSF)は1999年にUSDAのプログラムを引き継ぐかたちで立ち上げられた。立ち上げに際しては,USDAとの密接な情報交換および指導を通じて,登録の基準をNSF Nonfood Compounds Registration Guidelines(www.nsfwhitebook.org でダウンロード可)にまとめあげ,新たな登録業務を開始した。さらにNSFは立ち上げと同時に毎日更新されるウェブサイトに製品リストを移行した。これにより,世界中の食品・清涼水業者がリストにアクセスが常時できるようになり,適正な評価を受けたH1潤滑油の選択が可能になった。

このグローバル化現象は米国以外ではindirect food additives に関する基準がないという現実もあいまって急速に拡大した。2005年4月現在では,約3500のNSF H1登録製品と330の登録企業がウェブ上で記載されており,これを国別で見ると,登録企業はすでに29ヵ国に存在する(欧州14,アジア9,北米3,南米2,アフリカ1)。特に最近では中国や東南アジアからの登録申請が増加傾向にある。

NSFのウェブサイトではこれらの製品がすべて企業名,ブランド名,登録No.で簡単に検索できるようになっている(図1)。

ウェブ製品検索サイト
図1 ウェブ製品検索サイト

3. 啓蒙の必要性

食品の安全に関する関心は世界中で高まっているが,ことユーザーレベルでのH1潤滑油使用の有効性に対する理解度という観点では各国で足並みが揃っていないようである。特に理解度の欠如は食品機械用潤滑油に関する基準がない国で特に顕著であるように見受けられ,H1潤滑油製品の普及にも障害をもたらしている感がある。

2004年度のNSF運営委員会(10月28日)ではユーザーに対する啓蒙活動の重要性が特に指摘され,委員会に属するFood-grade lubricant Work Group(WG)でこの問題をさらに追及することが決定された。具体的にはWGが中心になってユーザーのH1潤滑油やHACCPに関する知識やニーズに関する市場調査をグローバルレベルで行うことが現在計画されており,海外(米国以外)においては各国の業界団体等との連携を目下模索中である。

現在WGには25社以上の潤滑油企業やNLGI 等の業界団体の代表が出席しており,NSF運営委員会が潤滑油業界の国際的なニーズに適応できるよう様々な視点から提案をしている。このWGの動きと連動して,NSFは2005年1月の東京でのセミナーを皮切りに海外での登録セミナー*を展開中である。4月にはブリュッセル,6月にはサンパウロ,9月には東京を予定している。

*将来のセミナーに対する質問要望等およびNSF WGの参加申し込みについては直接NSFの矢野まで連絡してください。
  E-mail:Yano@nsf.org  Tel:+1-734-913-5738

4. ISO 21469

ISO基準もグローバルレベルでの啓蒙の推進に役に立つことが期待されている。USDAによる認証制度の廃止後,国際基準への要望が高まった結果2002年にISO Technical Committee 199の下にWork Group 2(WG2)が形成され,ISO 21469(Safety of machinery-Lubricants with incidental product ontact-Hygiene requirements)の開発が始まった。

ISO基準

WG2には7ヵ国が参加しておりNSFは米国を代表して参加している。2005年3月14日にはロンドンでのWG2の会合が英国基準局(BSI)で開催され,ウイーン協定に基づくISO/欧州基準委員会(CEN)のparallel enquiryによるドラフト基準(ISO/DIS21469)に対する評価が検討された。

基本的には,各国ともISO/DIS21469と欧州のMachinery Directive 89/392は同等化(harmonization)が可能との意見でコンセンサスが得られた。よってWG2はTC199に対し近日中にISO/DIS21469を最終ドラフト(ISO/FDIS21469)とすることを推薦し,TC199で合意が得られた段階で,ISO/CEN協同ドラフトとして2ヵ月間にわたる最終投票段階に進行する。組成分の審査を中心とするH1登録に加え,ISO21469はさらにH1潤滑油の製造,使用,取り扱い,安全な潤滑油のデザイン,リスクアセスメント,そしてGood Manufacturing Practices (GMP)の必要性に言及している。

ISO21469はISO9000等の品質管理システムにも連結可能である。米国のようにすでに基準が設定されている国ではISO21469が既存の基準(CFR Section 178.3570)に置き換わる可能性は低い。しかしながら,同等の基準のない国では(例えば日本)国家基準として採用される可能性がある。

日本においては現在食品機械用潤滑油の組成分に関する基準がないため,仮にISO21469が採用されたとしても,組成分に関する部分においてはH1登録に依存するものと考えられる。NSFの将来の登録業務としては,このような様々な各国の状況を想定して現在の登録業務を既存のH1とISO21469との両方に拡大する予定である。

5. 登録業務の国際提携

ISO基準とは別に現在NSFは各国との登録業務の協力体制づくりを推進している。これらの協力はグローバル市場でのH1潤滑油のマーケテイングに不可欠である。

例を挙げると,オーストラリアのAustralian Quarantine Inspection Agency(AQIS)は現時点で100以上の食品機械用潤滑油をNSF H1登録にもとづいて認証した。またカナダのCanadian Food Inspection Agency(CFIA)とは,NSF登録された製品を提出すると審査期間が約1年から2~3数週間に短縮されるFasttrack review optionが設けられ,すでに200以上の製品がNSF登録を通じてカナダ当局に認証された。

6. まとめ

NSFはH1潤滑油の世界的な普及に貢献するため,既存のH1登録に加え必要に応じてISO 21469に対する登録も開始する。

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http://www.nokklueber.co.jp/

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http://nichimoly.jp/

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http://www.belray-japan.com/food/

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http://www.c-k-k.co.jp/

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http://www.satooil.co.jp/

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http://www.total-lub.jp/

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