スティックスリップ現象とリップパッキンによる防止策 | ジュンツウネット21

スティックスリップ現象とリップパッキンによる防止策

スティックスリップ現象とは何か教えてください。
解説します。

スティックスリップ現象は“びびり”とも俗称される振動現象であり,時に異常音を伴います。振動および異常音の周波数や大きさは条件/状況により様々ですが,油圧シリンダ等アクチュエータの性能に大きな影響を与えます。

工作機械では加工精度の低下や刃物の損傷,搬送作業用機械等では位置決め時の揺れによる作業性の悪さや人身事故の危険性,異常音の発生は車両・エレベータ等でのオペレータや乗客の不快感,そして機器の安全に対する不安感を惹起します。

スティックスリップ現象は前にも述べた通り滑り面で発生する振動現象であり,パッキンや軸受部等,接触滑り面の潤滑状態の変化=摺動速度による摩擦係数の変化(図1),油中混入空気の圧縮性,摺動面の形状,作動油の潤滑特性/粘度,機器や配管の剛性および共鳴振動に関る増幅要因の影響で発生~問題化します。

接触滑り面の潤滑状態の変化=摺動速度による摩擦係数の変化
<ストライベック線図/エラストマー性シールの摩耗と潤滑曲線の形態(面圧一定条件の時)>
図1 接触滑り面の潤滑状態の変化=摺動速度による摩擦係数の変化

メカニズム的には,例えばパッキンが加圧されて相手面に密着している状態で運動外力が加わった時にパッキン本体は弾性変形しますが,密着面は摩擦力によりリアルタイムには動かず,さらに運動外力が加わると密着面はこれに抗し切れずに相手面上を瞬間(弾性挙動)的に滑り,外力から開放されると同時に滑り動作の到達点で相手面に再度密着します。この現象の繰り返し=振動現象と考えられています。

油圧シリンダの場合は,パッキンやダストシールおよび樹脂ウェアリングが発生源となるケースが知られています。実験的には図2のような範囲でパッキンを使用すると発生し易いです。再現試験(図3)結果の加速度計によるシリンダの振動波形を比較参照してください。

スティックスリップの発生領域
図2 スティックスリップの発生領域
パッキンの違いによるスティックスリップ再現試験
図3 パッキンの違いによるスティックスリップ再現試験

防止策としては,

(1)パッキン先端部に僅かな丸みをつけたり,少し柔らかめのゴム材料を使用したりして摺動面が安定した流体潤滑となるようにスティックスリップ対策設計されたパッキンを使用すること。(図4図5)〈OSYパッキン・TSGYパッキン・RGUパッキン〉

図4 リップパッキンの特性

(2)摩擦特性に優れ,自己潤滑性を有するPTFE材料を摺動面に使用したスリッパーシールタイプを使用すること。(図5)〈STシール・STKシール・SMJシール・STRシール〉

図5 代表的な油圧用パッキンの種類と特徴および用途

(3)ダストワイパにも配慮すること。(図6

図6 ダストワイパの種類と選定の目安

(4)軸受にも配慮すること。(図7

軸受/ピストンベアリング(ウェアリング)はロッドやピストン部等摺動面の焼付き・カジリによる損傷を防止してシリンダの作動を円滑にするもので,パッキンの異常摩耗や縦傷発生を防止する上で重要な構成部品です。

 
エスライトウェアリング
SWOウェアリング
エスリーブ
エスフロンテープウェアリング
金属軸受
DUドライベアリング
材質 PB201(布入フェノール) PB271(布入ポリエステル) PN104(ポリアミド) PT141(PTFE) FC/BC PB+PTFE
許容面圧 MPa
25~30
20~30
15
10
3~5
14~28
温度範囲 ℃
-55~+120
-55~+120
-25~+80
-55~+200
+30~+50
-200~+280
縦傷発生 発生し難い 発生し難い 発生し難い 発生し難い 発生し易い 発生し難い
耐スティックスリップ性
静寂性(摺動音・振動)
軸受部のスキマ
やや大
極小
極小
適用流体 一般石油系
低温用石油系
リン酸エステル系 
一般石油系
水・グリコール系
リン酸エステル系
水・油エマルジョン
主用途 ピストン用 ピストン用
ロッド用
ピストン用
ロッド用
ピストン用
ロッド用
ロッド用 ロッド用

  :優 :良 :可 :不可  注)SWOウェアリングで水系作動油の場合注意が必要です。

注)1. 許容面圧は,シリンダチューブやロッドの焼付き(縦傷を含む),クリーブ等を考慮した参考値である。
注)2. エスリーブは,軸受部の製作交差が大きいため偏荷重や振動を伴う用途の場合,パッキンのシール性に影響することがある。
注)3. DUドライベアリング(大同メタル工業製)の詳細はメーカーに問い合わせのこと。
図7 軸受の種類と特性

(5)シリンダ・機器・配管・取り付け側の剛性や共鳴増幅要因等も要チェック。

(6)シリンダ新規取り付け時やパッキン交換後のオイル充填・配管接続や慣らし運転中のエア抜きを十分に行うこと。

ブルカージャパン ナノ表面計測事業部

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