リップパッキンに対する温度による影響 | ジュンツウネット21

リップパッキンに対する温度による影響について解説します。低温域では,ゴム・エラストマー材料の硬さが増し,伸びが小さくなるとともに弾性が失われるため,振動・偏心条件に対する追随性が低下し,密封性が低下します。高温域ではゴムの硬さや強度が低下するため,耐圧性や耐摩耗性も低下します。

リップパッキンに対する温度による影響

リップパッキンに対する温度による影響について教えてください。
解説します。

使用温度(環境・油温・伝動熱・発熱)によるパッキン機能面への影響は低温と高温では形態的にもメカニズム的にも異なります。

1. 低温

低温域では,ゴム・エラストマー材料の硬さが増し,伸びが小さくなるとともに弾性が失われるため,振動・偏心条件に対する追随性が低下し,密封性が低下します。さらに温度が低下するとゴム・エラストマー材料はガラス状になり,衝撃により脆性破壊(脆化)することがあります。

なお,一時的に低温に晒されても温度が上昇すれば元に戻るため,保管や輸送時の低温は問題となりません。ただし,過度の変形や外力負荷は損傷原因となるため注意。

パッキン材料の低温密封性限界の目安としてはTR-50/10の温度(図1)や低温衝撃脆化試験が参考となりますが,実際にはパッキン形状・材料特性・断面サイズ・締め代・密封面の粗さ・振動/振れ量&速度なども影響するため実情に合わせた評価/確認が必要です。

各種ゴム材料のTR曲線

備考:TR(Temperature Retraction) -50/10とは試料を50%伸長した状態でゴム弾性を失うまで冷却し,徐々に温度を上昇させて10%回復時の温度のことであり,耐寒性の目安となります。

図1 各種ゴム材料のTR曲線(ASTM D1329/MIL P5516による)

2. 高温

高温域ではゴムの硬さや強度が低下するため,耐圧性や耐摩耗性も低下します。

また,高温に晒される時間が長いほど材料劣化は進行し,変形(永久歪)も大きくなるためパッキンの密封性や寿命の低下を招きます。さらに作動油(使用媒体)との化学反応や抽出/浸透現象等の劣化現象も加速されるため,作動油適合性を含めたパッキン材料選定が不可欠といえるでしょう。

高温域でのゴムの劣化や永久歪は,温度が下がっても元の状態には復帰しないため,保管や輸送時の温度管理には十分な注意が必要です。

パッキン材料の耐熱性の目安としては,空気老化試験や油中浸漬試験および圧縮永久歪試験等があります。図2に各種ゴムの推奨温度範囲およびパッキン材料として比較されることの多いNBR(ニトリルゴム)とPU(ポリウレタンゴム)の温度特性比較を示します。パッキン材料選定の際の目安としてください。

<推奨温度範囲>
推奨温度範囲
<ニトリルゴムとウレタンゴムの温度特性比較>(画像クリックで拡大。ブラウザの戻るで戻ってください)
ニトリルゴムとウレタンゴムの温度特性比較1
ニトリルゴムとウレタンゴムの温度特性比較2
図2 各種ゴム材質の推奨温度範囲

なお,使用中の油温だけではなく外部熱(雰囲気・溶接工事等)・伝動熱(シリンダチューブ/ロッド)・発熱(摺動摩擦・潤滑切れ等)にも配慮したパッキン材料選定が必要です。

<特殊な事例>
(1)作動油中の混入空気が断熱圧縮(ディーゼリング現象)により発熱してパッキンを部分的に焼損~炭化。

対策としては,シリンダ新規取り付け時やパッキン交換後のオイル充填・配管接続や慣らし運転中のエア抜きを十分に行うことが必要です。

(2)加圧×短ストローク振動条件にてパッキン摺動面が潤滑切れ~焼損~炭化or異常摩耗による不具合。

対策としては,摩擦特性に優れ,自己潤滑性を有するPTFE材料を摺動面に使用したスリッパーシールタイプを使用します(図3図4)。〈STシール・STKシール・SMJシール・STRシール〉

 

図3 リップパッキンの特性

図4 代表的な油圧用パッキンの種類と特徴および用途

ブルカージャパン ナノ表面計測事業部

アーステック



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