産業洗浄剤ガイド

洗浄剤の種類と特徴 | 産業洗浄剤ガイド | ジュンツウネット21


 洗浄剤には,水系,準水系,炭化水素系,アルコール系,塩素系,フッ素系,臭素系などの種類があり,それぞれの洗浄剤の特徴は異なる。不燃性,蒸留再生可能,金属への腐食酸化の影響など洗浄剤の種類によって特徴が異なり使用用途も違う。

水系洗浄剤

 アルカリ,中性,酸性の3種類に分類され,一般的には切削油の洗浄ではアルカリ性,中性が使われる。

メリット

  • 水で希釈して使用するため低コスト
  • 安全性が高い
  • 毒性が低い
  • 良好な作業環境を実現
  • 非危険物
  • ほとんどの樹脂に使用可能
  • 様々な洗浄方法と組合せて使用可能
  • 酸化膜などの汚れ除去が可能
  • イオン性汚れを溶解除去できる

デメリット

  • 被洗浄物に対する腐食,酸化
  • 乾燥速度が遅い
  • 再生利用ができず,排水処理対策が必要
  • 油分溶解力が小さい
  • 金属には防錆対策が必要

水系洗浄剤

準水系洗浄剤

 有機溶剤と水を組み合わせたタイプの洗浄剤。一般的に非鉱物油系の切削油洗浄に適する。

メリット

  • 非可燃性洗浄剤として取り扱える
  • リンス工程も純水を用いることが可能
  • 油分溶解力が強い
  • イオン性汚れの除去が可能
  • 多くの金属に対応できる
  • 毒性が低い

デメリット

  • 再生利用ができず,排水処理対策が必要
  • 乾燥が遅く,リンス時の酸化・腐食対応が必要
  • 被洗浄物が金属の場合防錆対策が必要
  • 洗浄剤コスト,排水処理コスト高
  • 可燃物のものは,消防法上の対応が必要
  • 非可燃物のものは水分管理が必要

準水系洗浄剤

非水系洗浄剤 ~炭化水素系~

 ノルマルパラフィン系,イソパラフィン系,ナフテン系,芳香族系の4種類がある。

メリット

  • 油汚れに対して洗浄力が高い
  • 金属への腐食酸化の影響が少ない
  • 蒸留再生可能
  • 水系,準水系と比べて乾燥性が良い
  • 油分溶解力が強い
  • 浸透性がよく細部の洗浄が可能
  • 毒性が低い

デメリット

  • 可燃性物質のため,防爆構造などの対応が必要
  • 製品によっては「有機溶剤中毒予防規則」への対処が必要
  • 固形物汚れの除去には不向き
  • イオン性汚れに対する溶解力が低い
  • 一部の樹脂やゴムなどを腐食する場合がある

炭化水素系洗浄剤

非水系洗浄剤 ~アルコール系~

メリット

  • 浸透性がよく細部の洗浄が可能
  • 蒸気洗浄可能

デメリット

  • 油分溶解力が小さい
  • 吸湿性があり,錆が問題になりやすい
  • 引火点が低い
  • 再生ロス大

アルコール系洗浄剤

非水系洗浄剤 ~塩素系~

メリット

  • 不燃性
  • 油分溶解力が強い
  • 蒸留再生可能
  • 浸透性がよく細部の洗浄が可能
  • ランニングコスト安

デメリット

  • 毒性が強い
  • 様々な法規制に抵触する
  • 再生ロス大
  • 分解し金属が錆びることがある

その他非水系

非水系洗浄剤 ~フッ素系~

メリット

  • 不燃性
  • 油分溶解力が強い
  • 蒸留再生可能
  • 浸透性がよく細部の洗浄が可能
  • 毒性が低い
  • 乾燥性が良好
  • 比熱,蒸発潜熱が小さくエネルギー負荷が少ない

デメリット

  • ランニングコスト高
  • 再生ロス大

フッ素系洗浄剤

非水系洗浄剤 ~臭素系~

メリット

  • 不燃性
  • 油分溶解力が強い
  • 蒸留再生可能
  • 浸透性がよく細部の洗浄が可能

デメリット

  • ランニングコスト高
  • 毒性などのデータに不明な点がある

その他非水系

最終更新日:2023年5月11日