グリースに増ちょう剤や添加剤は何故必要か | ジュンツウネット21

グリースの製造に増ちょう剤や添加剤が使用されますが,その必要性と特性について教えて下さい。また,製造方法もご解説下さい。

解説します。

グリースは,その用途に応じて要求された性能を充たすために増ちょう剤や必要な添加剤を選択します。本稿では,増ちょう剤,添加剤およびグリースの製造方法の概要について説明します。

1.グリースの増ちょう剤

増ちょう剤は,ベースオイルを半固体または固体状にするために加えられると同時に,そのグリースの性質や性能を決定するうえで最も重要な物質です。増ちょう剤は金属石けんを用いた石けん系と金属石けんを用いない非石けん系に大別されます。

(1)石けん系増ちょう剤

石けん系は,おもに油脂類の金属塩が使用されます。油脂類には牛脂,パーム油,ヤシ油等の天然動植物油や,ヒマシ硬化油のような天然動植物油を水添した硬化油,またこれらを分解して得られる各種脂肪酸等があります。その他アジピン酸,セバシン酸のようなジカルボン酸や,安息香酸,サルチル酸のような芳香族酸,合成脂肪酸等が使用されることもあります。石けん系に用いられる金属は,ナトリウム,カルシウム,リチウム,アルミニウム,バリウム等があり,これらを1種または数種の油脂類と組み合わせることにより種々の性能のグリースができあがります。なかでもヒマシ硬化油あるいはその脂肪酸やステアリン酸と,リチウムからなる石けんを増ちょう剤としたグリースは,耐熱,耐水の他に機械的安定性も良好で一般に万能グリースとよばれ広範囲に使用されています。また,コンプレックスといわれる石けんは低級脂肪酸と高級脂肪酸の組み合わせによるもので,おもに耐熱用グリースの増ちょう剤として使用されています。

(2)非石けん系増ちょう剤

非石けん系は,シリカゲルやベントンのような無機質物質を表面処理して親油性としたものや,テレフタラメート,ポリウレア,フタロシアニン,インダンスレン,ポリテトラフロロエチレン等の高沸点,高分解温度の各種有機化合物があり,おもに耐熱用グリースの増ちょう剤として使用されています。

2.グリースの添加剤

添加剤はグリースの物理,化学的性能を改善し向上させるために添加され,高級,高性能グリースといわれるもののなかには10種類から30種類以上の添加剤を使用しているものもあります。また添加剤の中には1種類でいくつもの性能を向上させるものや,添加したために他の性能に悪影響をおよぼすものもあります。次にグリースに使われている一般的な添加剤について説明します。

(1)酸化防止剤

酸化防止剤はグリースの酸化反応を停止または遅らせるための添加剤です。貯蔵安定性や機能寿命性能が大きく改善されます。フェノール類,芳香族アミン類,りん酸エステル類等があり,2種類以上を組み合わせて使用されることもあります。

(2)防錆剤

防錆剤は金属表面のさびの発生を防止する添加剤です。海辺や屋外で使用される機械類には防錆性は重要な性質です。潤滑面でのさびの発生は著しく摩耗を増大させ,それが機械の故障につながることもあるので十分考慮しなければなりません。防錆剤は,金属スルホネート類やアミン類等,種類が多く通常は数種類を組みあわせて使用します。

(3)腐食防止剤

腐食防止剤はグリース中の酸性物質や二酸化硫黄等の大気中の腐食性ガスによる金属表面の腐食を防止する添加剤です。ベンゾトリアゾール等の含窒素化合物があります。

(4)耐荷重添加剤

耐荷重添加剤は大別して油性向上剤,摩耗防止剤,極圧剤の3種類に分類されていますが,これらの分類は必ずしも厳密なものではなく,1つの耐荷重添加剤で2つまたは3つの性能をもつものもあります。

1. 油性向上剤
 油性向上剤は金属表面に吸着して低荷重下での摩耗や摩擦を減少させるための添加剤です。高級脂肪酸や高級アルコール,アミン,エステル等があります。

2. 摩耗防止剤
 摩耗防止剤は低荷重から中荷重での摩耗を防止する添加剤です。りん酸エステルやチオリン酸塩等があります。

3. 極圧剤
 極圧剤は高荷重での焼き付きを防止する添加剤です。硫化油脂や塩素化パラフィン等があり,金属表面と反応して焼き付きを防止します。

(5)その他の添加剤と固体潤滑剤

その他のグリースに使用される添加剤は,流動点降下剤,粘度指数向上剤,粘着剤,構造安定剤,清浄分散剤,特殊なものとして,消泡剤,防腐剤,帯電防止剤,着色剤,乳化剤,抗乳化剤等があります。また二硫化モリブデンやポリテトラフロロエチレンのような固体潤滑剤は,おもに摩耗や摩擦を防止するために添加されます。

3.グリースの製造方法

グリースの性能は,増ちょう剤,添加剤,基油等の処方によってのみ決定するものではなく,製造方法においても重要な要素を含んでいます。特に石けん系グリースでは,石けんの特長である繊維の長さや太さ等の構造は溶融または半溶融温度,冷却温度,冷却速度,再加熱等の複雑な温度コントロールや攪拌速度によって決定されます。次に一般的なグリースの製造方法について,工程順に説明します。

(1)石けん系グリース

石けん系グリースでは,石けんを作るけん化反応から始める方法と市販の石けんを利用する方法があります。

1. けん化工程
 油脂類と水溶液にした水酸化リチウム等の金属水酸化物を潤滑油中でけん化反応させ石けんを作り,反応後不用となった水を脱水(蒸発除去)します。このけん化反応を常圧で行う常圧けん化法は,応用範囲が広くほとんどのグリースがこの方法によって製造されています。また圧力をかけて行なう加圧けん化法は,けん化反応から脱水にかかる時間が大幅に短縮できます。市販の石けんを利用して製造する場合には,このけん化反応,脱水を省略できます。

2. 冷却工程
 けん化工程が終わり溶融または半溶融まで昇温されたグリースは,次に冷却工程に進みます。冷却工程では各グリースに最適な冷却温度,冷却速度,攪拌速度が設定され冷却されます。またこの時点で必要な添加剤類が添加され均一に分散されます。

3. ミリング工程
 冷却されたグリースは次にミリング工程に進みます。この工程では,コロイドミルやロールミルによりできあがった石けん繊維の太さや長さをそろえ均一に分散します。

4. 脱泡工程,充缶工程
 こうしてできあがったグリースは減圧され気泡を除去し,ドラム,ペール等に充缶します。

(2)非石けん系グリース

非石けん系グリースのほとんどがけん化反応を必要としないため,おもに混合法により製造されますが,潤滑油,増ちょう剤,必要な添加剤類を混合,分散した後は,石けん系グリースと同様にミリング工程,脱泡工程,充缶工程へと進みます。

ブルカージャパン ナノ表面計測事業部

アーステック



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