食品機械用潤滑油等の NSF登録 に関して | 食品機械用潤滑剤ガイド | ジュンツウネット21

食品機械用潤滑油等の NSF登録  2003年10月に開かれたNSF運営委員会で,現在の登録システムをさらに拡充した認証システムを新たに導入するための提案が潤滑油産業側から出された。USDA H1の再生であるNSF H1プログラムは組成分とラベルの正確性チェックに限られ,現時点では製造プロセス監査やサンプルテストは必要とされない。1999年当初,NSF H1プログラムは廃止されたUSDAプログラムの再生をすることであったが,現在その主目的は常に変わる食品安全関連の規制等の動向を登録ガイドラインに正確に反映させることにある。

NSF 矢野 健治  2004/8

前置き

1998年に米国農務省(USDA)が突如廃止したNonfood Compounds Authorization ProgramをNSF Internationalが引き継いでからはや5年がたつ。その間,NSFプログラムは廃止に伴って起こった市場の混乱の収拾に寄与しただけでなく,食品産業を取り巻く様々なニーズに逐次対応してきた。以下には,NSFプログラムの特に食品機械用潤滑油の分野での活動を国際的な動きも含めてまとめてみた。

1. NSF International概要

NSFは60年前にミシガン大学公衆衛生学部から派生した非営利,非政府機関である。NSFは米国国家基準局(ANSI)が認定した最初の第三者機関で,国家基準を開発できる機能を持っている。NSF基準は主に食品,飲料水,室内空気の安全に関連し,産業,消費者など全ての利益を考慮したコンセンサスに基づくものである。NSFは様々なStakeholder委員会や公衆衛生関連委員会を通じて基準開発に必要な適切な公衆衛生安全対策を指導する役割を持つ。NSFはまた,世界保健機構の食品・飲料水・室内空気安全協力センターとして国際的な活動を行っている。NSFの製品および管理システムの認証サービスは,ISO9000,ISO14000,HACCP9000をはじめ,飲料水添加物,飲料水システム関連部品,食品加工機械,栄養添加物,GMOなど広範にわたり,現時点で140,000の製品・サービスまた4,000に上る企業がNSFの認証を受けている。

2. H1登録:食品機械用潤滑油

食品・清涼飲料水等の生産に使われる機械は,潤滑油の食品への混入を防止するための設計がなされていることが多いが,実際の加工現場においては混入を完全に防ぐことはきわめて困難である。よって,公衆衛生安全保護のためには,どうしても食品機械用潤滑油の使用が必要である。米国連邦政府の食品・医薬法Title 21(21CFR)は食品に混入する可能性のある潤滑油に使用可能な組成分をSection 178.3570に規定(Section 182/184に含まれるGenerally Recognized As Safe(GRAS)substances を含む)している。これに基づき,農務省(USDA)は特に食肉・鶏肉加工に使われる場合を想定したH1ガイドラインを作成した。

1998年にUSDAの認証プログラムが廃止されてからは,H1ガイドラインはNSF Registration Guidelines(Section 5.9.1)に引き継がれ,今では定期的にUSDAのReviewを受け必要に応じて更新されている。NSF GuidelinesはNSFのWeb上でDownloadできる。現時点では,世界各国から3,000以上のH1製品が登録されている。

3. HX-1 登録:食品機械用潤滑油使用される半製品

以前のUSDAプログラムにおいては,半製品はUSDAのリストに記載されなかった。NSFはこれを改善し最終製品の製造者が安心して使えるベースオイル・添加物混合パッケージ等の登録を開始した。この登録システムは半製品のサプライヤーにとっても,企業秘密開示を経ないで製品の信頼性を確保できるという点で有利である。HX-1登録に必要な条件はほぼH1登録と同様である。ただし,21CFRに記載されていない化合物については,別に後述する適切なリスクアセスメントが必要となる。

4. 21CFRに記載されていない化合物について

21CFRのSection 178.3570に記載されていない新規化合物でもH1の組成分として使える場合がある。これは特別に食品・医薬局(FDA)からFDA Letter of Opinion(LOO), Affirmation of GRAS(GRAS),Threshold of Regulation(TOR),Food Contact Notification(FCN)等を経て認知される場合で,適切なリスクアセスメントが必要とされる。典型的なプロセスは実験,データ収集,解析などを含み,FDA認知に早くて6ヵ月から4年はかかる。NSFの毒性関連部門を含む様々な第三者機関および研究機関がこの分野でサービスを提供している。

5. 抗菌性食品機械用潤滑油

食品業界においては,以前から食品加工用機械の潤滑個所に発生する菌の増殖について指摘がされてきた。これに対する手段の一つとして,H1潤滑油に抗菌剤を混合する手段が早い段階から検討されてきた。しかしながら,FDAと環境庁(EPA)の二重の規制に阻まれまだ現実には至っていない。基本的には,米国で使われる全ての抗菌剤はEPA登録されねばならず,またすべての食品機械用潤滑油は21CFRの条件(FDAの管轄)を満たさねばならない。現時点では双方の条件を同時に満たす化合物がほぼ皆無である。将来的には,既存の抗菌剤に対して前述のLOO,GRAS,TOR,FCNといったFDA認知を進めることで道が開ける可能性がある。

6. HT-1登録:食品機械用熱媒体油

以前のUSDAプログラムにおいては,熱媒体油は「その他」のカテゴリーに記載され(P1認証),使用に関する詳細(例えば食品に接触する可能性の有無)等は認証レターに記述された。近年になり熱媒体油製造者・ユーザーなどから,明確な使用形態を商品ラベル上に表示するべきであるとの要請を受け,食品機械用熱媒体油のカテゴリーを新たに作るための勉強会がNSF運営委員会内に設置された。USDAの指導を経て,委員会は2つの熱媒体油登録カテゴリー,HT-1(食品に接触する可能性があるもの:21CFR Section178.3570か172・182・184のいずれかを満たす)とHT-2(食品に接触する可能性がないもの)を新規作成することを合意した。HT-1熱媒体油の中でも,特にスプレータイプ等直接食品パッケージに掛かるものについては21CFR Section172・182・184のみに条件がしぼられる。

7. 登録から認証へ

2003年10月に開かれたNSF運営委員会で,現在の登録システムをさらに拡充した認証システムを新たに導入するための提案が潤滑油産業側から出された。USDA H1の再生であるNSF H1プログラムは組成分とラベルの正確性チェックに限られ,現時点では製造プロセス監査やサンプルテストは必要とされない。更なるチェックシステムは製品の市場での信頼性を高めるが,同時にコスト面でエンドユーザーに影響を与えH1潤滑油の普及に問題が生じる可能性もある。こういった様々な提案の側面を検討するため,今年になって運営委員会内で勉強会が形成され,4月に一回目の会合が開かれた。米国のNational Lubricating Grease Institute(NLGI)や欧州のEuropean Lubricating Grease Institute(ELGI)においても議論がなされており,次回のNLGIの年会議ではNSFからの提案も含めた総合的な会合が開かれる予定である。NSFの勉強会には現在25社以上の潤滑油製造会社が各国から参加している(これまでの会議の詳細および参加希望者はNSFの矢野までE-mail(yano@nsf.org)その旨連絡下さい)。

8. H1潤滑油に関する国際的な動き

現在食品機械用潤滑油に関するISO基準が開発中であり,NSFは米国を代表してISO Technical Committee Work Groupに参加している。基準は数年以内に完了する見込みである。NSFはまたH1の国際的な普及に努めており,特にカナダの食品監査局(CFIA)とオーストラリア食品監査局(AQIS)と協力が進んでいる。CFIAはすべてのNSF H1製品については通常1年以上かかるReviewプロセスを数週間内に短縮することを決定した。また2003年AQISは50以上の潤滑油をNSF登録に基づいて認証した。

おわりに

NSFはISO65に規定される第三者機関であり,その全てのプログラムは製造者,ユーザー,規制省庁等の目的を公平に代表する運営委員会で監督されるように設計されている。1999年当初,NSF H1プログラムは廃止されたUSDAプログラムの再生をすることであったが,現在その主目的は常に変わる食品安全関連の規制等の動向を登録ガイドラインに正確に反映させることにある。バランスのとれた運営委員会は新たに市場のニーズに合ったHT-1やHX-1登録といったシステムをタイムリーに構築するのに必要不可欠な手段である。また,米国内の市場に限定された以前のUSDAプログラムに比較し,NSFのプログラムはその焦点を国際的なニーズに当て,食品機械用潤滑油のグローバルな普及に努めている。

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