エレベータ,エスカレータの駆動用潤滑油 | ジュンツウネット21

エレベータ,エスカレータに使用している潤滑剤とそのおもな使用部位を示します。エレベータ,エスカレータでは,交換周期を定めて潤滑剤の交換を行います。交換周期は潤滑剤の分析データなどから定めたものですが,利用状態を考慮し,メインテナンススケジュールを立てて,交換を実施します。

エレベータ,エスカレータの駆動用潤滑油

エレベータやエスカレータなどの駆動用部分に使用されている潤滑油はどのようなものですか。また,メインテナンスに必要な留意事項などをご教示下さい。
解説します。

エレベータ,エスカレータは建物に付属して長年利用する設備です。潤滑剤の適切な使用,管理技術はこれらの設備の予防保全をはかっていく上で重要な役割を占めています。

1. エレベータ,エスカレータの構造

図1にエレベータの全体構成を示します。上部の機械室には制御盤,巻上機等が設置されています。巻上機はモータと減速機,そしてシーブから構成されており,ロープを介して乗りかごを昇降させます。乗りかごはガイドレールに沿って昇降し,昇降路の最下部には安全装置として緩衝装置が設置されています。

エレベーターの全体構成
図1 エレベーターの全体構成

図2にエスカレータの 全体構造を示します。上部のトラスフレーム内に設置してある駆動機により,チェーンを介してステップおよびハンドレールをそれぞれのガイドレールに沿って走行しています。

エスカレーターの全体構成
図2 エスカレーターの全体構成

2. エレベータ,エスカレータの潤滑剤

表1にエレベータ,エスカレータに使用している潤滑剤とそのおもな使用部位を示します。

表1 エレベータ,エスカレータの潤滑剤
No.
名称(JIS区分)
特徴
おもな使用部位
エレベータ
エスカレータ
1
マシン油(JIS K 2238) ○添加剤の配合なし
○滴下給油する一般機械の潤滑に適する
○他の加工油・グリースの原料として用いられる
ガイドレール
ドアレール
チェーン
ガイドレール
チェーン
2
ギヤ油(JIS K 2219) ○歯車の潤滑など,過酷な条件で潤滑膜を作り,摩擦や,摩耗を低下させる
○使用条件に合わせ,さまざまな粘度のギヤ油が用いられる
巻上機減速機 駆動機減速機
3
タービン油(JIS K 2213) ○各種タービン,圧縮機などの潤滑に用いる
○酸化安定性,抗乳化性が良い
油入り緩衝器
4
グリース(JIS K 2220) ○液状の潤滑剤と増ちょう剤からつくられる
○半固体状または固体状の潤滑剤
ボールおよびローラベアリング ボールおよびローラベアリング

マシン油はエレベータの乗りかごやつり合いおもりのガイドとガイドレールのしゅう動部,エスカレータのレール面および駆動チェーンなどに使用されます。いずれも自動給油装置を用いて自動的に走行状態に合った適切な給油が行えるようになっています。

ギヤ油は減速機(ウォームギヤ,ヘリカルギヤ)に使用されます。減速機はモータの回転を適正な速度に減速し,エレベータ,エスカレータの駆動力を伝達する装置です。これに使用するギヤ油は低速,高荷重で潤滑性能を発揮できることが必要になります。特にウォームギヤ減速機では,かみ合い部にすべりをともなうため潤滑条件はきびしく,極圧ギヤ油が使用されます。

タービン油は油入り緩衝器に使用します。エレベータの昇降路最下部に設置してある緩衝器は,定格速度が分速90m以上の場合,乗りかごにあたえる減速度の関係から油入り緩衝器を用います。タービン油はこの油入り緩衝器の作動油の役割をはたしています。

グリースはエレベータ,エレベータの各部に使用しているプロケットやプーリのベアリング用として使用します。雨水など,万一の水分の接触などを考慮し,耐水性にすぐれたグリースを使用することが適切であり,リチウム石けんグリースなどを用います。

3. 潤滑剤のメインテナンス

潤滑剤が劣化するとたとえば振動の発生が現象として表れます。この振動による診断も一つの潤滑剤劣化診断方法ではありますが,これは潤滑油の劣化をそれにともなう機器の損傷がある程度進行した状態で発見できるものであり,予防保全としては不適切です。

そこでエレベータ,エスカレータでは,たとえば巻上機のギヤ油は年に一回を目安に交換するというように,交換周期を定めて潤滑剤の交換を行います。この交換周期は潤滑剤の分析データなどから定めたものですが,利用状態を考慮し,各々エレベータ,エスカレータに合ったメインテナンススケジュールを立てて,交換を実施します。

以上のようにエレベータ,エスカレータにはさまざまな潤滑剤が使用され,円滑な走行に重要な役割をはたしています。

潤滑剤の進歩とともに,その劣化診断技術は摩耗粒子による判定技術,光透過量や全酸化による判定技術などがあり,これにともなう判定手法および装置が種々開発されています。

これらの手法を活用し,さらに適切な潤滑剤のメインテナンスを実施することが大切です。

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