グリースの劣化判定方法および汚染物除去方法 | ジュンツウネット21

グリースの劣化は「化学的要因」,「物理的要因」,「異物の混入」によると考えられます。グリースの劣化は,酸価の変化(化学分析による)や滴点低下,ちょう度変化,銅板腐食変化のほか赤外線吸収分光分析により判定ができます。また,フェログラフィ分析も用いられます。

グリースの劣化判定方法および汚染物除去方法

グリースの性能劣化を簡易的に判定する方法はあるのでしょうか。また,グリース内に含まれた汚染物はどのように除去すれば良いのでしょうか。
解説します。

ご質問の性能劣化を簡易に判定する方法(例えば潤滑油の汚染を測定するのに1滴落とせばその汚染度がわかるような器具による方法と考えて)は,残念ながらありません。またグリース内に汚染物が入った場合の除去も困難であります。

上記のように申し上げると見も蓋もない回答になってしまいますので,多少の解説を加えることにします。

グリースの劣化の過程は図1に示すように「化学的要因」,「物理的要因」並びに「異物の混入」によると考えられます。

グリースの劣化過程
図1 グリースの劣化過程

グリースは,使用されずに貯蔵されている間にも劣化して行くもので,この劣化も液状の潤滑油に比較して早いのが一般的であります。これは「化学的要因」が主で,貯蔵中の温度等により酸化が進行しますので,長期貯蔵されたグリース(古いグリース)を使うと結果的に潤滑寿命が短くなるといえます。なお,使いかけの残ったグリースを貯蔵しておく場合には,グリースの表面をなるべく平らにならし,完全に蓋をして冷暗所に置くことをおすすめします。またグリースの劣化が進行すると,一般的に新グリースに比し濃色となり,臭いが鼻にツンとくるような酸廃臭がしてくるものです。また表面に油が多量に浮いているものも要注意です。

使用されたグリースの劣化については従来,酸価の変化(化学分析による)や滴点低下,ちょう度変化,銅板腐食変化などを試験してきましたが,最近では化学分析にかわり赤外線吸収分光分析により比較的簡易に劣化の判定ができるようになりました。また酸化安定剤の残存量もわかりますので,このまま使用できるかどうかも推定できます。参考までに新グリースと劣化後のグリースの赤外線吸収曲線回を提示しておきます(図2)。

グリースの赤外線吸収曲線回
図2

また赤外線吸収分光分析によると,下記のような点についても知ることができます。

1. 他種グリースの混入

例えばリチウム石鹸基グリースの中にウレア系グリースが混入した場合とか,耐熱個所で他の耐熱グリースからウレア系グリースに変更するような場合に,集中給脂などではその給脂量を多くして置き換えますが,吐出グリースを分析すればその度合いが簡単にわかるので便利です。

2. 酸化鉄の分析も可能

潤滑個所は一般に鉄系金属が使用されていますが,これが摩耗(正常摩耗であっても)によりグリース中に分散する,この場合の検出にも役立ちます。

3. エステル等の検出ができる

シールなどに使用されている樹脂,ゴムなどには可塑剤として,各種エステルが使われていますが,これが,使用中にグリース中に浸み出してくるので,シール寿命などの判断にも役立ちます。

上記のように非常に便利で簡単な分析であり,最近では,各種業界で使われていますので,身近な分析と考えてよいといえます。

電子顕微鏡写真も劣化,特に増ちょう剤の破壊度合いを見るのには最適と考えられます。

図3のようにグリースの流動または潤滑の模型を見ることができますが,この模型を電子顕微鏡で撮ったものが,写真1に示すもので劣化したものは,その繊維構造が切断され,集合して塊状になっているのがわかります。

グリースの流動または潤滑の模型
図3
使用前/使用後劣化したLiグリース(電子顕微鏡)
写真1

一般的にちょう度の変化も劣化判定の基準となります。最近ではJIS K 2220参考にあるように1/2,1/4スケールのちょう度計がありますので,比較的少ない試料でも測定ができます。グリースはその使用条件によっては硬化する場合と軟化する場合があり,硬化はベースオイルの遠心力による分離,熱による増ちょう剤の重合などが考えられますので,潤滑個所の焼付,摩耗状態を調査する必要があります。軟化の場合は増ちょう剤の破断,水の混入による軟化が多く,潤滑個所からの漏洩流落が見られなければ,まだ使用可能ですが,漏洩が見られる場合には速やかにグリースの補給,交換などする必要があります。ちょう度変化±15~20%の変化率以上であれば,一般的に交換と考えるべきです。

滴点も劣化に伴い変化します(低下する)。一般的基準として下記のようになると劣化と判定します。

(1)カルシウム系 50℃以下
(2)リチウム系 140℃以下
(3)複合アルミニウム系 180℃以下
(4)複合リチウム系 200℃以下

最近の分析技術の進歩により潤滑個所の油を取り有機溶剤に希釈して強力な磁場中を流すことにより,その摩耗粉を配列させ,顕微鏡下で観察してその形,色などから,正常摩耗,フレッチング,ゴーリング,他種金属などが判別できる,フェログラフィ分析がありますので,メインテナンス,潤滑管理などに用いられるようになりました。

グリースの劣化原因の最後に異物の混入がありますが,最初に述べた通り,混入した,または混入してくる異物を除去することができません。したがって内部要因は避けられないので,外部要因である,塵埃や水の混入を避けるように心掛けなければなりません。

ブルカージャパン ナノ表面計測事業部

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