産業洗浄には,超音波洗浄,真空洗浄,ジェット洗浄,脱気洗浄などのいくつかの洗浄方法があり、油分,切粉,パーティクル,フラックス,埃・ゴミなど洗浄対象により使用できる洗浄方法と不可のものがある。それぞれの洗浄方法の特徴とどのような被洗浄物に適している方法であるかを解説する。
洗浄方法の種類と特徴
油分 | 切粉 | パーティクル | フラックス | 埃・ゴミ |
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超音波洗浄 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
スプレー洗浄 | △ | × | ◯ | ◯ | △ |
シャワー洗浄 | △ | × | ◯ | × | ◯ |
ジェット洗浄 | ◯ | △ | △ | × | × |
真空洗浄 | ◯ | ◯ | × | × | × |
脱気洗浄 | ◯ | ◯ | ◯ | △ | △ |
溶剤洗浄 | ◯ | ◯ | × | ◯ | × |
バレル・揺動ブラシ洗浄 | ◯ | ◯ | △ | △ | × |
浸漬・噴流バブリング洗浄 | △ | × | ◯ | ◯ | ◯ |
◯:使用可能 △:条件付きで使用可能 ×:使用できない |
超音波洗浄
現在最もポピュラーな方法であり,キャビテーション作用を利用して,大量に油分が付着している部品や乾燥固着している部品などの洗浄や,超音波振動の加速度を利用して半導体などのパーティクル洗浄や埃やゴミなどの洗浄に使用されている。
- 洗浄時間が短い
- 幅広い様々な汚れの洗浄に使用できる
- 細部の洗浄に適する
- 複数個の洗浄が可能
スプレー,シャワー洗浄
すすぎ工程や仕上げ工程などに用いられる。
通常,汚れのひどいものの洗浄には向いていないが,被洗浄物がデリケートな素材の場合には,使われることもある。スプレー,シャワーを正確に被洗浄物に当てる事が重要である。
ジェット洗浄
強力なポンプで洗浄剤,溶剤,水などを噴射させて付着した汚れを剥ぎ取る洗浄方法。
比較的大きな被洗浄物に用いることが多く,塗料や土砂などの洗浄に適する。
真空洗浄
被洗浄物に細かい穴などがある場合の洗浄に適し,真空ポンプでチャンバー内の空気を排出,液中の空気を取り除くことで洗浄力をUPさせる洗浄方法である。
コスト面で割高なため,対象は限られている。
脱気洗浄
真空洗浄よりも高い溶存空気量(真空洗浄:0.1ppm以下,脱気洗浄2ppm前後)で行い,真空洗浄よりもコストもかからず比較的簡単に洗浄力をUPさせることができる。
被洗浄物へのダメージを与える場合があるので注意が必要である。
溶剤洗浄
フロンやトリクロロエチレンなどが世界的に廃絶され,代替フロン溶剤が開発された。洗浄方法としては過去からの工程とさほど変化はなく,超音波やシャワー洗浄を使用し行われている。
バレル・揺動・ブラシ洗浄
バレルや揺動の回転を用いての方法である。細部まで洗浄することが難しい場合があり,超音波洗浄と併用される事が多い。
折れやすい部品の場合は注意が必要である。
浸漬・噴流・バブリング洗浄
超音波洗浄などの物理力が使用できない,ICチップや純銀,純アルミなどの部品に用いられる。
その他
蒸気洗浄,臨界洗浄,電解洗浄などがある。