開発の背景
今日我が国において工場の自動化も加速度的に進行していく中,空気圧縮機コンプレッサーの重要性はますます高まるとともに,求められる圧縮空気もクリーンエアが必要とされてきております。クリーンエア化させるには必然的にドライヤーやエアフィルター等でエアー内の不純物を排出する必要があり,その不純物を占める主なものが水とオイル,すなわちドレンであります。
(株)フクハラは1971年に創業以来自動ドレン排出機である電磁式ドレントラップして発展してきましたが,排出させたドレンの汚染問題の解決に常に悩んできており,1980年に高性能分解吸着式コンプレッサードレン油水分離装置としてドレンデストロイヤーを開発し,コンプレッサーの主たる環境問題であるドレン処理の問題を解決させることに成功しました。コンプレッサードレンはその設置環境や使用オイル等でもさまざまな違いをみせますが,ドレンデストロイヤーは基本的にコンプレッサードレンであればほとんど条件を問わず処理する事が可能です。またドレンデストロイヤーは電磁式ドレントラップからの排出エアーを圧送用として利用することで無電源かつシンプルな構造になっているため,低コストで保守管理が容易な省エネ製品であるとともに使用済みフィルターは完全リサイクル方式としてますので環境に非常にやさしい製品です。
これらの特長により1997年には科学技術庁長官賞を受賞し,現在では8000台以上の出荷実績を持ちます。現在では水質汚濁防止法の規制とISO14001を取得し自主的な環境汚染防止を目指す各企業に対し,そのニーズを満たす製品の一つとして認知されるに至りました。
SD形ドレンデストロイヤー基本構造と処理工程
SD形ドレンデストロイヤーは,ドレン分離槽,AB槽,清水確認槽で構成されております。電源を必要としない無電源装置で,コンプレッサから排出されるエアーの圧力で圧送運転をしております。そのため,弊社スーパートラップが最低1台必要になります。このスーパートラップから排出されたドレンがドレン分離槽へ送り込まれます。ドレン分離槽ではドレンを滞留させ,浮上油とエマルジョンに自然分離させます。分離した浮上油は廃油として処理をします。エマルジョン水のみが次のAB槽へ圧送されます。AB槽には特殊の吸着材が緻密に詰め込んであり,ここでエマルジョンの破壊及び油分の吸着除去をします。AB槽で処理されたドレンが清水確認槽へ圧送されます。この時油分濃度は水質汚濁防止法で規制されている排出基準値5PPm以下の清水になっておりますので,そのまま下水道へ排水できます。
図1 SD形ドレンデストロイヤー基本構造 |
図2 SD形ドレンデストロイヤー処理工程 |
SD形ドレンデストロイヤー仕様
表1 SD形ドレンデストロイヤー仕様
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事例 75kWのコンプレッサドレンをSD75Aで処理した場合
<設定条件>
(1)気温:30℃
(2)湿度:80%
(3)圧縮空気温度:10℃
(4)圧縮空気圧力:0.69MPa
(5)コンプレッサ:75kW
(6)油分濃度:150PPm
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※産廃費用と比較すると,年間約70万円のメリットがあります。
ドレンデストロイヤーと産業廃棄物のコスト比較
ドレンデストロイヤーと産業廃棄物のコスト比較
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※11ヵ月で初期費用(設備費)を償却。