機械要素について | ジュンツウネット21

機械要素とは,一般的に多くの機械に共通の部品をいいます。機械要素を用途・機能により分類すると,(1)結合要素,(2)動力伝達要素,(3)動力制御要素,(4)流体伝導要素,(5)潤滑要素となります。

機械要素について

機械を構成する共通の部品は機械要素であるといいます。機械要素の体系的な解説をお願いします。
解説します。

機械は多くの部品から構成されており,それらの部品は,(イ)個々の機械に特有なもの,(ロ)多くの機械に共通なもの,とに分けられます。ご質問にもあるように,機械要素というと一般的に(ロ)の多くの機械に共通の部品をいいます。

機械要素をその用途・機能により分類すると

(1)結合要素
(2)動力伝達要素
(3)動力制御要素
(4)流体伝導要素
(5)潤滑要素

となります。以下順を追って説明します。

1. 結合要素

機械を構成する各部品をつないだり,止めたりする要素で,締結要素ともいいます。機械の機能・用途に応じ,最適の要素を選択することが機械の信頼性・生産性を高めることになり,設計上重要なポイントといえます。

ねじ:結合要素として最も多く,ほとんどあらゆる機械に使用されているのがねじです。ねじは主に引っ張り力に対する結合として用いられていますが,運動伝達用や測定用にも用いられています。

キー,スプライン,コッタ,ピン:歯車,プーリなど回転軸に取り付けられた部品を軸に固定するために主に用いられるのがキーで,キーにはせん断力が働きます。キーよりさらに大きなトルクを伝達する時は軸の全周に溝を付けた形状のスプラインが用いられます。なお,スプラインの溝形状を歯形にしたものをセレーションといいます。

軸方向の引っ張り力に対する結合要素として用いられるのがコッタです。

最も簡単な結合要素はピンといえましょう。ピンは回転体の回り止めのほか,ボルト・ナットやコッタなどのゆるみ止めなどにも用います。

リベット:一般に容器・構造物などの板状の部品を重ね合せて永久に結合するのに用いられるのがリベットです。リベットは原則としてせん断を受けるところに用いられます。

結合要素としてはこれらの他にスナップリングに見られるように,各種のスプリングも用いられます。

2. 動力伝達要素

機械において部品から部品へ動力,運動を伝達する要素が動力伝達要素です。動力の伝達には要素と要素が直接接触して伝えるものと,剛体・屈撓体・流体など媒介節を用いて伝えるものとがあります。

軸・軸継手:器械運動の基本の1つは回転運動で,この回転運動を伝達するのが回転軸です。回転軸にも一般の伝動軸の他に,工作機械などの主軸,クランク軸,車軸などがあります。

軸が長くなったり,軸心にずれがある場合などには各種軸継手が用いられ,軸の連結,切り離しが頻繁に行われる場合にはクラッチが用いられます。

リンク装置:原動節と従動節が直接接触しないで,その間をピン継手などを用いて互に回転できるように連結した剛性の棒を介して運動を伝えるものリンク装置といいます。リンク装置はレバー,クランクの選択,組み合わせとスライダの使用により多種多様の機構が得られ,多くの機械で用いられています。

摩擦車・歯車・カム:回転軸に円板を取り付け,その外周面を押しつけ合い摩擦によって回転を伝えるのが摩擦車です。平板の他に円錐車やスキュー車などいろいろな形状のものが用いられます。

摩擦車の外周面に軸方向に溝を切ったものが平歯車で,摩擦車より大きいトルクが伝動できます。歯車にはそのほか,はすば歯車,カサ歯車,ウォームなどがあります。

駆動節に複雑な曲線を利用して,従動節に複雑な運動を与えるのがカムです。

巻掛け伝動装置:伝動する2つの軸が離れている場合,一般には曲げ・たわみが自由な皮やゴムなどを用いて動力を伝達します。これを巻掛け伝動といい,平ベルト,Vベルト,ロープ,チェーンなどがあります。

その他,動力伝達要素としては流体媒介節を用いる油圧シリンダや流体継手などがあります。

3. 動力制御要素

機械には外部から色々なエネルギーが伝えられますが,必要なエネルギーを蓄積したり,不必要なエネルギーを制動あるいは緩衝するなど制御する必要があります。そのために用いられるのが動力制御要素です。

ばね:ばねは外部から力が加わると変形することにより,エネルギーを蓄積したり,衝撃を緩和するなど広く用いられており,コイルばね,板ばね,皿ばね,棒ばね(トーションバー)などがあります。

ブレーキ:機械に与えられた運動エネルギーを他のエネルギー(摩擦エネルギーなど)に変換することにより運動速度を減少あるいは停止させる要素です。作動エネルギー媒体により油圧ブレーキ,空気ブレーキ,電磁ブレーキなどがあります。

ダンパ:機械に作用する衝撃を緩和したり,吸収したりする装置を総称して緩衝器あるいはダンパといいます。ダンピングするためには摩擦,ゴム,油圧などが用いられています。

フライホイール:回転体の慣性エネルギーを利用して回転軸のエネルギーを蓄えるものをフライホイール(はずみ車)といいます。フライホイールはクランク軸機構などで運動を連続的に維持するためによく用いられます。

4. 流体伝導要素

油・空圧機器をはじめ,機械の中には流体を用いて動力を伝達するものが数多くあります。それらに共通の要素を流体伝導要素といい,管・管継手・弁などがあります。

それらに共通して要求される特性としては

(1)作動圧に応じた強度を持つこと (2)流動損失抵抗が小さいこと (3)漏れがないこと

などがあげられます。

管:内圧を受けるものと,外圧を受けるものとがあり,圧力に応じてその肉厚が決定されます。また対象とする流体の種類に応じて管の材質が選択されています。

管継手:管継手としては,ねじ継手,フランジ継手,溶接継手などがあり,要求に応じて使い分けられます。

弁:弁はその機能により次の3つに分類されます。

(1)流量制御弁~止め弁,仕切り弁,ちょう形弁,二方回転コックなど
(2)方向制御弁~三方または四方回転コック,自動弁(逆止弁,チェック弁),円筒すべり弁など
(3)圧力制御弁~安全弁,逃がし弁,減圧弁

5. 潤滑要素

運動部分を有する機械・装置類は原則的には潤滑装置を必要としています。潤滑装置は,軸受,給油装置,密封装置などで構成されています。

軸受:軸受には大きく分けると転がり軸受とすべり軸受があります。また軸受が受ける力の方向により,それぞれラジアル軸受とスラスト軸受があります。

給油装置:軸受の給油装置は,軸受の種類,使用条件によっていろいろな形式のものが用いられています。最近は集中給油装置が多く使用されています。

密封装置:密封装置には静的シールとしてのガスケット類と動的シールのパッキン類とがあります。ガスケットには材質により非金属,金属,セミメタリックなどのガスケットがあります。またパッキンには機械の運動により往復動シール,回転軸シールなどに分けられ,オイルシール,メカニカルシール,Oリング,リップパッキン,グランドパッキン,ラビリンスパッキンなどがあります。

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最終更新日:2021年11月5日