日本機械学会内の運営組織

状態監視振動診断技術者コミュニティ

日本機械学会 機械状態監視資格認証事業委員会 状態監視振動診断技術者コミュニティ(2015/4)

 状態監視振動診断技術者コミュニティは,2010年7月,認証者の診断技術力のフォローアップと情報交換の場の確保を目指して日本機械学会の中に結成した(図1 日本機械学会内の運営組織:上図)。関連委員会および関連部門,関連学協会の団体との連携をとりながら,コミュニティの輪を広げており,今年で6年目となる。

趣旨

 2004年にスタートした「ISO18436-2 準拠機械状態監視診断技術者(振動)」資格認証制度は,11年を経過した。この間,本資格認証を受けた技術者の数は,カテゴリ I ~IVの4つのカテゴリにおいて,延べ3,987人に達している。本資格は振動診断技術に特化したものであり,これまでに類のない資格として,設計技術者,保全技術者から高度専門家まで,また,重工業・回転機械製造産業,エンジニアリング・メンテナンス産業,石油・化学・鉄鋼・電力・ガスなど多岐にわたる産業分野の技術者が資格を取得している。それぞれ振動診断技術という共通の技術に携わる技術者ではあるが,異なる業種,立場にある技術者同士の技術交流,情報交換は,新たなヒントを得る貴重な機会であり,技術力の向上に役立つものであると考え結成した。図2にコミュニティのねらいを示す。

状態監視振動診断技術者コミュニティのねらい
  図2 状態監視振動診断技術者コミュニティのねらい

コミュニティの構成

 コミュニティは,ホームページの活用と年1回の定例ミーティングの開催で構成されている。2015年からの委員は,主査が渡部 幸夫 氏(東芝原子力エンジニアリングサービス),幹事が比土平 幸代 氏(新川センサテクノロジ),沼尻 光一郎 氏(電源開発)である(写真1)。

写真1 2015年からの委員
  写真1 2015年からの委員

コミュニティHPのコンテンツ

 2011年1月HPを開設した(図3http://www.jsme.or.jp/conference/joutai)。振動診断技術者のための情報発信・情報交換の場として,より充実させていくために,皆様のご意見・ご要望をお寄せ頂きたい。現在のHP のコンテンツは下記のとおりである。

コミュニティHP
  図3 コミュニティHP

◆トップページ
 更新履歴および委員からのメッセージを掲載。

◆趣旨
 コミュニティの運営組織とねらいを掲載。

◆委員
 主査・幹事の紹介を掲載。

◆ニュース
 JSME の動きに合わせたお知らせと皆様からのコメント募集のお知らせを掲載。

◆ミーティング情報
 いつでも,学習できるよう,第1回から昨年開催された第6回ミーティングの情報すべてを掲載。今後,質問事例を増強予定。

 1)診断技術の勉強のための講演
 表1に,第1回から6回までの講演16件の題目/講演者を記載した。

講演会の題目と講演者
  表1 講演会の題目と講演者

 2)カテゴリIV合格者による診断事例紹介
 15件の診断対策事例(表2)が掲載されている。

診断対策事例
  表2 診断対策事例

 3)事前メール受付による振動相談回答
 12件収録されている。参考のため昨年の振動相談内容を記載する。

  1. 定期振動計測(毎月等)で,データを採取して傾向管理する場合,インバータ制御にて回転数が毎回異なる場合,定常回転ではないので計測データを並べても,善し悪しの比較はできないと思いますが,このような場合,他の方はどうされているのでしょう?
  2. キャビテーションが常態化しているようなポンプで,ベアリング異常を早期に見分けるコツは?
  3. 転動体と保持器接触による異音では?原因は?
  4. 本体側プーリの軸受外輪に重大な損傷が発生した場合,振動加速度は増加するが,振動速度の増加は発生するのか?

◆振動診断Q&A
 認証者からの振動診断に関する質問を受け付け,その回答を掲載。現在,8件の質問と回答が掲載されている。いつでも,無料にて相談を受け付けている。

◆関連学協会情報
 振動診断技術者に関連のある研究会情報を掲載。

◆訓練機関情報
 訓練機関およびセミナー開催予定を掲載。

◆国際情報
 JSMEの相互認証機関や国際会議情報を掲載。

◆関連規格
 ISO規格販売情報や知っておくべきISO規格および規格の改訂情報を掲載。

◆関連書籍
 セミナーテキスト情報を掲載。今後,掲載内容を増やす予定。

◆学習サイト
 自習用にWEB LEARNINGへのリンクを掲載。

◆診断ハード・ソフト紹介
 振動診断に役立つハード・ソフト紹介を掲載。現在5件の診断装置の構成,診断事例を掲載。記事募集中。

◆資格取得
 資格が役に立った事例,名刺への資格表記について掲載。資格のおかげで海外での測定作業がスムーズにいった事例や,資格のおかげで公共事業を受注した事例3件を掲載。

◆問い合わせ先
 コミュニティに関する問い合わせ先を掲載。

定例ミーティングの開催

 参加者の要望を受けて,通常は年1回10月第1週の金曜日に開催している。プログラムは,例年下記の構成にて実施している。例年,約60~70名が参加し活発な議論,交流を深めている。

1.診断技術の勉強のための講演(ISOの変更内容の報告含む)

2.機器展示
 第6回ミーティングから実施している(写真2)。計測メーカ3社に機器を展示してもらい,実際に振動計測を行って説明を受け,計測技術を習得する。

機器展示の様子
  写真2 機器展示の様子

3.カテゴリIV合格者による診断事例紹介

4.事前メール受付による振動相談回答に関する全員参加の討論

5.参加者相互の技術討論会
 講師や資格取得者による日頃聞くことのできない現場での悩みや相談など意見交換を繰り広げている。

◆今年度のミーティング開催
 今年開催の第7回は,2015年10月2日(金)に大阪で開催する。正式な開催案内はHPに掲載するが,次回はトライボロジー診断技術者と合同開催するので,広い診断技術を知り交流を広げる良い機会となると考える。資格取得希望者も参加できるので,是非,ご参加頂きたい。

おわりに

 最近の設備は,多くのメーカが共同して作り上げているので,特に社外の診断技術者とのコミュニケーションが重要になってきている。また,診断装置の技術進展も目覚ましいものがあるので,スキルアップが重要である。是非,この状態監視振動診断技術者コミュニティで広い診断技術を学び,交流を広げる場として利用して頂ければ幸いである(図4)。

コミュニティの運用
  図4 コミュニティの運用

■執筆者
状態監視振動診断技術者コミュニティ 主査
渡部 幸夫(東芝原子力エンジニアリングサービス)

最終更新日:2022年12月20日