潤滑油のブレンド方法 | ジュンツウネット21

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潤滑油はベースオイルに添加剤を加えて製造されると聞きます。潤滑油のブレンド(製造)方法についてご説明ください。

潤滑油のブレンド方法

解説します。

ブレンド(BLEND) という言葉は英和辞典によると「混合,混合する,調合する」などと和訳されており,外来語辞典にも同じ訳があって,例として「薬品や塗料などを混ぜ合わせ調製すること」となっています。

すなわち,潤滑油のブレンドとは,精製された潤滑基油(ベースオイル)数種を混合して潤滑条件に適した粘度の潤滑油に調製すること,および潤滑油の品質を要求性能に合致させるために各種の添加剤を配合することをいい,通常,潤滑油の調合または混合調製と呼んでいます。

潤滑油は,原油を常圧および減圧蒸留して3~4種類の粘度の異なる潤滑油原料留分に分け,これを溶剤精製,水素化精製,溶剤脱ろうなどの精製工程を経て潤滑基油に仕上げ,それぞれを粘度ごと基油タンクに貯蔵します。

潤滑油は,それを使用する個所が千差万別で,その使用される条件(回転数,すべり速度,温度,荷重,その他)もまた多岐にわたりますから,その条件において最良の潤滑性能を発揮することが必要です。潤滑油の具備すべき性能は次のとおり要約することができます。

(1)用途に応じて適正な流動性をもつこと。
 (2)境界潤滑に耐える油性をもつこと。
 (3)酸化や熱に対し安定で,金属に対しさび腐食を起こさないこと。

これらの性能は,潤滑基油のみでは十分に果たされませんから,酸化防止剤,清浄分散剤,油性向上剤,極圧剤,さび腐食防止剤,粘度指数向上剤,流動点降下剤,消泡剤などの各種添加剤を配合して,目的に応じた性能を付与するわけです。

すなわち,潤滑油のブレンドをより具体的に述べると,「潤滑個所の回転数および速度ならびに温度,荷重などの条件に適した粘度の製品を作るために,数種の潤滑基油(鉱油系および合成基油)を調合して所定の粘度に調製し,潤滑個所の要求条件に適応させるために数種の添加剤を選定,配合して使用目的を満足する性能を備えた潤滑油製品を製造する」ということになります。

潤滑油のブレンド方法にはタンクブレンド(タンク内調合法)とオートブレンダまたはラインブレンダ(連続自動混合装置)の2つの方式が一般に行われています 。

1.タンクブレンド方式

この方式は(図1),多品種少量生産に主として適用される方法で,目的とする粘度の製品を作るためには粘度の異なる潤滑基油を,それぞれ計算した割合で調合タンクにポンプで移送し,空気吹き込みまたは回転プロペラ(ミキサー)で撹拌して均一に混合する方法です。

このとき使用する基油の温度は40℃程度に加温します。添加剤を配合しない並級潤滑油はこれで製品になるわけですが,添加剤を配合する高級潤滑油は,必要とする各種添加剤を添加割合にもとづき計量し,添加剤混合タンク(またはピット)で調製基油により希釈した後,調合タンクに移し十分撹拌して混合します。添加剤の調製基油による希釈時の温度は40℃程度で行います。撹拌時間は調合する数量によって一定ではありませんが,おおむね30分~2時間を要します。

調合作業終了後,試料油を採取し,これを製品規格に適合しているか否かを性状試験により確認し,製品タンクに貯蔵します。

2.オートブレンダ方式

この方式は(図2),1品種を量産する場合に適しており,目的とする潤滑油製造に必要な潤滑基油および添加剤をそれぞれタンク内に用意し,適当な温度(通常40~50℃)に加温しておき,別々にポンプで自動混合機に送り込みます。このとき各ポンプの吐き出し量は流量調節器で定められた量にコントロールされます。最近はコンピュータを組み込んで制御する方式が開発されています。

基油と添加剤の混合物は自動混合機(ホモジナイザまたはラインミキサ)で完全な調合油に仕上げられています。ホモジナイザは高速回転円板を内蔵しており,この部分で混合物は遠心力でうすい膜状になり均一に混合され,かつホモジナイザは真空にされているため脱水も行われます。ラインミキサは円筒状で内部に乱流を起こさせるミキシング部がセットされ混合物はこの部分を通るとき複雑な乱流を起こして均一に混合されます。調製された潤滑油製品は冷却されて製品タンクに移送貯蔵されます。

 オートブレンダ方式は,ポンプ吐出量を自動制御し連続的に混合が行われますから,調合精度がよく均質な製品が量産できるのを特長とします。

図1にタンクブレンド方式の概要を,図2にオートブレンダ方式の概要をそれぞれ示しました。

タンクブレンド方式,オートブレンダ方式概要図

図1 タンクブレンド方式概要図(左)     図2 オートブレンダ方式概要図(右)

アーステック



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潤滑油添加剤メーカーの紹介

本文中にあるように潤滑油の性能は,潤滑基油のみでは十分に果たせません。酸化防止剤,清浄分散剤,油性向上剤,極圧剤,さび腐食防止剤,粘度指数向上剤,流動点降下剤,消泡剤などの各種添加剤を配合して,目的に応じた性能を付与します。これらの各種添加剤を提供するメーカーを下記のページで紹介します。

最終更新日:2021年11月4日