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部品洗浄における洗浄装置の選定 | 産業洗浄剤ガイド | ジュンツウネット21

部品洗浄にはシャワー洗浄,浸漬洗浄,超音波洗浄などがあり,最終製品の機械性能を保証するためには,洗浄工程はなくてはならないものとなっている。部品洗浄のための洗浄工程のプランニング,洗浄方法の選定,乾燥方法の選定,洗浄液管理について解説する。

ファインマシーンカタオカ株式会社 三井 俊文

1.部品洗浄とは

 部品洗浄といってもシャワー洗浄,浸漬洗浄,超音波洗浄などがあり,今や洗浄工程は最終製品の機械性能を保証するためには,なくてはならないものとなっている。その最たるものが自動車であり,ここでは自動車のスモール部品といわれる,エンジン部品,ミッション部品の洗浄における水系シャワー洗浄装置の選定について考える。

 自動車は1台当たり約3万点の部品でできているといわれ,その部品の加工工程ごとに洗浄方法が異なるため,装置選定が最も重要な要素となる。

2.洗浄工程のプランニング

 洗浄の基本は洗浄,リンス,乾燥であるが,この工程を実施するには,洗浄剤,洗浄・乾燥装置に周辺装置が加わって一般的な洗浄システムが構成される。洗浄システムを導入する時には,まず洗浄の要否を検討することから始めるべきである。何故洗浄するのか,何を除去するのか,どこまで洗浄するのかを明確にする必要がある。それは先に述べたように,洗浄する工程によって洗浄方法が変わってくるため,プランニングの要素をはっきりさせておくことが必要となる。要素として被洗浄物の汚れの状況,要求洗浄精度,要求乾燥精度,被洗浄物の形状,洗浄姿勢,サイクルタイム,ライン構成などがあげられる。

3.洗浄

 求める洗浄効果をあげるためには,ポンプの選定,ノズルの配置,洗浄液の管理,洗浄剤の選定をする必要がある。主に脱脂目的であれば吐出量を多く,非貫通穴の切粉除去であれば圧力を高くすることが一般的である。スプレー洗浄ではおよそ1MPa,吐出量で500L/minまでの組み合わせでほとんどが対応可能である。理想的には高い圧力,多くの吐出量,高い液温,多機能の洗浄剤が望まれるが,コスト,設置スペース,環境等の問題が出てくる。より効果を得るために,通常図1のようなプランニングを行う。必ずしもこの順序とは限らないが,プランニングをしていく上で重要なポイントである。

プランニングの流れ

図1 プランニングの流れ

 洗浄するに当たり,物理的力と化学的力の応用がある。物理的力の一つには熱エネルギーがあり,食器を洗ったり洗濯する時も,水で洗うよりお湯で洗った方が早く洗えることからも分かる。もう一つは圧力である。これは水圧を利用して異物を洗い流すことであるが,より効果を上げるためには噴射ノズルあるいは被洗浄物のいずれかが動いている方が効果を発揮する。特に非貫通穴ではどちらかを揺動させることにより,穴の中に水の循環通路ができ,切粉を押し出すことができる。当たり前ではあるが,ノズルがきちんとその穴を狙えていなければならない。

 化学的力は洗浄剤であり,水を溶媒とする洗浄では洗浄剤は特に重要である。その洗剤の働きは界面活性剤やアルカリ効果が中心であり,これらが油性汚れ,粒子汚れの双方に対して優れた洗浄力を発揮している。水は油性成分を溶解する力がないために,「いかにして,油性汚れを固体表面から水の中へ分離,除去するか」が重要なポイントとなる。

 そこで,油性汚れを洗浄するために,洗浄剤の成分である界面活性剤の乳化,分散,可溶化(界面活性能)を利用している。産業用洗剤にはその工程に応じて特性を持たしたものも多く,後工程に影響のないもの,製品に悪影響を及ぼさないもの,あるいは防錆効果があるものなど,必要に応じて選択する必要がある。

4.乾燥

 乾燥方法は洗浄剤や被洗浄物の形状,材質,数量,表面状態等々考慮しなければならない要素がある。部品洗浄の中での乾燥で,現在多く用いられるのは物理力を応用することが多い。ほとんどの場合,圧縮エアを利用して付着している水分を吹き飛ばす方法であり,加えて温水洗浄での余熱あるいはヒーターなどを介して熱風を利用するのは乾燥効果を発揮するには有効である。

 ただし,最近では省エネ対策の要求が高まり,工場エアを使用しないブロワ搭載の装置も多くなった。

 ほかには遠心力を利用したり,吸引させる方法がある。いずれも洗浄と同じでより効果を上げるためには,噴射ノズルあるいは被洗浄物のいずれかが動いている方が効果を発揮する。多くは2つ以上の方法を組み合わせ,決められたサイクルタイムの中でより効果のある装置を考える。

乾燥装置の一例,略図

図2

5.洗浄液管理

 ほとんどの場合,洗浄液を循環させて洗浄するため,油分,切粉,ごみなどが混入してくる。洗浄精度にこだわれば汚れた液での洗浄は避けなければならず,洗浄液の管理が重要になってくる。被洗浄物に噴射する洗浄液は,フィルターで濾過を行い,汚れの再付着をさせないようにしなければならない。フィルターにはバッグフィルター,サイクロンフィルターが多く利用されるが,要求洗浄精度を考慮し,効果のあるものを選択する。また,油分の持ち込みが多い場合は,タンク内に浮上油が溜まりやすく,洗浄液の劣化を防ぐためには随時除去することが必要になる。ベルト式オイルスキマーや表面を効率よく吸い上げて油水分離する装置があり,効果を確認して取り付ける必要がある。

6.洗浄機を選ぶには

 部品洗浄における装置の選定については,要求洗浄精度や要求乾燥精度に対し洗浄圧力や乾燥方法などが,どのように関連するかを判断し,適正に組み合わせるプランニング技術が必要となってくる。これらの判断や処置には,洗浄にかかわる豊富な経験や実績が重要となり,「洗浄装置はプランニングで良し悪しが決まる」と言っても過言ではない。品質向上,安定製品および高付加価値製品に大きく寄与できる洗浄装置はプランニング次第である。

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